住友ゴム工業 検査不正が発覚

住友ゴム工業は7/30、「品質管理に係る不適切事案についてのお知らせとお詫び」を公表しました。国内加古川工場での防舷材検査と、南アフリカ子会社でのタイヤ生産において、品質管理に係る不適切な事案が判明したとのこと。

検査不正

「品質管理に係る不適切事案」とは上手い言い方ですね。より事実に沿って言えば「検査不正」です。ほとんどの企業が「不正」とは言わず、せいぜい「不適切」と表現しますけどね。

加古川工場

兵庫県の加古川工場では、港湾岸壁用のゴム防舷材の一部において、検査不正が行われていました。防舷材というのは、船舶や港湾の岸壁の破損を防止するため、接岸する船舶にかかる衝撃を吸収して緩和するエネルギー吸収材のこと。同工場で生産し、商社や建設会社を経由して、公共、民間の顧客へ納品されています。

船舶接岸時に起きる防舷材の圧縮状態を再現して圧縮性能を確認する試験において、国際航路協会の定めた試験方法等のガイドラインとは異なる試験方法の実施や、データの変更を行っていたといいます。データの変更って、、、データの改ざんですよね。

南アフリカ子会社

南アフリカ子会社では、南アフリカ製新車向けのタイヤ約40万本(車両8万台相当)の一部において、顧客との取り決めに基づいて定めた仕様と異なる製品が出荷されていました。当該タイヤを装着した車両の日本向け出荷はなかったといいます。

港湾岸壁用のゴム防舷材、新車向けのタイヤ、いずれも実用に際して安全性に問題はなく、これらが原因となる事故等の発生はないということです。すでに外部弁護士を加えた特別調査委員会による社内調査を開始しているようです。

昭和電線ホールディングス 検査不正 特別調査委員会を設置

昭和電線ホールディングスは7/21、「当社グループ製品の品質試験に関する不整合の判明と特別調査委員会の設置について」を公表しました。検査不正が発覚したのは同社子会社の昭和電線ケーブルシステム株式会社だそうです。

昭和電線HD

昭和電線HDは建設や産業機器、電力分野向けなどを主力とする電線メーカー。電力・建設用電線などを扱うエネルギー・インフラ事業を中核に、通信・産業用デバイス事業、電装・コンポーネンツ事業を展開しています。

今まで知りませんでしたが、もとは東芝から独立してできた会社なんですね。元の社名は昭和電線電纜株式会社でした。kuniにはこの社名の方がしっくりきます。

昭和電線ケーブルシステム

昭和電線ケーブルシステムは昭和電線グループの中核企業。社会基盤を支える電力ケーブル・通信ケーブルから、エンジニアリングまでの幅広い製品ラインナップを有していて、今回不正が発覚したのが、同社が販売する鋼心アルミニウムより線、および硬アルミニウムより線です。より線というのは、複数のアルミニウム素線をより合わせた完成品のことだそうです。

検査不正の概要

2018年9月までの間、アルミニウム素線の抜き取り試験数の一部について、顧客との間で定められた抜き取り数に満たない数で試験を実施していました。

また、同より線の引張荷重試験についても顧客との間で定められた試験方法ではなく、JIS規格に準拠した計算方法により合否を判定していました。って、これ計算してただけで、検査してないってことでしょうかね。

で、2018年9月に自主的に同社内で是正されている。と説明されてるんですが、ん~、よく分からんね、これって。

三菱電機 またもや検査不正(その2)

鉄道車両向け空調装置に続き、ブレーキ用空気圧縮機でも検査不正が発覚した三菱電機。かなり大ごとになってきました。米ニューヨークの地下鉄を運営するニューヨーク州都市交通局(MTA)が動き出したと、7/9付の日本経済新聞が伝えています。

米国が動くとヤバいかも

今のところ、「安全性や品質影響などの追加情報と、必要になるかもしれない修復措置について三菱電機に要求している」ということらしいですが、あちらは日本の企業のようになーなーでは済ませてくれません。

もしこれが原因で車両事故や運行への影響、乗客の健康被害などが出た場合、高額の賠償責任を負わされることも考えられます。日本と米国の違い、怖いですよ。その賠償請求先は、完成品メーカーはもちろんのこと、部品メーカーや販売事業者等にまで及ぶことがあります。

株価の方は

検査不正が公表されたのが6/30でした。前日の同社株の終値は1,633円です。不正が伝わると一気に売られはじめ、1,447円まで下げています。実は同社株は6/7に1,800円台の高値を付けた後、不自然なほど勢いよく下げ始めてたんですね。

このニューヨークの地下鉄の場合、三菱電機の空調装置を載せた完成車両を納めているのは川崎重工だそうです。こちらも株価は大きく下げてますが、こちらについては下げの材料となっているのかどうかよく分かりません。

英ロンドンの地下鉄やドイツの列車などの車両にも採用されているようで、こうした先からの反応も気になります。この不正、かなり大きな問題になっていきそうです。

SUBARU(スバル) 検査不正への対応 新施設建設

少し前のことになりますが、6/26付け日本経済新聞は、「スバル、350億円投じ新施設 検査 不正防止へ」という記事を掲載しました。日産自動車等と同様に、多くの検査不正が発覚した同社が、本気で取り組み始めた、、、ということでしょうか。

検査不正 (振り返り)

スバルの完成検査不正の問題は2017年以降、相次いで発覚しました。国内工場で無資格の従業員が完成検査に携わっていたほか、排ガス・燃費測定値の改ざん、最終組み立て工程後に実施する完成車の全数検査で、ブレーキや舵角検査などで不正行為が判明したというもの。

世界販売が堅調で工場の稼働率が高まる中、業務量が膨れ現場に負荷がかかっていたほか、老朽化する設備に対しても必要な投資をしなかったことが問題の引き金となったと言われています。 経営陣の完成検査業務に対する認識や関与も不十分で、特に現場から上司にものを言いにくい組織風土が問題視されてましたね。

再発防止策

スバルは再発防止に向けて、完成検査部門を製造部門から移管して独立性を確保したほか、5年間で品質向上策に1500億円を投資し、検査設備の新規導入に取り組むとしていました。

今回報道された新施設。約350億円投じて群馬製作所(群馬県太田市)に完成車の検査棟を3棟と関連設備を新設するというもの。製造ラインと分けて物理的に独立させ、作業員が検査に集中できるようにするそうです。

5年間で1500億円投資するといっていたうちの350億円ということですね。あれから既に3年が経過しようとしています。ここまでの取り組みはスバルの品質を劇的に向上させることができるでしょうか。北米を中心に世界中に熱烈なファンが多いことで有名な同社のこと、ぜひ立ち直ってもらいたいものです。

三菱電機 またもや検査不正

三菱電機は6/30、「当社鉄道車両用空調装置等の不適切検査に関する件」を公表しました。何かと事件が多い三菱電機ですが、今回のこの事件、あっという間に他の製品の検査不正に飛び火。なんと鉄道車両ブレーキの検査不正という物騒な話まで出てきました。

空調装置

まずは、鉄道車両向け空調装置の一部機種で「不適切な検査」を行っていたという話。製造を担う長崎製作所で架空の検査データを顧客に報告するなどしており、検査不正は1980年代から30年以上続いていた疑いがあるとのこと。

しかも、架空のデータを自動で生成する専用プログラムを、遅くとも1980年代から使うといった悪質な手口が明らかになっているようで、組織的な不正であることは間違いなさそうです。

ブレーキ用空気圧縮機

翌日、続いて出てきたのが、鉄道のブレーキなどに使う空気圧縮機でも「不適切」な検査があったという報道。こちらも10年程度にわたり行われていたようで、1000台を出荷しています。鉄道用空調装置の検査不正に関する調査の過程で判明したそうです。

空調装置の検査不正は6/14に社内調査で判明していて、累計出荷台数は8万4600台。ブレーキ用空気圧縮機の検査不正については6/28に分かったといいます。

株主総会終了後

6/14、6/28と、立て続けに判明したとのことですが、これらはいずれも6/29開催の同社定時株主総会前に把握できていたことになりますね。しかしながら、株主総会ではこの話題に触れていないようです。

この株主総会における決議事項の議案は「取締役12名選任の件」だけ。12名中11名は再任です。検査不正を隠し、自分たちの再任を優先したと言われてもしょうがないですね。こういう人たちに、「製品の安全、機能、性能に影響はない」と説明されてもねぇ。