アコム株式会社 銀行出向社員が銀行の個人情報を漏洩

アコム株式会社は10/16、「弊社出向者による個人情報の不適切な取扱いについて」を公表しました。八十二銀行に出向中の同社社員が、株式会社長野銀行のカードローン契約者および八十二銀行の顧客の個人情報を、顧客の同意取得前に同社に送信していたとのこと。

アコム株式会社

アコムは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の消費者金融大手。営業資産残高や顧客数などから、業界のリーダー的地位。ローン・クレジットカード、信用保証、海外金融、債権管理回収の各事業を展開する東証スタンダード上場企業です。

事案の概要

業務提携先の長野県の地方銀行に出向していた社員が、本来は共有してはいけない銀行の預金者の個人情報を10万件以上、自社に流す不適切な取り扱いがありました。八十二銀行においては、本人の同意を得ることなく10万件を超える個人情報を、また、八十二銀行と合併する予定の長野銀行については、1800件以上の個人情報を自社に送信していたとのこと。

このところ損害保険会社や保険会社などで横行した不正行為と同様ですね。アコムでは入手した情報で営業はしておらず、すべて削除したということですが・・・。この事件、日経ではなぜか「誤送信」と表現されていました。当該社員がルール(共有可能な顧客の範囲)を誤って理解していたから「誤送信」、ということのようですが、一般的にこういうの誤送信と言いますかね?不正行為ですよ。

ブックオフグループホールディングス 従業員の不正行為(その4)

ブックオフグループホールディングスは10/15、「特別調査委員会の調査報告書(公表版)公表に関するお知らせ」を公表しました。複数の店舗で架空買い取りや不適切な在庫計上の可能性が発覚し、外部の弁護士らで構成する特別調査委員会で調査してきた結果の公表です。

調査結果

国内の26店舗と子会社の商品管理を行う1つの部署で買い取り金額を水増して現金を横領するなど、従業員による不正が29件確認されたということです。架空の買い取りなど不正による影響額は合わせて8,100万円にのぼるとのこと。

不正があった店舗数は8月の途中報告の24店から2店舗増え、不正による影響額も約1,000万円増加しています。

同社は直営店舗数が387 店。連結ベースの従業員が、社員1,572名、パート・アルバイトが12,966名を抱える大所帯。に対して、同社の内部監査部(年間を通じて監査を行い、業務及びその内部統制の適切性・有効性を検証・評価する)は、社員 4 名だけなんだそう。この数では現場に足を運ぶ監査など出来っこありません。まず、ここが一番の問題点でしょう。

貧弱な監査態勢

発生原因の筆頭に定番の「従業員におけるコンプライアンス意識の欠如又は不足」が挙げられていますが、会社執行部がしっかり現場の状況を確認しているぞ、という態勢が非常に重要で不正を抑止することが可能。たった4名の内部監査部では現場へのけん制すら働きません。

TDK また営業秘密不正持ち出しで元従業員が書類送検

TDKは10/4、「当社元従業員の書類送検について」を同社ホームページで公表しました。同社の元従業員が不正競争防止法違反の容疑で、10月4日、東京地方検察庁に書類送検されたということです。当該事実が報道されたから、やむを得ず公表したって感じの文面。

TDK

TDKは、二次電池をはじめ、様々な電子部品を手掛けています。世界で唯一、HDD用磁気ヘッドを外販するほか、小型リチウムイオン電池では世界シェアトップを誇る東証プライム上場企業です。

不正の概要

元従業員退職後の社内調査の結果、当該元従業員による同社の秘密情報の不正な持ち出しが判明。そのため、同社は警視庁へ被害届を提出し、捜査に協力してきたとのこと。なお、現在までに確認された情報によると、元従業員による第三者への営業秘密の流出は確認されていないとしています。転職活動の一環で持ち出したデータを利用しようとしていたとみられるとのこと。

実はTDKでは、今年6月にも、元従業員2名が秘密情報の不正持ち出しによる不正競争防止法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検されてるんですね。不起訴となったみたいですけど。この事件が判明したちょうど同じ時期に、今回の不正も実行されています。

情報管理、どんだけユルユルな企業なんでしょう。従業員が自社の管理態勢の甘さを見切ってるってことです。

群馬銀行 顧客の金5千万円を預かり着服

群馬銀行は10/2、「元行員による不祥事件の発生について」を公表しました。深谷支店兼深谷上柴支店の行員(渉外係、 20 代男性)が、顧客の金約5千万円を不正に預かり、着服していたとのこと。

群馬銀行

群馬銀行は群馬県、埼玉県および栃木県を主要な営業基盤とし、銀行業務を中核にリース、証券、コンサルティングなどを手掛ける群馬県最大の地方銀行。国内店舗網を群馬県内を中心に栃木、埼玉、首都圏、大阪の7都府県に展開する東証プライム上場企業です。

不正の概要

当該行員が、「新紙幣への両替の目標がある、両替を無料で受け付ける」、との虚偽の説明を行い、不正に現金を預かっていた事実が発覚。8/13から 9/3までの期間に、同様の手口により個人と法人16 先の顧客から 55,350,000 円の現金を預かり、ギャンブルに費消していました。

行員はオンラインで米大リーグなどの試合結果を予想する「スポーツ賭博」にのめり込み、預かった金のほとんどを使い込んでいたことが判明したとのこと(約400万円だけは回収できた模様)。

事実は小説よりも

犯行が行われたのは新1万円札の肖像に採用された渋沢栄一の出身地。この地では新紙幣発行でお祭り騒ぎでしたね。そして、着服した資金をつぎ込んだのはメジャーリーグ(大谷翔平選手が大活躍)の試合結果を予想する「スポーツ賭博」だったそう。なんか、ストーリーが出来すぎです。なお、同行は顧客に全額返済し、行員を9月20日付で懲戒解雇したとのこと。

株式会社サンリツ 連結子会社において従業員の不正が発覚

株式会社サンリツは9/30、「連結子会社における不正発覚及び調査費用による業績影響に関するお知らせ」を公表しました。同社連結子会社である SANRITSU LOGISTICS AMERICA Inc(以下SLA) にて、従業員による不正が発覚したとのこと。

株式会社サンリツ

サンリツは、精密機器など工業製品の梱包を中核に、トラック輸送、倉庫保管などの物流サービスを提供する企業。京浜地区を主力に成田、横浜などに拠点を展開する東証スタンダード上場企業です。SLAは国際貨物の包装梱包、自動車運送事業、倉庫事業を担当しています。

不正の概要

本年7月、内部通報により SLA に出向の同社従業員による不正行為の可能性を認識し、外部調査機関の調査により、当該従業員及び当該従業員から指示を受けた一部の従業員による数年にわたる複数の不正行為が8月上旬に発覚したとのこと。

不正行為の内容やその範囲、並びに会計への影響については、現在も調査を進めているとしており、今回の開示では不正行為の詳細は分かりません。なお、当該従業員はすでに8/26、懲戒解雇処分となっています。

「数年にわたる複数の不正行為」と表現されているあたり、それなりの規模の不正行為であることがうかがわれます。