東急リバブル 従業員が2万5,406名の個人情報を持ち出し不正利用

東急リバブルは8/7、「弊社元従業員による個人情報の不正な持ち出しに関するご報告とお詫び」を公表しました。元従業員が退職、同業他社へ転職するにあたり、不動産登記簿に記載された情報をデータ化した社内資料を、不正に持ち出していたということです。

東急リバブル

東急リバブルは、東急や東急不動産などグループ各社をはじめとする不動産会社からの新築販売受託業や不動産仲介業を中心に、不動産ソリューション事業や自社ブランドによる分譲マンションの企画販売も行う企業。2013年に東急不動産ホールディングス株式会社の完全子会社となり上場廃止となっています。

不正の概要

元従業員が退職し、同業他社へ転職するにあたり、不動産登記簿に記載された情報をデータ化した社内資料を不正に持ち出し、その一部をダイレクトメールの送付に使用していました。

持ち出されたのは東京都港区所在の一部マンションの不動産登記簿に記載されている所有者の ①氏名②住所 ③所有のマンション名、部屋番号および所在地の情報(計 25,406 人) をリスト化したデータだそう。調査により、ダイレクトメールの送付以外に利用された事実がないことを確認しているといいます。

押収した元従業員のパソコンを調べただけみたいだけど、ここまで言い切れるものなのか。ここは少々疑問に感じます。ちなみに、kuniの自宅にも東急リバブルからのDMが届きます。住所や氏名など、この情報はどこから手に入れたのかな? おそらくこの業界では似たような事案がいくらでもあるんだと思います。

ピジョン株式会社 中国子会社で従業員の不正行為(その2)

ピジョン株式会社は8/14、「当社グループ子会社元従業員による不適切取引の疑いについて」を公表しました。中国の同社グループ子会社において、元従業員が費用や資産に関する不適切な取引を行ったと疑われる事象を調査した結果。事実上の終結宣言です。

調査結果

元従業員による固定資産及び物品等の発注 ・支払業務において、架空発注や転売等の不適切な取引が 2019 年から 2024 年までの間に行われていたことが判明しましたが、他に関与した者はおらず、いずれも単独で行われた個人的な不正であることが認定されたということです。

この事案による同社業績への影響額は、固定資産除却損:392 百万円、税金影響額 :164 百万円であり、当第 2 四半期決算に各金額を計上しております。だそうです。

これっで終結?

どの子会社のどういう立場の従業員が、どのような手口で不正を働いていたのか。この開示では全くわかりません。固定資産除却損:392 百万円 というのが不正により生じた会社の損失ということなんでしょうか。これほどの金額であれば何が起きていたのかもう少し説明する責任があるのでは?

組織的に行われていた不正を中国の名無しの従業員の不正ということにして帳尻合わせたんじゃないの?みたいな憶測も出てきそうです。同日延期していた決算も発表しており、調査報告書も開示する気はなさそうです。

ピジョン株式会社 中国子会社で従業員の不正行為が発覚

ピジョン株式会社は8/8、「当社グループ子会社元従業員による不適切取引の疑い及び2024 年 12 月期第 2 四半期決算発表の延期について」を公表しました。決算発表を当初予定していた8月8日から延期し、14 日へ変更することになったようです。

ピジョン株式会社

ピジョンは育児用品の大手。主力商品の哺乳器では国内で約9割と高いシェアを持ち、スキンケア商品、おしりふき、母乳パッド、ベビーカーなど幅広い商品を扱っています。介護用品、保育所運営などの子育て支援サービスも展開し、中国を中心にアジア、欧米など海外進出も積極的に進める東証プライム上場企業です。

不正の概要

7 月上旬、中国の同社グループ子会社において、元従業員が費用や資産に関する不適切な取引を行ったと疑われる事象の存在を認識し、直ちに社内調査を開始したということです。調査及び諸手続を完了させるまでには更に一定期間を要する見込みであることから、決算発表延期ということに。

開示された不正行為に関する情報は以上で、行為の詳細や金額などは不明です。同社の中国子会社は上海に2社と江蘇省常州市に1社、このうちのどれかと思われます。海外子会社での不正というと、経理担当責任者による会社資金の着服と棚卸資産の虚偽計上なんてのが多いですね。あと、自分の親族やその経営する会社とつるんで・・・なんてのも。

数日間だけの発表延期としていることから、社内調査がある程度進んでいるような様子です。特別調査委員会等の設置は行わず、社内調査で完結しようとしているようですね。

ブックオフグループホールディングス 従業員の不正行為(その2)

ブックオフグループホールディングスは8/6、「特別調査委員会による調査進捗状況に関するお知らせ」を公表しました。従業員による架空買い取り、在庫の不適切な計上及びこれらによる現金の不正取得の可能性があるとして、6/25から調査してきた件ですね。

不正の実態

今回の開示は、特別調査委員会の中間報告といえる開示ですね。以下のように大きく分けて3種類の架空買い取りが行われていました。

① 取引の実態が存在しない買取を当社システム上に記録した上、かかる買取に対応する現金を実際には当該行為を実施した従業員が着服する行為
② 買取の実態は存在し、お客様への査定金額は適切であったものの、当該買取を当社システム上に登録する際に単価や点数を水増しあるいは別の商品コードで登録し、当該水増し分等の現金を当該行為を実施した従業員が着服する行為
③ 取引の実態が存在しない買取を当社システム上に記録した上、その後同等の商品の売上を当社システム上に登録し、売上を偽装あるいは過大に計上する行為

これらの不正をごまかすために、やはり3種類の在庫の不正な計上が行われていたとしています。今回行われた臨時の実地棚卸において、これらの不正が発見されているのは国内ブックオフ事業の 24 店舗で、発見されている不適切な在庫計上として 70 百万円を認識しているとのこと。

機能してなかった店舗における実地棚卸

同社では各店舗の店舗在庫の実地棚卸を各店舗の店長・主任を中心として行っており、また、実地棚卸の適正性についての確認、検証は、店長・主任の上長である複数店舗を所轄するエリアマネージャーをはじめとした上長が行うこととして管理をしてきたといいます。

この管理体制が機能してこなかったということですね。店長や上長の統制が機能してなかっただけなのか、彼ら自身もこの不正に加担してきたのか。この辺は気になります。

株式会社アサヒペン 社内調査委員会の調査結果

株式会社アサヒペンは7/25、「社内調査委員会の調査結果及び特別損失の計上に関するお知らせ」を公表しました。連結子会社であるアサヒロジストにおける同社元従業員による業務上横領に関し、調査してきた結果ですね。

調査結果

5/29の第1報では、「総額で約1億9900万円の現金を私的流用していた」としていましたが、調査の結果、その金額は約2億830万円まで膨らみました。インターネットバンキングを利用した不正送金の金額が約1億3972万円。同社預金口座から不正に現金を引き出した金額が約6858万円という内訳です。

行為は2023年1月から2024年5月にかけて行われていますが、不正送金において、自己名義等の口座に送金する際に、送金先を同子会社の取引先であるように見せかけるため送金先名称を書き換えるなど、長期にわたる不正を隠蔽するために様々な手口を使っていました。

発生原因等

あくまで単独犯であり、類似事案もなかったことが確認されているようです。私的流用したお金の使途については、警察の捜査に委ねるとしています。

そして、この事例についても最大の発生原因は、資金管理を含む経理業務に関する権限が当該行為者に集中していたこと。他社の事例でも数多くみられる不正発生の原因ですが、まだまだこういう会社が存在するんですね。読者の皆さんの会社は大丈夫ですか?