楽天 (楽天モバイル) 従業員の不正行為に通信障害

当ブログでも何度も取り上げてきた楽天モバイル。このところドコモやKDDIの大規模通信障害に隠れて、あまり取り上げられることがありませんでした。企業として少し落ち着いてきたんかしら?と思いきや、やっぱりやってくれましたね。不正行為と通信障害の二本立てです。

従業員の不正行為

まずは従業員の不正行為。携帯電話基地局整備をめぐり、楽天モバイルが取引先から不正な水増し請求を受けていたということですね。水増し請求の損害は約46億円に上るそうで、一部は同社の当時の担当従業員側に還流していたとみられるといいます。キックバックですね。

取引先というのは、物流会社の日本ロジステック。日本ロジは楽天モバイルから基地局建設の部材の保管や輸送の業務を請け負っていました。日本ロジの役員が共謀(こっちが主犯?)していたようです。ちなみに、楽天モバイルの元従業員については8/12付で懲戒解雇になっています。

通信障害

上記従業員の不正行為を公表したのが9/2。その翌々日9/4には大規模な通信障害が発生します。2時間半程度で復旧したものの、全国で約130万回線に影響し、音声通話やデータ通信が利用しづらい状況になっていたようです。110番通報などの緊急通報もつながりにくい状況だったとのこと。

楽天モバイルが障害が発生していることを最初に利用者へ通知(自社ホームページに障害のお知らせを掲載)したのが、通信障害が起きてからおよそ1時間半後だったというのも、、、これまた問題ですね。やはり、いろいろ話題を提供してくれます。会社として一人前になれるのは、まだまだ先になりそうな気配です。

知床観光船 他3社においても不備を確認

日本経済新聞は5/18、「斜里町の3社、不備12件確認 国交省が緊急安全点検」と報じました。北海道斜里町で観光船を運航する4社に対して緊急安全点検を行い、うち3社で12件の不備が確認されたということです。観光船沈没事故を起こした「知床遊覧船」は特別監査中で、点検の対象外です。

やっぱりそうか

知床遊覧船の事故やそれに対する報道について、「同社の事例をもとに同業者が同じような見方をされることが非常に悔しい」みたいなことを取材に答えている業者がいましたよね。本当に彼らの会社は安全に配慮した運行ができているのだろうか、、、と感じたものです。

で、当局が緊急安全点検を実施してみたら、4社中3社で12件の不備を確認。日経の記事にある国土交通省北海道運輸局のホームページではこのことは確認できませんでした。どういった項目でどの程度の不備が見つかったのかは分かりませんが、「やっぱりそうか」という感じ。

コロナで顧客は減少、経営は業績の悪化に対してコスト削減を進めていたはず。その対象が顧客の安全を守るためのコストに向かうのは絶対にあってはならないことですが、他業種の多くの企業を見ていてもよく見る傾向です。

顧客にも価格の理解が

どんな業種でもそうですが、顧客にとっては価格が安いに越したことはありません。しかし、割高に見える価格には顧客の安全を担保するためのコストも当然含まれています。顧客の側にも、価格に対するそうした理解が必要なんでしょうね。

不備が認められた3社は5月末まで運航を自粛する方針だそうですが、運航再開に際しては不備の改善に徹底的に取り組んでもらいたいものです。

G-7ホールディングス 代表取締役社長が逮捕

G-7ホールディングスは5/1、「当社代表取締役社長が逮捕された件について」を公表しました。同社代表取締役社長の木下氏が4/30に道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕されたということです。翌日の5/2には、同氏の辞任が伝えられています。トホホな事件ですな。

G-7ホールディングス

G-7ホールディングスは、食のプロから一般消費者まで対象とした「業務スーパー」と、カー用品を扱う「オートバックス」のフランチャイジーとして、フランチャイズチェーン(FC)事業を主に展開する企業です。関東・中部・関西を中心に全国展開しています。東証プライム市場上場企業です。

逮捕容疑

開示では、「道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕」としか説明されていませんが、この事件いくつか報道されていました。4/29 午後11時ごろ、神戸市西区の市道で、酒を飲んだ状態で乗用車を運転した疑いで逮捕されたんですが、兵庫県警によると、高級外車「ベントレー」で直前に民家2軒にぶつかる物損事故を起こしていたということです。

知人宅で飲んで、家に帰る途中で民家2軒にぶつかって、門柱とフェンスを傷つける事故を起こし、住民が110番通報して御用となりました。

木下社長は創業者の長男で、2019年に社長に就任してるんですね。いわゆる2代目のボンボンってヤツのようです。2代目がやらかしてしまうケースはよく目にしますが、酔っ払い運転で逮捕されました、、、ってのはあまりに情けなさすぎます。

実はkuniはこの会社の創業間もないころを知っているんですね。証券会社の営業をやっている頃、同社を何度か訪問したことがあります。当時はキノシタ商事という会社でした。30数年ぶりに見るこの会社のニュースがこんな事件だとはねぇ。

野村證券 元社員2人 大麻所持で起訴

少し前になりますが、野村証券の社員2人が社員寮で大麻を所持したとして、千葉県警が大麻取締法違反の疑いで現行犯逮捕していたことが判明しました。1/30のことです。ニュースによると、住んでいた社員寮で乾燥大麻3.3グラムを所持した疑いだそうです。ちなみに、この量だと東京では1万円をちょっと超えるくらいの価格で買えるんだそうな(もちろん闇の価格)。

野村は本当におかしくなってきたのか

以前、3人の社員が顧客のお金を横領していた事件については、当ブログでも取り上げました。1件の不正を見付けて、再発防止のための取組としてモニタリング等を徹底し、残り2件の不正を発見していることから、kuniとしては一定の評価をしていたんですが、数年間にわたって3人が横領を続けていたことも紛れもない事実。この会社がどうなっていくのか注意が必要だなと思っていたところに今回の事件です。

社員寮に入っていた25歳と28歳の男性社員ということですから、まだ独身の社員でしょうね。入社してまだいくらも経っていない若手社員です。証券会社の場合はこの世代でも平気でトップセールスとかいますからね。ただ、支店営業か本社勤務かも不明ですが。

一人が起訴でもう一人が在宅起訴と報じられているのも意味深です。片方だけが身柄を拘束されていたということですもんね。彼ら二人に大麻を譲渡したという人物(野村の社員ではない)も逮捕されているようなので、その人物との関係性ですかね。どのタイミングでなのか分かりませんが、野村は彼らを懲戒解雇しています。

会社としての責任に疑問

野村証券はこの2人の逮捕、起訴について、ホームページ上で開示していません。これってどうなんでしょう。懲戒解雇の理由は分かりませんが、彼らの逮捕、起訴が野村の社会的信用を傷つけたことと無縁ではないと思います。それゆえの懲戒解雇であれば、野村にとってのステークホルダーに対しても、そのことをちゃんと伝えるべきではないのか。と思うわけです。

従業員の個人的な行為については、会社として回答する立場にないとか、回答する必要がない、という認識なんですかね。今回大麻を所持した現場、逮捕された現場が社員寮だったことを思えば、プライベートとすら言えないと思うんですが。最近流行りの、「社長自ら会見に臨み、謝罪する」なんてことまでは必要ないと思いますが、なしのつぶてというのもねぇ。なんとも今回の野村の対応は理解できません。

TATERU 特別調査委員会 調査結果報告書

今年9月に設置されたTATERUの特別調査委員会が、12/27に調査結果報告書を公表しました。建設資金の借り入れを希望する顧客の預金通帳残高を水増しし、実際よりも多く見せることで、銀行の融資審査を通りやすくしていたという事件です。

本調査の留意事項(調査の前提)

冒頭の留意事項にはいくつか気になることが書かれています。
・入手した資料等から確認できた内容の全てを網羅的に記載したものではないこと
・入手した資料はTATERUから提供を受けたものであり、メールサーバや個々人のメールを独自に全て収集し精査したものではなく、限定的なものであること
こんな感じです。

ほかにも、検討対象となった資料の署名・押印は真正であることを前提としているとか、TATERU側が提出した資料が基本的に正しいことを前提としているとか。社員に対するヒアリングも営業系社員に限定されていたりと、読んでいて全体的に適切性や十分性において疑問を感じさせる内容でした。

第三者委員会日弁連方式

当ブログでも何度か取り上げてきたスルガ銀行などの場合は、日弁連方式で実施した旨が冒頭で書かれています。日本弁護士連合会が公表している「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に即した第三者委員会の運営のことで、企業からの独立性を強く意識した運営方式です。

調査報告書の事前開示は一切せず、企業の現在の経営陣に不利な内容も報告書に記載します。もちろん、真に正しい報告書が出来上がるのであれば、この日弁連方式以外の方法でも全然かまいません。しかし、「会社のことを本気できれいにして再生したい」と思うなら、今のところ日弁連方式を選択すべきです。

TATERUの特別調査委員会の委員も濱法律事務所とTMI総合法律事務所の弁護士となっていますので、委員会設置に際して日弁連方式の選択についての提案はあったものと思われます。しかしながら、その選択はされなかったということのようです。

調査結果

と、こんなふうに、前提がかなり怪しいなぁ、って感じではあるんですが。調査の結果、「営業部長以下31名の従業員が不正に関与し、2,269件の成約物件のうち350件で改ざんがあった」となっています。同時に営業担当常務の辞任、他の取締役の役員報酬減額も発表しています。新聞等ではここの部分くらいしか報道されてません。

調査結果や改善策を見ても、納得感のない点がいくつか。まず、部長より上の経営層には何の責任も認められなかったこと(つまり部長以下の判断で行われたこととして、トカゲのしっぽ切りになっていないか)。そして、「上場前から不正が行われていて、それを発見した際にも、経営が適切な対応を取っていなかったこと」に関する評価の部分。

今年は上場直前に上場申請が取り消される事件が何度かありました。TATERUも上場審査が適切に行われていたら、上場延期、もしくは申請の取り消しとなっていたかもしれません。上場により莫大な創業者利益を得たCEOや役員にとって、今回の減給なんてゴミみたいなもんですね。