株式会社ハイパー 特別調査委員会の調査報告書を公表

株式会社ハイパーは4/25、「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」を公表しました。調査結果を受け、過年度の決算に与える影響等を精査し、延長後の有価証券報告書の提出期限である5/2までに決算も発表する予定だそうです。

調査結果

一従業員の不正だったようです。2005年に入社し、2014年には課長。2017年にはSS営業部の部長に昇進した人。SS営業部(SSはサービス&サポートの略)の部長による会計不正ということです。

12年間で部長になられてるので、かなり早い方でしょうね。原価の付け替えなどの行為は部長に昇格する前から行われていて、部長になってからも異例の扱いで、ずっと同じ取引先を担当していたということで、不正が発覚しなかったようです。もちろん、隠ぺい工作なんかも。

仕入れ計上の先送り、原価の付け替え、売上の前倒し計上、架空の受注など、帳尻を合わせるために、かなりいろいろとやっていたようですが、その目的は予算(目標)を達成するためということらしいです。まぁ、そのことにより出世も実現されたわけでしょうが。

私的流用の疑義

ありとあらゆる会計不正が実行されてきたわけですが、同部長による会社資産の私的流用については、ちょっと怪しい話も出てくるんだけど、報告書の結論は「私的流用を認定するには至らなかった」ということです。

調査報告書にでてくる次の指摘。「当該部長を含め同社の従業員には、基礎的な会計的なリテラシーが低く、許される行為と許されない行為の線引きの理解が曖昧で、倫理観のハードルが低いことがうかがわれる。」これって結構多くの企業で認められる傾向です。

株式会社ダイイチ 決算発表を延期 第三者委員会を設置

株式会社ダイイチは4/25、「2022 年9月期第2四半期決算発表の延期及び第三者委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。5/6の第2四半期決算発表に向けて準備を進めている過程で、社外からの指摘により、一部不適切な会計処理が行われていたことが判明したとのこと。

株式会社ダイイチ

株式会社ダイイチは、北海道の帯広地区や旭川地区、札幌地区で、食料品主体のスーパーマーケット「ダイイチ」をチェーン展開する企業です。2013年、イトーヨーカ堂と資本・業務提携しており、イトーヨーカ堂の持分法適用関連会社となっています。生鮮食品を強みとする東京証券取引所スタンダード市場 、札幌証券取引所上場企業です。

不適切な会計処理

開示によると、「期末間際に当期の予算達成が見えてきたことを前提に、仕入を先行計上し翌期の利益を確保するため納期をずらしたことが確認できました。現時点で確認している金額は、約 82,000 千円であります。」ということなんですが・・・。

ここで言ってる期末というのは第2四半期末のことでしょうか。仕入れを先行計上して第2四半期の利益を圧縮して第3四半期の利益を大きく見せようとしたということ?なんだかよく分からないなぁ。普通は2021年9月期末のことを指してるんだと思うけど。

第三者委員会を設置

開示された内容だけだとそれほど大きな不正とも思えないんですが、第三者委員会を設置するみたい。日弁連第三者委員会ガイドラインに準拠した調査、とかなり本格的です。

今回の開示ではその全容は見えていませんが、「社外からの指摘により」というところも気になりますし、かなり本格的な第三者委員会の設置というところもあり、何やらそれなりの不正が出てきそうな気配もあります。

ナカノフドー建設 海外連結子会社で不適切な会計処理

ナカノフドー建設は4/12、「内部調査委員会の設置及び令和4年3月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。同社の海外連結子会社タイナカノにおいて、不適切な会計処理が行われていたことが発覚したということです。

ナカノフドー建設

ナカノフドー建設は民間建築分野が主力の総合建設会社です。国会議事堂や日本橋、浅草寺など歴史的建造物の施工実績を有しているらしい。東南アジアを中心に海外拠点を展開しており、海外売上高比率が3割を占めています。

株式会社中野組が不動産事業に進出。2004年、不動建設の建築事業の営業を譲り受け、現社名に商号変更したんですね。東証スタンダード市場上場企業です。

不適切な会計処理

海外連結子会社タイナカノにおいて、平成31年3月期から令和4年3月期にかけ、複数工事での原価付け替えにより費用が繰延べられていたことが、タイナカノの社長(日本人・同社からの出向者)からの報告により発覚したとのこと。

原価の付け替えにより費用が繰り延べられていた、、、足元の業績を良く見せるための操作なわけですから、不適切化会計処理ではなく、会計不正そのものです。現時点で判明している費用の繰延べ額は総額約240百万円で、追加の原価計上が必要となりそうです。

この事案の調査と共に、類似事案の有無の確認等が必要であるため、調査委員会を設置して、グループ横断的な調査を実施するとしています。5月13日に予定していた2022年3月期の決算発表については延期となりました。内部調査の結果と再発防止策については、5月下旬を見込んでいるとのことです。

株式会社ハイパー 原価の付替えや架空売上も

2/14、「2021年12月期決算発表の延期及び特別調査委員会設置に関するお知らせ」を公表し、過去の不適切な売上処理について調査を進めているハイパー。3/31には有価証券報告書の提出期限延長を申請し、承認されています。

不正の概要

これまで、「決算発表に向けて準備を進めるなか、一部の取引において、不適切な売上処理が行われていた疑いがある」としか説明されておらず、詳細がまったく不明でしたが、延長申請のお知らせの開示の中で、少し不正の内容が見えてきました。

外注を伴う役務提供取引において、同社営業社員が過去から外注先への仕入れ債務の簿外処理や、別案件への原価の付替えによる売上原価の先送りなどを行っていたといいます。

さらに、外注先に対する簿外債務を精算するため、得意先から受け取る注文書を偽造することで架空の受注を計上して外注先に対する支払いを行い、検収書の偽造等による売り上げの架空計上を行っていた疑いがあることも判明したそうです。

原価の付替え、先送り、注文書や検収書の偽造による架空売上、、、。やはり予想通りかなりヤバいことになってきましたね。ただ、今回の開示においてもこれらの不正に関する金額等は一切説明されていません。

今後の予定

不正を働いていた同社営業社員の体調不良等により、予定していた頻度・時間でのヒアリングができていないとのこと。特別調査委員会の調査を完了させるためには、まだ相応の時間が必要としていて、4月下旬をめどに調査報告書を受け取る予定みたい。延長後の有価証券報告書の提出期限は5/2になりました。

サカイホールディングス やはり会計不正 調査結果を公表

サカイホールディングスは3/25、「独立調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」 を公表しました。問題の起きた連結子会社に対する調査期間は約1ヶ月半とかなり短期間で調査を終了しましたが、やはり会計不正でした。

株式会社セントラルパートナーズ

舞台となったのはサカイホールディングス連結子会社の株式会社セントラルパートナーズという会社。セントラルパートナーズは、地域密着型の保険代理店で、大手保険会社を複数社取り扱う保険のコールセンターです。

不正の概要

同社の経理部長が2016年から6年間にわたり、売上を水増ししていたということです。そして同経理部長にその実行を指示していたのが代表取締役でした。代表取締役も親会社のサカイホールディングスや創業家からの期待に応えるために会計不正を指示していたとのこと。

経理部長が実行者ではあるんですが、本人には会計不正を行う積極的な動機となるような事情は発見されなかったそうです。つまり経済的には何の利益も得ていなかったということです。辛いですねぇ。

トップから指示を受け、本人には何の利益もないのに帳簿を改ざんし、発覚を遅らせるため巧妙な偽装も行っていたといいます。稼げる部署ではないので、社内的には立場は弱いんですが、こういうこと(会計操作、粉飾)で期待される。

サカイホールディングスでは今月末までに、過年度の有価証券報告書等及び決算短信の訂正を行うとしています。6期にわたる会計不正の影響で、売上高で累積7億2,000万円の修正が入るようです。子会社における典型的な、経営や親会社に対する忖度で発生した不正でした。