株式会社バルカー 執行役員および従業員による不正行為が発覚

株式会社バルカーは9/25、「当社執行役員および従業員による不正行為の発覚ならびに特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。執行役員と従業員による不正行為、というか、着服ですからもはや犯罪行為です。

株式会社バルカー

バルカーは、工業用パッキンやガスケットなどのシール材料、配管材料、電気・電子材料、フッ素樹脂・エラストマー材料などを幅広く手掛ける企業です。顧客も石油化学業界や半導体業界など多岐にわたっています。以前は日本バルカー工業と名乗ってました。東証プライム上場企業です。

不正の概要

執行役員らが特定の取引先と示し合わせるなどして、取引先に対し代金の水増し発注を行い、捻出した資金の一部を執行役員らが着服していたことが、外部からの通報により判明したといいます。よくある架空発注によるキックバックですね。この不正行為による現時点で判明している損害見込み額は約2億円だそうです。

独立社外役員を中心に構成される特別調査委員会を設置し、当該不正行為に関する事実関係、類似する事象の有無等を明らかにしていくということです。執行役員が絡んでるキックバックはヤバすぎですね。

ブックオフグループホールディングス 従業員の不正行為(その3)

ブックオフグループホールディングスは9/2、「第 6 期(2024 年 5 月期)有価証券報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出のお知らせ」を公表しました。6月に発覚を公表した従業員の不正行為に関する調査がまだ時間がかかりそうということで、期限延長の申請ということに。

おさらい

複数店舗において、従業員による架空買い取り、在庫の不適切な計上及びこれらによる現金の不正取得の可能性があることが発覚。6月の発覚に合わせて設置したた特別調査委員会は8/6に、これらの不正は国内ブックオフ事業の24店舗において確認されており、不適切な在庫計上として 70 百万円を認識しているという中間報告がなされていました。

期限延長の申請

有価証券報告書の提出期限が9/2であるところ、延長後の提出期限を10/22とするという期限延長の申請を行っています。特別調査委員会が同社グループ全従業員へのアンケートの実施、また、同社グループに関する財務数値の分析等の調査を行い、類似の不正の有無ならびに他の不適切な取引の有無について調査を行うため、これだけの期限延長がが必要という判断のよう。

現場に対するガバナンスが全く効いていなかったという事実が発覚したわけですから、膿を出し切るという意味で、上記のような徹底した調査を行うことは非常に重要だと思います。中立かつ公正な外部専門家で構成された特別調査委員会だけに、費用は相応にかかると思いますが、再生に向けた必須の投資と考えるべきですね。

バリュエンスホールディングス 従業員の不正行為に関する調査結果

バリュエンスホールディングスは8/30、「当社連結子会社の元従業員による不正行為に係る社内調査結果等のお知らせ」を公表しました。今年3月に公表していたこの事案、あの時の開示をもってほぼ調査終了って感じでしたが、その後も継続していたんですね。

調査結果

子会社における不動産仲介サービスにおいて、元従業員が 2023年11月から 2024年3月までの間、計4回にわたり、不動産売却意向のないお客様が保有する不動産に関し、不動産売却の仲介依頼を受けたように捏造し、不動産仲介手数料等として現金合計約6百万円(内、約2百万円は回収済。)を着服していた。

2023年12月から 2024年3月までの間、計3回にわたり、正式に締結した不動産仲介契約において、仲介手数料及び手付金の金額を過少に報告し、仲介手数料及び手付金の一部である現金合計約1百万円を横領していた。 というのが不正行為の概要です。

内部管理体制の不備

不正行為の発生原因として、不動産事業部における金庫の鍵、社判及び印鑑などの現物管理ルール等に不備があったことがあげられており、再発防止策に法務部や総務部に決裁・承認権限を集中させる、といったことが書かれています。

要するに、少なくとも本業とは言えない不動産事業部では、契約の締結や契約内容の変更(手数料の割引など)が、現場で勝手に行われていたということ。さらにそうしたことを本社がチェックできていないという杜撰な管理状況でした。しかし、上場企業でこんなことってあるの?

従業員が本業の損失を不正により補填する時

先日、当ブログで取り上げたNTP名古屋トヨペットで発生した従業員による不正行為の事件。同社からの開示情報が少ない中、日経では「一部は自身の口座にも振り込ませていたといい、勤務先で自身が生じさせた未回収金を穴埋めしようとした」と報じられていました。

ちょっと気になった動機

従業員が不正を働き資金を得る際のもっとも一般的な動機は、遊ぶ金が欲しい、抱えてしまった借金をどうにかしたいから、というもの。ギャンブルや主に異性を対象とした交遊(風俗やね)のためにお金が必要だったから、という理由がほとんどです。

しかし、今回のNTP名古屋トヨペットの事件では、「一部は自身の口座にも振り込ませていたといい、勤務先で自身が生じさせた未回収金を穴埋めしようとした」とされており、多くの不正の動機とはちょっと違う感じです。もっとも、「一部」という表現で限定しているので、その他はギャンブル等に費消されていた可能性はありますが。

自身が生じさせた未回収金を穴埋め

本業で出してしまった損失を他のところで不正にお金を得て補填するという行為の裏にどのような状況があったんでしょうね。正規の業務で失敗して会社に損失を出させてしまう。どんな会社でもありうることです。

それを不正(犯罪)を犯してまで埋め合わせなければならないというプレッシャー。なにがなんでも会社の利益を上げ続けなければならないという雰囲気やそれを醸成する態勢やカルチャー。ここにメスを入れておかないといけません。くれぐれも行為者だけを処分して終わり、なんてことのないよう。

NTP名古屋トヨペット 車の架空取引で元従業員が逮捕

NTP名古屋トヨペットは8/20、「当社 元従業員の詐欺容疑での逮捕について」を公表しました。元従業員は、付き合いのあった自動車販売会社社長に、架空の取引を持ちかけ現金をだまし取った可能性があるとして詐欺の容疑にて逮捕されました。

NTP名古屋トヨペット

NTP名古屋トヨペットは、愛知県を主な販売エリアとする、トヨタ自動車の正規ディーラーです。2020年からはトヨタ車全車種を取り扱っています。同社は上場企業ではありませんが、トヨタグループということで取り上げました。

不正の概要

当該元従業員(当時は課長)は、業者やその代表者個人に対して、取引に介在することで利益が得られるとして、実体のない取引について送金額や送金先を提案するなどして業者間の金銭の振込行為に関わっていたといいます。

名古屋市緑区にある自動車販売会社に対し、自動車売買の仲介を持ちかけ、車の仕入れ代金を立て替えれば約1割上乗せした額が口座に振り込まれるなどとうそを言って、約9900万円をだまし取ったというのが逮捕容疑。

このような手口で約2年間で十数社と約500回の架空取引を繰り返し、これらの取引による被害総額は14億5千万円になるということです。容疑者はだまし取った金の一部を自身の口座に振り込み、正規営業で出した損失を補てんするなどしていたとみられるとのこと。この動機、考えようによってはかなり怖い。