三菱商事 中国での銅不正取引で135億円以上の損失

報道によると、三菱商事は中国拠点のトレーダーが関与した疑いがある銅取引での不正行為で、9000万ドル(約135億円)以上の損失を被ったことが分かったとのこと。商品取引で多額の資金を扱うトレーダーが、会社を犠牲にして私腹を肥やそうとしたってことのよう。

三菱商事

三菱商事は総合商社大手で三菱グループの中核企業。歴史的に資源関連事業(石炭、銅、LNG=液化天然ガス=など資源の上流権益の保有、トレーディング)に強く、機械、生活産業、化学品など非資源分野にも強い収益基盤を有する東証プライム上場企業です。

不正行為

同社傘下のRtMチャイナで銅取引を担当していたトレーダーを解雇しました。同トレーダーが自身と関係のある地場企業などと無許可で取引をしていたことが判明。損失額は6億元(約123億円)をはるかに超えるとのこと。

トレーダーはこうした取引を通じて個人的な利益を得ており、自身の投資資金やぜいたくな生活のための資金源にしていたといいます。今のところ三菱商事はこの件について何も公表していませんが、流石の三菱商事とはいえこの損失額は小さなものではありません。

株式や債券、為替、金属など、トレーダーって相場を相手にしてるため、物凄く巨額なトレード権限を与えられているんですよね。そのため企業としての管理はかなり難しい。そういうリスクが露呈した事件です。

株式会社フコク 中国子会社で従業員の不正行為

株式会社フコクは11/29、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。中国の製造⼦会社の1社において、従業員による不正行為が確認されたとのこと。同社から独立した中立かつ公正な外部専門家で構成される調査委員会を設置し、調査を実施するということです。

株式会社フコク

フコクは自動車用を主体とするワイパー製品やシール製品、防振製品などの工業用ゴム製品の大手メーカーです。自動車用ワイパーブレードラバーなど、高い世界シェアを持つ製品も多く、アジア、米国、メキシコ等の海外展開に注力する東証プライム上場企業です。

不正行為

中国⼦会社の管理部門⻑が⽉次数値に異常を認識し、その調査を⾏ったところ、同社の従業員が不正な経理処理により資金を着服した可能性があることが発覚したといいます。今回の開示では、その不正の手口や金額、単独犯かどうかなど、なにも明らかにされていません。

ちなみに、この開示の直後も同社の株価はほとんど変動なし。先日書いたACCESSの暴落とは対照的ですね。あくまで一従業員の不正であり、着服の金額も大したことないってことでしょうか。調査委員会の調査結果を待ちましょう。

アクシスコンサルティング 元従業員が個人情報を転職先企業に不正持出

アクシスコンサルティングは11/13、「ご登録者様情報およびお取引先様情報の流出に関するお詫びとご報告」を同社ホームページで公表しました(っていうかしていました)。適時開示がされていないため気付きませんでした。

アクシスコンサルティング

アクシスコンサルティングは、コンサルタントの人材紹介およびスキルシェアの各サービスを展開しています。人材紹介事業として正社員採用サービスを、スキルシェア事業としてフリーコンサルサービスおよびスポットコンサルサービスを提供する東証グロース上場企業。従業員120人程度のまだ若い企業です。

不正の概要

元従業員が、ご登録者様およびお取引先様の個人情報等を転職先企業に持ち出していたことが判明したとのこと。現時点の調査で判明している漏えい件数は、1,306名分だといいます。漏えいしたのは、「氏名」・「生年月日」・「住所」・「電話番号」・「メールアドレス」・「勤務先の会社名」・「所属する部署名」の全部または一部。

顧客から転職後の元従業員が接触してきたことを同社に連絡があったことから不正が判明しました。その後の同社対応はしっかり出来ていて好感が持てるのですが、好決算を適時開示したその日に、こっそり自社ホームページで公表するというスタンスはいかがなものかと。

三菱UFJ銀行 行員が貸金庫から現金・貴金属十数億円分盗む

三菱UFJ銀行は11/22、東京都内の2つの支店の貸金庫から顧客の現金や貴金属を盗んだとして、貸金庫の管理を担当していた行員を懲戒解雇したと発表しました。

犯行の概要

2020年4月〜24年10月、練馬支店(旧江古田支店を含む)、玉川支店の2支店で貸金庫を無断で開け、顧客の資産を繰り返し盗んでいたということです。盗まれた資産が顧客約60人分で被害総額は十数億円に上るとのこと。ただし、この金額は行員の供述に基づく数値のため、現在も詳細を調査中といいます。

懲戒解雇されたのは店頭の業務責任者だった行員で、一連の行為を認めているとのこと。問題の発覚を受け、警察に相談するとともに全ての支店の緊急点検を実施。2支店のほかに被害は確認されなかったとしています。

同行は「厳格な管理ルールを定めていたが未然防止に至らなかった。」 とコメントしているようですが、こういう場合、「厳格な管理ルール」って言えるんでしょうかね。ルールに抜け漏れがあったとか、実運用に沿っていなかったとか、やっぱ何かしら問題があったということでしょう。あぁ、実務が回らないほど厳格なルールだったってことか。

しかしまぁ、顧客から問い合わせがあればまず一番に疑われる立場の行員が何でこんなアホなことしたんでしょう。今のところ動機等については公表されてないようです。

ブックオフグループホールディングス 従業員の不正行為(その5)

ブックオフグループホールディングスは11/12、「再発防止策の策定及び役職者の処分に関するお知らせ」を公表しました。今年6月、複数店舗等で従業員による架空買い取りや横領などの不正行為が発覚し、横領の被害額は5600万円に及んだという事案を受けての対応ですね。

役職者の処分

社長は、11月から2025年1月まで業績連動型報酬と月額報酬のそれぞれ30%を返上。また社内取締役2人と執行役員2人も業績連動型報酬の30%と月額報酬の10%を減額。ブックオフコーポレーションの執行役員4人は業績連動型報酬の8~17%をそれぞれ返上するとのこと。

再発防止策

架空取引などの再発防止策として、POSシステムの改修または精算機の導入を検討。高額買い取りにおける承認ルールなどを見直すといった内容。まあまあ、一般的な再発防止策かと思います。

これらの再発防止策の中で気になったのが、「店舗現預金の補充について従業員個人口座の利用の廃止」、というもの。サラッと書かれてるんですが、これってなに?。会社の買取原資のキャッシュが不足してきたら、従業員が自身の口座から補填してたってこと?

個人営業のお店であればアリかもしれないけど、上場企業の支店でそんなことありえないでしょ。やっぱり、個人営業レベルの管理態勢で上場してしまった付けが回ったってことなんでしょうね。