SMBC日興証券 プロスペクト インサイダー取引

2/19付の日本経済新聞には、SMBC日興証券のインサイダー取引事件をめぐる民事訴訟のニュースと、プロスペクト(3528)のインサイダー取引のニュースがありましたね。全く関係のない2件のインサイダー取引に係る記事です。

SMBC日興証券

以前、当ブログでも取り上げましたが、SMBC日興証券の執行役員(当時、三井住友銀行から出向中)がTOBに係るインサイダー情報を知人に提供し、3600万円の利益を得たという事件が事の始まりです。当時の金商法では、情報提供者を処罰する規定がなかったため、最高裁までもつれた事案です。

結局、最終的には横浜地裁で教唆犯が成立しているんですが、法令ギリギリのところで塀の向こう側に落ちた感じでしょうか。この件についてはいろいろと裏の話もあったようで、、、。

で、今回はSMBC日興証券が、この事件のおかげで社会的信用を失ったとして、この元執行役員を相手に損害賠償を求めていたということですね。日興証券の社長は今では三井住友銀行出身ですから、三井住友銀行が元行員(執行役員)に訴訟起こしてるようなもんですが、結局この請求は棄却されました。

プロスペクト

一方、プロスペクトは東証2部上場、、元は繊維会社です。バブルが弾ける頃から不動産業に進出し、これも上手くいかなくなって、太陽光発電関連など、最近では事実上投資会社みたいな会社になっているようです。

昨年2月14日、同社が無配と特別損失を公表する際、当時株主だった伸和工業とその社長の西村氏はインサイダー情報を得て直前に売り抜けた疑いを掛けられており、証券取引等監視委員会が強制捜査を行ったというニュースです。インサイダー情報を提供したのはプロスペクトの元執行役員でした。こちらは既に解任されています。

この事件にはまだまだ続きがありまして、、、。西村氏は売り抜けた後も再度プロスペクト株を買い戻し、主要株主になるまで買い増ししています。で、昨年11月に臨時株主総会の招集をプロスペクトに請求。

まぁ、簡単にいうと西村派の役員を入れて会社を支配しようということなんですが、その最中に、監視委員会のガサ入れを受けたというオチなわけです。インサイダー取引で挙げられた人物が会社の乗っ取りとは、、、ゲッコーか。

パルマ 元管理部次長 インサイダーで告発

東証マザーズ上場のトランクルーム管理業、パルマの元管理部次長とその知人がインサイダー取引に関与したとして、証券取引等監視委員会は金融商品取引法違反の疑いで東京地検に告発しました。その後2人は在宅起訴されています。公表前の第三者割当増資の情報をめぐるインサイダー取引事件です。

日本郵政キャピタルに対する第三者割当増資

問題となった第三者割当増資ですが、割当先が日本郵政の100%子会社の日本郵政キャピタルです。増資に加えて、パルマの親会社が持つパルマ株を一部日本郵政キャピタルに譲渡するという話もあり、この情報の公表後、パルマ株はわずか数日で2倍以上に急騰しています。

管理部次長は、知人にその第三者割当増資に関するインサイダー情報を公表前に伝え、知人が自己名義と他人名義併せて3,000株、1,100万円で買い付けていたんですね。管理部次長はインサイダー情報を伝達したことで、知人は伝達を受けパルマ株を買い付けたことで、金商法違反として東京地検に告発されたということです。

課徴金納付命令と告発

監視委員会は日常的に市場をウォッチしていて、不公正取引が疑われる取引を見つけると、市場分析審査課が取引審査を開始します。インサイダー取引の嫌疑で要調査と判定されると、取引調査課か特別調査課に引き継がれます。

調査の結果がクロということになると、取引調査課は課徴金納付命令を金融庁に勧告し、特別調査課であれば、刑事訴追を求めて検察官に告発します。パルマの案件は特別調査課が担当したということですね。どっちの課に引き継ぐかは事案の軽重で判断してるみたいです。

割当先に日本郵政キャピタルという名前を見て、また郵政がやらかしたか、、、と身体が反応してしまいましたが、今回のパルマ株インサイダー事件においては日本郵政側に特段問題はなさそうです。(今のところですが)