東都水産 検証委員会の設置に関するお知らせ

少し前の話になりますが、東都水産は12/6、「検証委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。東都水産に対するTOBを知った同社の社外取締役が、同社株のインサイダー取引を行って儲けていた件でしたね。証券取引等監視委員会により同社外取締役に対する告発を受けた対応です。

おさらい

告発されたのは、東都水産に対するTOB公表前の2020年9月、①三印三浦水産名義で東都水産株8,000株を計約2,900万円で買い付けたこと。②公表直前の同年11月上旬にも知人に伝えて、同社株500株を計約200万円で買い付けさせたこと。の2事案でした。

今回の開示

上記の2事案のうち、②の、社外取締役が知人に対して情報伝達して儲けさせた件が今回問題視されています。どうやら東都水産としてはこの事実を掴んでいなかったということのようです。「当社が上記(②)の事実を認識しておらず、当社の認識と異なる事実が公表されたことに鑑み」と表現されています。

ただ、検証委員会でこの事実を調査しようということではなく、「これまでの同社の対応、情報管理体制等を検証するとともに、今後における情報管理体制、必要な措置等を検討する」のが目的のようです。おそらく社外取締役に対して聞き取り調査とかしてきたでしょうが、そこで突っ込み切れなかったことなど、反省されているということでしょうかね。

監視委員会が既に告発していますので、事実の精査については札幌検察庁が粛々と行うでしょうから、同社としては取締役会や監査役会によるここまでの調査や、そもそもの法令順守の浸透、チャイニーズウォールの態勢整備などの検証を行うことになりそうです。ちなみに、今回の開示時点では検証委員会の委員はまだ決まっていません。

アイ・アールジャパン 第三者委員会の委員を決定

アイ・アールジャパンは12/8、「(開示事項の経過)第三者委員会委員の決定、委嘱事項(調査の対象・範囲)及び調査結果の開示時期に関するお知らせ」を公表しました。11/14に委員会設置を公表して委員が決定するまで、1ヶ月近くかかってます。なにが難航したのかなぁ。

事案のおさらい

IRジャパンの副社長が投資会社に対して東京機械買収の提案を行い、その後に東京機械の買収防衛を請け負っていたという事案でしたね。この時のフィーは5億円だったとか。ちなみにこの副社長、半年前にインサイダー取引疑惑(証券取引等監視委員会が強制調査)で同社を辞めています。

調査委員と調査期間

今回の開示では調査委員が示されましたが、皆さんそれなりの方々です。一方で調査期間に関しては「2~3か月程度を目途」としていて、おいおい、そんなに掛かるんかよ、って感じです。他にも開示の中でいまだに、「ダイヤモンド・オンラインが報じた当社に関連した記事」などと事案を表現していたり、まるで他人事のよう。

これ以外の情報はなく、同社として調査したのは副社長の当時のスケジュールを確認したことぐらいなんでしょうかね。1か月間何してたの?

組織的な?

まぁ、いろいろと妙なもの見せられてるからか、この事案、副社長の単独行動ではなく、組織的に行われたものでは?と感じます。この会社の社長はアイ・アールジャパンホールディングス株の50%超を持つ「絶対的存在」だそうです。いわゆるワンマン社長ですね。

ヤフーの掲示板とか見ても同社長への批判がかなり見られます。株価は2021年の高値から既に10分の1以下。株主にとってはとんでもない経営陣、であることは間違いありません。

東都水産 元社外取締役 インサイダー取引で監視委員会が告発

証券取引等監視委員会は12/1、「東都水産株式会社株券に係る内部者取引事件の告発について」を公表しました。これまたエグイ事件ですね。東都水産に対するTOBを知った同社の社外取締役が、同社株のインサイダー取引を行って儲けていたというお話です。

インサイダー取引の概要

水産卸大手「東都水産」へのTOB(株式公開買い付け)公表前に同社株を取得するなどしたとして、証券取引等監視委員会は12/1、金融商品取引法違反(インサイダー取引と情報伝達)の疑いで同社の元社外取締役M氏(59)と、M氏が専務を務める「三印三浦水産」(北海道函館市)を函館地検に告発しました。「さんじるしみうらすいさん」と読むらしいです。

告発容疑は、東都水産に対する麻生グループ「ASTSホールディングス」のTOB公表前の2020年9月、三印三浦水産名義で東都水産株8,000株を計約2,900万円で買い付けたほか、公表直前の同年11月上旬にも知人に伝えて、同社株500株を計約200万円で買い付けさせた疑いだそうです。

社外取締役 2年前に退任?

東都水産としても12/2に「証券取引等監視委員会による弊社元社外取締役に対する告発について」を公表しています。その中で、「当該元社外取締役は、約2年前に弊社を退任しておりますが・・・」というくだりがあるんですが、ここが気になります。

過去の開示資料によると、この元社外取締役は2020年6月に就任。2022年6月の再任直前に退任というふうに読めるんです。就任直後に退任していてそれが開示されていないのか、今回の「2年前に退任」が虚偽なのか・・・。

アイ・アールジャパン 元副社長に新たな不正の疑惑

IRジャパンは11/14、「第三者委員会設置に関するお知らせ(ダイヤモンド・オンラインの報道を受けた当社元役員に関する追加調査の実施について)」を公表しました。半年前にインサイダー取引の嫌疑ですったもんだした元副社長(既に辞任)に新たな疑惑が浮上したようです。

新たな不正

IRジャパンは、プロキシー・アドバイザー(議決権行使助言会社)としてアクティビスト対応をいち早く手掛けてきました。日本の株主総会の“参謀役”、あるいは“用心棒”と呼ばれるような企業なんですね。

開示のタイトルにもあるように、ダイヤモンド・オンラインが、「2021年春ごろ、元副社長が投資会社のアジア開発キャピタル(ADC)代表と面会し、新聞輪転機メーカーの東京機械製作所の買収提案を行っていた」と報道したわけです。

何が問題かというと、東京機械の防衛アドバイザーを務めた(かなりのフィーを稼いでいたはず)IRジャパンの元副社長が、実はアジア開発キャピタル(ADC)に東京機械の「乗っ取り」をけしかけていたということ。つまりアクティビストに仕掛けさせておいて、防衛策のコンサルで儲けていたという構図です。いわゆるマッチポンプってヤツ。あくどいですねぇ。

第三者委員会

この報道を受けてIRジャパンも調査を行い、当時の副社長のスケジュールを確認したところ、同時期において副社長がアジア開発キャピタルと接触していた可能性があることを認識したということです。昨年9月にインサイダーを巡る調査委員会を閉じたばかりの同社ですが、再び第三者委員会を設置する羽目になったというお話。

インサイダーも酷い話でしたが、今回のこの事件は同社の信頼を完全に失いかねない一大事です。ダイヤモンド社は買収提案書を既に入手しているといいます。IRジャパン、かなり追い詰められてます。

東海リース株式会社 子会社役員の不正行為

東海リース株式会社は11/11、「外部調査委員会の調査報告書の公表に関するお知らせ」を公表しました。この事件も見逃していました。今年8/19、「当社連結子会社の不適切な取引に係る調査に関するお知らせ」を公表していて、9/22には外部調査委員会を設置して調査をしていたんですね。

東海リース株式会社

東海リース株式会社は、仮設建物およびユニットハウスを中心としたオペレーティングリース会社です。主なユーザー先は建築・土木業界で、リース商品の賃貸だけでなく、製造・運送・工事・補修などトータルなサービスを提供しています。以前取り上げた三協フロンテアと似た会社ですね。

不正の概要

不正が行われていたのは連結子会社の東海ハウス株式会社。東海ハウス株式会社の当時の役員、従業員等計4名が出資し、親族等を名義上の役員とする会社を設立したうえで、東海ハウス株式会社の部材外注加工に関する取引に当該会社を介在させていました。

当該会社を通じて、2021年3月期から2023年3月期の複数事業年度において、総計約14百万円の原価を水増し請求する行為を行っていたというもの。これが第一報で明らかになっていた不正行為です。ここで出てくる役員というのは、東海リースから送り込まれた代表取締役社長です。

その後の社内調査でさらに、同社長の個人的な用途のためにゴルフ練習場を造成し、高額な費用をかけて維持管理させていたという事実(損害額約1,200万円を見積もり)。さらに、東海ハウスのスクラップ売却代金を別口座にプールし、そのうちの一部が私用に流用されていた(ゴルフ練習場の費用もここから出ていた)というもの(損害額は約2,800万円)。

やれやれ、、、親会社から送り込まれた社長が酷いのは言うまでもありませんが、その他の従業員もつるんでやりたい放題、というトホホな事件です。