京王電鉄 乗務中の車掌が私物のスマホを操作?

京王電鉄は1/8、「【お詫び】当社車掌による乗務中の私用スマートフォンの操作について」を公表しました。乗務中の車掌が電車の走行中、同社の定める社内規程に違反し、私用スマートフォンを所持、操作していたということです。

京王電鉄

京王電鉄は関東私鉄大手。新宿(東京)-八王子(東京)を結ぶ京王線と、渋谷(東京)-吉祥寺(東京)を結ぶ井の頭線が主力。鉄道に加え、沿線の不動産開発やホテルの運営など幅広く事業を手掛ける東証プライム上場企業です。

顧客からの通報で

12月31日と1月6日の両日に、車掌が乗務中にスマートフォンを操作していたということなんですが、これ2件とも「お客さまからのご指摘により判明した」ということです。公表文では事案2件で別々の2名の車掌、といってるような感じがします(明確には記されていない)。

同社は厳正に処分するとしています。社内規程に違反しているということですから、処分されるのは当然だけど、そこまでの大事?って感じもしますよね。ややカスハラ的な面もありそうで・・・。ただ、顧客からの通報で、たとえ小さな違反とはいえ、速やかに事実を公表、対処した同社の対応は素晴らしいと思います。大きな違反や不正はこうした小さな綻びから始まるものです。

プロトコーポレーション 再発防止策を公表

従業員による架空取引が発覚したプロトコーポレーション。12/10の調査結果の公表に続き、12/20、「特別調査委員会の調査結果を受けた再発防止策の策定に関するお知らせ」を公表しました。

おさらい

売上高で十数億円にのぼる架空取引が確認されましたが、その取引により従業員が着服等していた事実は確認されませんでした。「所属する事業部の売上予算達成のプレッシャーを感じた従業員が単独で、売上予算の達成を意図して実行したもの」という結論になっています。着服等してなかったから問題なし、というわけではなく、これも立派な不正ですが。

内部監査の体制強化

今回の再発防止策は一応それなりの対策になっていると思いますが、目を引いたのは内部監査の体制強化という項目。同社の内部監査機能は、ガバナンス統括室という部署が所管しているんですが、、ガバナンス統括室で内部監査に従事する専任者は 1 名のみだったそう。

いやいや、そんなんじゃ監査なんて無理ですわ。今回の事案を受けて12/1付で1名増員、2名体制にしたということですが、これでも全然無理。従業員数536名、連結ベースでは1,523名の会社ですよ。このサイズの会社であれば最低でも5名体制くらいでないと、組織として機能しないと思います。

この点については調査報告書も懸念を示しており、次のように指摘していました。「外部専門家の支援を得ながら監査手法を開発するなどして一定の知見を蓄積してから社内の人員で自走するといった方法で内部監査を強化することも考えられる。」

昭和産業 従業員の不正行為 1億円超の着服

少し前になりますが、昭和産業は12/12、「当社元従業員による不正行為及び同人に対する訴訟提起のお知らせ」を公表しました。不正を働いた元従業員に対し、2024年12月12日付けで、約1億3千万円の損害賠償などを求める民事訴訟を東京地方裁判所へ提起したとのこと。

昭和産業

昭和産業は、小麦粉や食用油、糖化製品を主力とする食品メーカー。小麦・大豆・菜種・トウモロコシなどの穀物を、小麦粉、プレミックス、植物油、糖化製品、配合飼料などに加工し販売する東証プライム上場企業です。

不正行為の概要

当該従業員は2013年1月から2022年8月までの間、品質管理検査に必要な消耗品等の購入と偽り、約1億4千9百万円分のノート型パソコンを購入して、当該ノートPCを外部の買取業者に売却し、これにより約1億8百万円を着服していたということです。

発覚から懲戒解雇まで

2023 年7月に検査用消耗品の前年度仕入れデータに異常値があることを発見し、社内にて調査を開始。その後、当該従業員の関与が疑われたため、社内調査委員会を設置し、更に調査を実施したとのこと。

2024 年3月 29 日付けで当該元従業員を懲戒解雇して以降、これまでの間に当該元従業員との話し合いを通じて被害金額の回収を進めてきたが、民事訴訟を提起して引き続き被害額の回収に努めるとともに、今後刑事告訴を行うことを予定しているといいます。

発覚からの経緯を見ても分かるように、約1年4か月にわたり、この不正行為が起きていたという事実は伏せられたままだったということですね。これってどうなんでしょうね。

三菱UFJ銀行 貸金庫窃盗についての考察

三菱UFJ銀行は12/16、頭取以下が謝罪会見を行いました。11/22に発覚の報道があり、その後1か月近く経っているためか、メディアの取扱いは少々「叩いてやる感」が強かったような。この事件、個人的には、気になっていることが2点あります。

貸金庫に現金とは

現金は銀行の口座に預ければ僅かながらも金利もつきますし、貸金庫内に現金を預ける理由はありません。まぁ、超富裕層って金融機関にもVIP待遇を求めがちですし、そういう人たちが現金も貸金庫に預けていたって可能性はあるかもしれませんが。

そんなふうに考えると、貸金庫内の現金は脱税した現金など、違法に手に入れた現金である可能性が高まります。となると、窃盗の被害にあっても被害届を出せません。犯人の狙いはそこにあったのかもしれません。4年半も発覚していませんしね。貸金庫内のものは見ることは出来ませんが、顧客がどういう人物かについては観察する機会はありますからね。

新紙幣がきっかけに

4年半も隠されていたこの犯行が今年10月に発覚したのは、7/3の新紙幣の発行が絡んでいたのではないかという気がします。旧紙幣も引き続き使用できるとはいえ、時間が経てば経つほど旧紙幣を使用する際に目立ちますからね。金庫内の旧紙幣を新紙幣へと替えようと、貸金庫を開けた顧客から問い合わせがあり発覚、みたいな。 (※ 本日の記事はほぼkuniの妄想とお考え下さい)

株式会社ナ・デックス 業務委託社員による不適切な取引発覚で決算発表延期

ナ・デックスは12/9、「2025年4月期第2四半期(中間期)決算発表の延期および2025年4月期半期報告書の提出期限延長の申請検討に関するお知らせ」を公表しました。業務委託社員による不適切な取引が行われていたことが判明したためということです。

株式会社ナ・デックス

ナ・デックスは自動車生産の溶接工程で利用される、抵抗溶接システムおよび抵抗溶接制御装置の大手メーカー。このほか、産業機器や電子部品を中心とする商社機能も併せ持ち、国内中心に、北米、中国、東南アジアなどに展開する東証スタンダード上場企業です。

不正の概要

開示によると11月、仕入先からの問合わせにより、業務委託社員が架空の商品を対象とする循環取引を行っていた疑惑が発覚したとのこと。既に特別調査委員会を設置し、調査を進めてきたようですが、その過程でさらに新たに架空の在庫の正規取引への付替えを行っていた新たな疑惑等も出てきたようです。

調査委員会での精査に時間を要することが見込まれるため、決算発表等の延期が公表されました。業務委託社員というのがどのような存在、立場だったのか分かりませんが、開示を見る限り、相応に決算への影響がありそうな事案のようです。ちなみに、この事案も開示前日に同社株が急落しており、インサイダー取引が調査されることもありそうです。