「地球無風化」 風力発電はどうなる?

11/21付けの日本経済新聞に、「『地球無風化』、電力確保に難題」という記事がありました。異常気象の一種に「渇風」なるものもあるらしいです。欧州では2021年夏に風がほとんど吹かず、平均風速がこの数十年で最低になった国もあったそう。これ、ちょっとシャレになりません。

地球無風化

地球上の風は北極および南極と熱帯地域の気温差によって引き起こされるんだそうです。気温差が大きいほど風力は強まりますが、最近の北極では赤道直下より温暖化が進行し、両地域の気温差が縮まっているため、ジェット気流(偏西風)が弱まっているといいます。

実際のところ、欧州の北西部や中央に位置する国々では、年間平均風速が統計を取り始めた1979年以降最も、あるいは2番目に低くなっているようです。もちろんこうしたデータをもってすぐに、気候変動によって長期的に風速が落ちるという「地球無風化」であるとは断言できないようですが。

風力発電

脱炭素の実現には欠かせない存在となりつつある風力発電ですが、あたりまえに風が吹かなければ電力を作ることはできません。今のところ問題提起されているのは欧州だけのようですが、日本でも同じことが起こらないとは言えませんよね。偏西風の変化による異常気象は既に現れています。

地球無風化、ここに来てやっと洋上風力発電に本腰を入れようとしている日本にとっても、非常に悩ましい問題です。今後長期にわたって再生可能エネルギーを確保するには、風力発電に偏ることなく、電力源の多様化を図っていかなければならない・・・ということでしょうか。

ROXX(ロックス) 転職希望者の前職調査 リファレンスチェック

11/2付けの日本経済新聞に、「ロックス、コンプラ違反を点検 転職希望者SNS言動も」という記事がありました。転職希望者の前職調査(リファレンスチェック)を手掛けるROXX(ロックス)が第三者割当増資で約10億円を調達したという記事です。

リファレンスチェック

企業、会社が採用をしようとする応募者の、以前の勤務先の「同僚」や「上司」に、応募者の「人柄」「経歴」などを問い合わせすることを「リファレンスチェック」って言うんですね。外資系企業では以前から行なわれているリファレンスチェックですが、近年日系企業でも行なわれる機会が増えてきているんだそう。

リファレンスされる内容は様々らしいのですが、一般的には、在職時の仕事内容や成果、勤務態度、退職理由などを確認されることが多いということです。前職で見に付けた経験やスキルは自社に持ち込んでほしいけど、経営に関わる秘密情報を持ち込まれたりすると大変です。回転寿司でも最近起きましたね。前職から持ち出した不正なんだけど、持ち込んだ先が徹底的に叩かれます。

どこまで広がるのか

リファレンスチェックは欧米で先行して根付いているらしく、日本でも同様に活用が広がるとみられているとのこと。転職が当たり前の時代が来れば、当然のニーズでしょう。転職希望者の同意を得たうえで、複数の調査会社と連携し、犯罪歴や反社会勢力との関わりなどをチェック。SNS(交流サイト)での言動も調べるようです。

しかし、これって、難しそうですね。どこまでやっていいモノかどうか。転職希望者の同意を得るということですから、同意が得られない(=データがない)転職希望者を採用する企業がなくなるということになりそうです。昔はこそこそやってた情報共有。どこまでビジネスになるんでしょうか。

韓国の雑踏事件を受けて 満員電車への駅員による押し込みは

韓国 ・ソウルの繁華街、梨泰院(イテウォン)の路地で、日本人2人を含む156人が死亡しました。毎日のように報道されていますが、事件の原因の一つに、後ろから押せ押せという声がかかっていたという証言もあるんだとか。で、下り坂で押し込まれた人たちが・・・。

以前日本でも

この事件を見て一番最初に思ったのは、2001年(平成13年)7月21日、兵庫県の明石市で起きた明石花火大会歩道橋事故のことです。11名が全身圧迫による急性呼吸窮迫症候群(圧死)等により死亡し、183名が傷害を負うという群衆事故でした。今回の事件と似ていますよね。

花火大会とハロウィン。どっちも大勢の人が駆け付け、熱狂する場です。正直言って、「なんでこんなリスクの高いところに好んで人は集まるの?」って感じ。で、事故が起きると、事前の警備体制やら事後の救急体制なんかが問題視されます。亡くなった方々にはご冥福をお祈りいたしますが、一方でお祭り参加は自己責任じゃないの?という気持ちも。

満員電車

韓国の事件ではより大勢の人が亡くなったこともあり、管理する側の問題として他の場面にも影響が出そうですね。例えば満員電車。「いや、もうこれ以上乗れないだろ」って状況でも、駅員がホームから乗客を強引に押し込んでる様子、テレビなんかで見たことありませんか。東京に住んでる人なら自身でも経験したことあると思います。

この押し込んでいる駅員。もちろん、必要に迫られてお仕事でやってるんだけど、今後も出来るんでしょうか。車内で何か事故が発生した場合その責任は?コロナで満員電車減ったと思うけど、これからあの日常が戻ってくるとすると、気になりますね。

オカムラ 冷凍・冷蔵ショーケースの工場を新設

日本経済新聞は10/20、「オカムラ、長野にショーケース工場 100億円投資」と報じました。食品などの陳列に使われる冷凍・冷蔵ショーケースの工場を長野県須坂市に設けるということです。投資額は100億円程度とみられるとのことで、2024年11月の稼働を予定しているそうです。

オカムラ

いまさらですがオカムラは、オフィス家具業界のリーディングカンパニーです。子供のころは学習机や椅子でお世話になり、社会人になってからはオフィスのデスクや椅子、キャビネットなんかでお世話になってきました。いやぁ、あのオカムラが冷凍・冷蔵ショーケースなんか作るとは。冷凍食品革命で同社も進出か。

などと思いまして調べてみると、実は冷凍・冷蔵ショーケース、1972年から製造してきてるんですね。静岡県内の事業所で生産していたが、生産が追いつかない状況となってきたということらしいです。まったく知りませんでした。業界でのシェア等は分かりません。おそらく、ホシザキやフクシマガリレイ、大和冷機工業、中野冷機あたりがこの業界の大手だと思われます。

セグメント別の売上

同社の前期の売上を見てみました。セグメント別の状況では、オフィス環境事業で約1,400億円。対して、商環境事業(店舗什器、カート機器、セキュリティ製品、冷凍・冷蔵ショーケース)では1,000億円となっています。結構立派な売上ですよね。もちろん冷凍・冷蔵ショーケースだけの売上ではありませんが。

オフィス家具の会社というイメージしかありませんでしたので、冷凍・冷蔵ショーケース以外の店舗什器にしても驚きでした。さらに、オカムラは物流システム事業も手掛けており、同社製品の開発から製造、販売、物流、施工、保守点検、廃棄にいたるまで一貫した品質保証体制を構築しているんだそうです。良い会社ですねぇ。

肥料高騰 下水汚泥からリンを回収

神戸市や松山市、福岡市、佐賀市などで、自治体の下水処理場で発生する下水汚泥を肥料に再生し、地元の生産者に供給する取り組みが広がっています。ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに肥料価格が高騰するなか、下水汚泥の資源化が注目を集めているようです。

リン

佐賀市の事例などを読んでみると、コストを1/100に抑えられるみたいな報告もあるみたいです。肥料に用いるリンはほぼ全量を輸入に頼っているようで、このリンを下水汚泥から回収するということらしいです。全国の下水汚泥には、国内農業に使われる2割分にあたる約5.1万トンのリンが含まれているんだとか。

官民共同で

こうした動きを受け、農林水産省と国土交通省は10/17、下水処理の過程で発生する汚泥の肥料への利用拡大に向けた官民検討会を立ち上げました。中国やロシアからの輸入が滞り、足元で肥料の原料は価格が急騰中。下水汚泥から肥料の原料となるリンを回収する技術支援策などを協議し、年内メドに方向性を示す予定だそうです。

リンはほぼ全量を海外からの輸入に頼り、そのうち7割超が中国産なんだそう。そのため肥料価格の高騰を受け、農産物の価格が大幅に上昇しています。家計へのインパクトも非常に大きく、今後ロシアや中国との貿易を断ち切っていくためにも、この下水汚泥からリンを回収するというプロジェクトは非常に有用だと思われます。

このように、リンを含む下水汚泥は資源としてかなりのポテンシャルがあるものの、「下水汚泥に有害成分が含まれているのでは」という疑念も付きまといますよね。このイメージを払拭していくことも課題です。国産肥料をどこまで育てられるのか、注目です。