サカタインクス 子会社阪田産業でやはり架空循環取引

2/14付けで、「当社連結子会社の不適切な取引に伴う特別損失(貸倒引当金繰入額)の計上に関するお知らせ」を公表していたサカタインクス。あれで終わらせてしまうのかと思っていましたが、3/10、「当社連結子会社における不適切な取引について」を公表しました。

事案の概要

やはり架空循環取引でした。阪田産業の機材関係の特定の取引先に対して、仕入も売上も実体のない、数社(と思われる)を相手とする架空循環取引が行われており、同取引に元社員Aが深く関与していたということです。深く関与というよりはこの元社員Aが主犯ですね。

なお、社内調査の結果、この架空循環取引と類似の不適切な取引が行われた事実は認められなかったとのこと。また、元社員A以外の阪田産業の他の役職員による組織的な関与も認められなかったとしています。ん~、ホントかね。

坂田産業においては、この元社員Aを懲戒解雇に、取締役社長が辞任。直属の上司(営業部長)は減給処分としたとのこと。親会社のサカタインクスにおいては、代表取締役 社長執行役員について、月額報酬の20%を減額(1ヵ月)という処分になっています。

なんとも雑だなぁ

調査結果の概要も別紙として公表しているんですが、3ページという代物。詳細はよく分かりませんが、元社員Aと子会社社長を切って、とにかく早く終わらせたいって感じに見えてしまうんですよね。

10年にわたって行われてきた架空循環取引の額、結構な金額ですよ。直近3期はいずれも15億円前後の架空の売上がたっています。再発防止策とかも書かれてるには書かれてるんですが、全体的にどうにも対応が雑過ぎるような・・・。

サカタインクス 子会社阪田産業で架空売上

サカタインクスは2/14、「当社連結子会社の不適切な取引に伴う特別損失(貸倒引当金繰入額)の計上に関するお知らせ」を公表しました。不適切な取引判明時の開示はなく、いきなり当該不適切な取引に伴う損失の会計処理に関するお知らせです。

サカタインクス

サカタインクスは大手総合インキメーカー。新聞・オフセット・フレキソ・グラビア・メタルインキなど各種印刷インキを核に、印刷製版用材料や印刷製版関連機器、機能性材料(インクジェットインキ、トナー、カラーフィルター用顔料分散液など)にも展開しています。国内では東洋インキSCホールディングス、DICに次ぐ第3位の企業みたいですね。

不適切取引の概要

開示では、「2021年12月期において当社連結子会社の一部の取引に関し、その実在性を確認できない不適切な取引」が判明したとしています。この件が判明した時期は明示されていないんですが、少なくとも昨年12/28には外部専門家を含む調査委員会を設置して、調査を開始したということです。この時点では一切開示せず、、、です。

舞台となったのは連結子会社の坂田産業。「阪田産業が過去において行っていた販売先及び当該販売先と関係のある別会社との一連の取引の一部については、その実在性を確認できないため、対象商品が存在しない取引であった可能性が極めて高い」と判断したようです。

持って回った言い方ですが、要は「架空売上」や「架空取引」の類ですね。未回収債権5億6千5百万円の全額に対して貸倒引当金繰入額を特別損失に計上したとのこと。かなりデカい金額ですね。

この事件、今回のこの開示だけで済ませてしまうんでしょうか。

株式会社ヤギ(7460) 決算発表を延期

同社福井支店における原料販売ビジネスの一部に、不適切な取引が2014年頃から行われていた疑義が判明し、外部専門家を含む社内調査委員会を設置していた株式会社ヤギ。約1か月経過後の5/10、「2021年3月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。

不適切な取引の概要

第一報ではまったくもって不適切な取引の内容が分かりませんでしたが、今回の開示では少しだけ同取引の概要に触れています。以下、開示文書からの引用です。

「当社が加工に関わらない仕入販売取引において、原糸であるにもかかわらず加工糸に偽装された商品の取引(加工糸偽装取引)」及び「仕入品に対し当社が加工を委託するが、加工実態がないにもかかわらず加工完了として偽装されたため、加工糸として販売した取引(架空加工取引)」があったということらしいです。

ん~。業界の基礎知識がないのでよく分かりません。付加価値を乗せた加工糸として販売した先はなぜ(原紙よりも)高い価格で買い取るんでしょうね。販売マージンだとか取りき奨励金みたいなおまけを付けるんでしょうかね。

「架空加工取引」と表現されているので、架空取引という商流に、一応原糸というブツが流通する取引なんでしょうか。すみません、kuniには全く分かりません。やはり調査結果を待つしかなさそうです。

決算発表延期

同社では引き続き本件調査を実施し、全容の解明、連結財務諸表(ならびに同社財務諸表)への影響の検討、原因分析を進めていくとしています。延期後の決算発表日についてはまだ公表していません。

ちなみに、ヤギが決算発表の延期を公表したこの日、他にも片倉コープアグリ、日本アビオニクス、ダントーホールディングスの3社が決算発表の延期を公表しています。いずれも新型コロナの影響によるものです。

理研ビタミン 特別調査委員会の調査報告書受領

7/27、2020年3月期連結決算発表の延期と特別調査委員会の設置を公表した理研ビタミン株式会社。9/23、同委員会の調査報告書を受領し、開示しました。連結子会社の青島福生食品有限公司におけるエビ加工品の取引に係る事実関係の調査でしたね。

結論から言うと

新型コロナの影響で現地へ足を運べない。青島福生食品には調査への協力が得られない。みたいな結果で、要するに取引の実在性を確認するに至りませんでした。というもの。何ともキレの悪い報告書でした。

決算の修正についても、取引の全容や実在性が確認できなかった特定の顧客向けの売上と売上原価を取り消し、売上原価相当分である120億円ほどを営業損益以外の項目とみなして、特別損失に計上するそうです。赤字転落ですね。しかしこれ、誰も妥当性を検証できません。

青島福生食品の対応

調査に対する青島福生食品側の対応が笑えます。同社の設立以来の総経理であり、調査対象についても一番よく知っているはずのA氏は、調査開始後まもなく体調悪化による入院を理由に出社しなくなる。

ほかにも財務部長のC氏は体調不良を理由に、出納担当者D氏は家庭内の事情を理由に出社しなくなる。他の財務部スタッフは調査期間中に一部の資料提出を拒む姿勢を継続する。。。などで、調査忌避を断行。

デジタルフォレンジック調査に関しては、PCに国家機密が存在する可能性、社内の共産党委員会に関係する情報の存在などの問題があるため、拒否られたと。国家機密に共産党、、、エビの加工販売じゃなかったっけ?

とまぁ、いかにも中国らしいというか。やはりこの国に生産拠点なんか置いちゃだめですよ。っていうのが理研ビタミンにとっての貴重な教訓ですね。

ハイアス・アンド・カンパニー(6192) 第三者委員会を設置

過去の不適切な会計処理を巡り、特別調査委員会を設置して調査をすすめていた同社ですが、今度は同社から完全に独立した社外委員のみで構成される第三者委員会へ移行することにしたと公表しました。調査により新たに架空売り上げが発覚し、他にもいろいろと。。。

不適切な会計処理

2016年4月期に費用として計上すべきであった上場支援に係るコンサルタント報酬約
880万円について、当該期に費用計上せず、2017年4月期にシステム開発の委託先を経由して支払うことで、当該期にソフトウェア資産として計上していたというもので、複数の取締役及び執行役員らが関与していた疑いがあるとしていました。

新たに発覚した架空売上

今回調査していた上記のコンサル報酬が、第三者を介した架空売上の資金循環のスキームの精算に関係していることが判明したそうです。そして架空売上はこのほかにも存在する可能性があるとしています。現時点では架空売上の金額は約2700万円になるとのこと。

ほかにも、売上高のカットオフエラーや入会金売上の収益認識の妥当性、費用計上の先送りといった案件が見えてきているようです。さらに、経営陣の関与も稟議書の決裁といったレベルではなく、経営陣の主導により行われた可能性までも示唆しています。

上場審査や市場変更審査

不正会計それだけでも大問題ですが、ここで出てくるもっと大きな問題は、マザーズへの上場審査の直前期に、これらの不正会計等が行われているということです。

経営自らが、架空の売上等も絡めて会計を操作し、公開時の姿(財務情報)をより美しく見せようとした疑い。さらに、マザーズから一部へ昇格するため、社内で把握した不適切な会計処理を取引所には伏せていた疑い。これらを客観的に調査するため、第三者委員会に移行するんですね。