株式会社サンウェルズ 難病向け老人ホームで不正請求か

株式会社サンウェルズは9/3、「共同通信社における記事について」を公表しました。前日に共同通信が報道した不正請求に関する記事を否定するとともに、記事の内容が同社の信用を毀損しているとして、訴訟を含めて法的措置を検討している、といった内容です。

株式会社サンウェルズ

サンウェルズは、介護施設の運営を主力とし、指定難病であるパーキンソン病専門の有料老人ホームを展開する企業。各種介護サービスを提供し、介護保険や健康保険、障害福祉サービスによる保険給付や、利用者が支払う自己負担金などの収入を得ています。本社を金沢に置く東証プライム上場企業です。

共同通信の記事とそれに対する反論

記事が不正請求ではないかと指摘しているのは、共同通信が入手した社内のマニュアルでは「1日3回」「複数人での訪問」を「必須で入力」となっており、複数のホームで、併設の訪問看護ステーションがホーム入居者への訪問について実際とは異なる記録を作り、不正に診療報酬を請求していたというもの。

これに対してサンウェルズは、「1日3回」、「複数人での訪問」、それぞれについて一律に実施するのではなく、主治医の指示に基づき、入居者の状態に合わせて個別に判断しているといった主張になっています。が、マニュアルに基づき不正な入力が行われている可能性については今一つ反論できていないような感じですね。

正直、現段階で白か黒か分かりません。ただ、共同通信の記事がサンウェルズの複数の現・元社員の証言に基づいているという点、この情報を受け同社株が株式市場で大量の売りを浴び、ストップ安売り気配となっている点。これはかなり気になります。

小林製薬株式会社 代表取締役会長、代表取締役社長が辞任

小林製薬は7/23、「代表取締役の異動及び役員報酬の一部自主返上に関するお知らせ」を公表しました。紅麹(こうじ)原料を含むサプリメントについて健康被害の拡大や情報開示が遅れたことなどの責任を取るという形の異動です。

異動の概要

代表取締役会長が代表取締役および取締役の地位を辞任し、特別顧問へ。また、代表取締役社長が代表取締役社長を辞任し、取締役補償担当へ。創業家出身の社長が引き続き取締役に残り、補償対応に専念するということです。また、代表取締役社長として受領済みの月額報酬の50%相当額の6ヶ月分を自主的に返上するとのこと。

なんかスッキリしない

小林製薬としての今回の対応は評価できるんですが、個人的には何やらスッキリしません。ここ最近の同社のCM。「小林製薬よりお詫びとお願いです。この度は弊社、紅麹製品にてご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます」ってやつですね。もの凄い頻度で流れていて、真摯に向き合う姿勢が感じられます。こういう姿勢の同社にそれほどまでの問題があったのかどうか。

どうしても、まるで一部の勢力による小林製薬叩きではなかったのかという感覚も残るんですよね。ネットに溢れる陰謀論を支持するわけではないんですが、、、。創業約140年の歴史で初めて創業家以外からトップが就任、これを機に再生を急いでほしいものです。

防衛省、金品提供問題の調査広げる 三菱重工は急落

防衛省は海上自衛隊の潜水艦乗組員らに対する川崎重工業の金品提供問題を受けて、三菱重工業や下請け企業など関連する企業も、近く始める特別防衛監察で調査の対象とすると昨日伝わりました。

特別防衛観察

特別防衛観察とは、防衛省・自衛隊で起きた重大な不正行為や倫理違反について、客観的な解明が必要だと防衛相が判断した際に監察する制度です。これまで南スーダンの日報問題や元陸上自衛官の女性が性被害に遭った問題などで計6回実施されています。

三菱重工は急落

このニュースを受けてだと思われますが、昨日の三菱重工株は急落(1875円、125円安)しました。ここまで防衛関連株の中心銘柄として大きく上昇してきただけに、「川重同様の事案が出てくるのでは」と市場が疑心暗鬼になり、ろうばい売りを誘ったということでしょう。

他にも川重やIHIも売られました。しかしまぁ、この3社抜きでは日本の防衛産業は成り立ちませんし、輸入に頼るなんてのも国策に反します。そう考えていくと、今回の特別防衛観察は、どの辺りを落としどころにするのか、、、っていうことなんでしょうね。

ちなみに、潜水艦に限ってみれば、建造を手掛けるのは川崎重工と三菱重工の2社に限られており、海上自衛隊が保有する潜水艦計25隻のうち12隻が川崎重工製、13隻が三菱重工製だそうです。

川崎重工 架空取引 海上自衛隊員への金品・物品の提供

防衛省は7/3、「川崎重工業株式会社からの報告を受けた調査について」を公表しました。海上自衛隊の潜水艦を受注する川重が取引先企業との架空取引で裏金を捻出し、潜水艦乗組員らの物品購入代や飲食代を負担していた疑いがあるということです。

川崎重工

川崎重工は総合重機大手。造船、航空機、鉄道車両など、陸・海・空に幅広く事業展開。また、総合重機各社で唯一、コンシューマ製品である二輪車の製造・販売も手がけています。事業セグメントは多岐にわたりますが、今回問題となったのは潜水艦・深海救難艇及び関連装置。もちろん東証プライム上場企業です。

不正の概要

海上自衛隊の潜水艦を受注する川崎重工が、取引先企業との架空取引で裏金を捻出し、潜水艦乗組員らの物品購入代や飲食代を負担していた疑いがあることが分かったということです。不正な資金捻出は遅くとも6年前に始まっており、流用額は十数億円以上に上る可能性があるといいます。

防衛省の公表文では、潜水艦修理契約における不適切な行為及び隊員の規律違反の疑いについて、海上幕僚監部に一般事故調査委員会を立ち上げ、調査を実施しているとしています。が、この公表文で気になるところが・・・。川崎重工からこの不正事案に関する防衛省への報告は、実は今年4月に行われていたという点。今までどうして?、隠してた?

またまたトヨタグループで不正 下請法違反

日本経済新聞は7/1、「トヨタ子会社に下請法違反で勧告へ 50社に金型無償保管」と伝えました。またまたトヨタグループ企業での不正です。金型を下請け企業に無償で長期間保管させたなどとして、公正取引委員会が近く、下請法違反で再発防止を勧告する方針を固めたとのこと。

トヨタカスタマイジング&ディベロップメント

不正が行われていたのはトヨタカスタマイジング&ディベロップメント。同社は一般車両向けの車体パーツのほか、救急車やレーシングカーなどの製造と開発を手がける企業。トヨタが9割超の株を保有する子会社です。

下請法違反(利益提供要請の禁止など)

自動車部品の大量生産に必要な金型を、下請け業者に無償で長期間保管させたというのが違反の内容。遅くとも約2年前から、新たな発注の見込みがないにもかかわらず、バンパーやタイヤのホイールなどの製造に使う自社所有の金型や検査用器具など650セット超を、全国の下請け業者約50社に預けたまま、倉庫などに保管させていたといいます。トヨタ側は違反を認め、被害相当額を業者側に全額支払う見通しだそう。

さらに日経では書かれていませんでしたが、別の報道によると同社は、「5000万円分を超える車体パーツを不当に返品していたとみられる」という情報もあるようです(同じく下請法の不当な返品の禁止に該当)。しかしまぁ、いろいろ出てきますね、トヨタグループ。

冒頭書いた下請け企業50社というのは、おそらく公取委が確認できた件数だと思われます。グループ内で実態調査を行えば、もっとすごい数になる可能性もありそうです。