なぜ インサイダー取引はバレてしまうのか

当ブログでもちょくちょく取り上げるインサイダー取引。そしてインサイダー取引は必ずバレてしまいますよ、という警告もしてきました。本日はインサイダー取引がバレてしまう理由というか、どんなふうに調査されているのかについて、ザックリと書いてみます。

インサイダー取引

インサイダー取引(内部者取引と表現されることもあります)とは、上場企業の未公開情報を不法に共有・利用して証券取引を行い、未公開情報を持たない投資家に損害を与える(同取引を行ったものだけが得をする)犯罪的行為のことです。金融商品取引法により規制されています。

どうやって見つけるか

インサイダー取引には様々な態様がありますが、共通しているのは未公開情報が公表された直後に株価が急騰(もしくは急落)するということです。そしてもう一つが公表された情報が重要事実に該当するかどうか。この重要事実についても法律にその条件が定められています。

ではどうやってインサイダー取引を発見するのか。重要事実に該当すると思われる情報が公表された銘柄は簡単に絞り込めます。その情報の公表を受けて株価が急騰(もしくは急落)したかどうかも簡単に発見できます。ここまで絞り込めれば、あとは公表の直前に当該銘柄を買った人(もしくは売った人)を探せばいいわけですね。

こうした一連の作業は証券取引所の売買審査部が行っています。急騰した銘柄の場合、買った人の一覧を証券会社に提出させ、その中から怪しい人物の顧客情報まで手に入れます。怪しい取引一覧ができると、証券取引等監視委員会へバトンタッチ。同委員会がより深度のある調査を進めていく、という流れです。

どうでしょう。かなりザックリとした説明ですが、イメージ湧きましたでしょうか?

インサイダー取引 スクウェア・エニックス元社員ら逮捕

オンラインゲーム「ドラゴンクエストタクト」に関する未公開情報を入手してインサイダー取引をしたとして、東京地検特捜部は11/17、「スクウェア・エニックス」の元社員とその知人の両容疑者を金融商品取引法違反の疑いで逮捕したと発表しました。

逮捕の容疑

スクウェア・エニックスは、「Aiming」と共同でスマートフォン向けのオンラインゲームを制作。Aimingは2020年2月に「ドラゴンクエストタクト」の共同開発を発表し、7月に配信を開始していました。

共同開発の公表前だった2019年11月下旬、ゲーム開発が配信できる段階まで進んでいたことや、Aimingがスクウェア・エニックスとの業務提携を決定したという重要事実を把握したスクエニ元従業員。2019年12月上旬~20年2月上旬(共同開発公表の直前)までに、2,000万円以上Aiming株式を買い付けたということです。さらに、この元従業員から情報を伝えられた知人も2,600万円程度買付け。

株価の方は

彼らが買い付けた当時のAimingの株価をみてみると、2019年12月~20年1月末まで、200円台後半から300円台前半の往来相場って感じ。2/5に共同開発が公表されたんでしょうね、翌日の2/6から4日間連続のストップ高で、最高値730円まで買われています。

公表直前の株価が290円ですから、4日で2.5倍。二人とも約2,000万円が約5,000万円になった計算です。まさに濡れ手に粟の大儲け。しかし、このてのインサイダー取引は必ず見つかります。読者の皆さんは決してこういう取引を真似なさらないように。

アイ・アールジャパン 調査委員会における調査の対象

アイ・アールジャパンは6/14、「(開示事項の経過)調査委員会における調査の対象、範囲及び調査結果の開示時期に関するお知らせ」を公表しました。証券取引等監視委員会による同社元役員を対象とする調査が行われたことを受けて設置した調査委員会でしたね。

調査委員会における調査の対象

今回の開示では、「調査の対象及び範囲」について、以前よりは詳細に定義しています。全5項目あるうちで気になるのは、3番目に出てくる、「当社役職員の情報管理上の不適切行為その他の問題の有無」というところ。

元役員以外でも同社の他の役員や従業員が妙なことをしていないかを調査するというわけです。通常こういう横展開に関しては、「類似行為の有無」みたいな表現をすることが多いんですが、ここでは、既に役職員の不適切行為が別に見つかっているかのような表現になっています。考えすぎですかね。

株価の方も

先日も書いたように、今回のインサイダー事件を受けて同社株はめちゃくちゃ売られました。4,270円だった株価はとうとう2,000円を割り込んでしまっています。この売られ方を見ても、「当社役職員の情報管理上の不適切行為その他の問題の有無」の部分を心配しているように見えます。

つまり、同社が扱う他の上場会社のIR情報等が、役職員により何らかの方法・経路で漏えいしていた、みたいな事案が出てくること嫌っているように。それほど情報管理ができていなくて、ガバナンスも効いていない企業だとすれば、同社株の急落をめぐって役職員が事前に売り抜ける、なんてこともあるかも。

と、業態が業態だけに、アイ・アールジャパンのインサイダーについてはいろいろと考えてしまうわけですが、、、今日は少々妄想が過ぎましたでしょうか。

アイ・アールジャパンホールディングス 株価も大荒れ 株主総会も

アイ・アールジャパンは6/10、「第8期定時株主総会会場及び開会時刻の変更に関する重要なお知らせ」を公表しました。同社の役員が未公表の情報に基づいて、同社株式の不正取引に関与した疑いがあるとの報道を受けた措置ということです。

荒れてきましたね

この事件を受けて、6/3に4,270円だった同社株は、6/9に2,255円まで下落。ほぼ半値ですね。一般的なインサイダー事件とは違って、上場企業のIR等を専門とする企業だけに、市場の反応は強烈なものとなりました。株主的には怒り心頭というところだと思います。

株主総会

こうした状況を受け、6/17に開催する株主総会もかなりあれるだろうということで、時間と場所を変更することに。開催時間は午前10:00から1時間遅らせて午前11:00へ。開催場所は同社本社の会議室(セミナールーム)から、ホテルニューオータニ 「芙蓉の間」へ、それぞれ変更になっています。

このホテルニューオータニ 「芙蓉の間」って、テーブルの起き方にもよりますが、おそらく1,400名を収容できる会場のようです。本店セミナールームの10倍近い広さなんでしょうね。大勢の株主が訪れ、荒れるんだろうという経営の読みは当たっていそうです。

開示では、「なお、本総会当日は、議長を含む取締役全員が本総会会場にて出席いたします。」という一言も添えられていて、株主に真摯に対応するという姿勢を見せてはいます。まぁ、当然でしょうね。しかし、そんなことで株主が許してくれるわけではありませんが。

株価へのインパクトも半端なかったので(これで下げ止まったかどうかは知りませんが)、株主による集団訴訟までを見越した対応が必要になりますね。

レオパレス21 社員からの情報受領者によるインサイダー取引に課徴金

証券取引等監視委員会は1/28、「株式会社レオパレス21社員からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について」を公表しました。フォートレス・インベストメント・グループの支援により債務超過を回避と伝わった場面での取引です。

勧告の内容

レオパレス21の社員から、その職務に関し知った、レオパレスの発行する株式を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、当該重要事実の公表がされた2020年9月30日午後5時頃より前の、同月18日から同月30日午後1時16分頃までの間、レオパレス株式合計18万株を、買付価額合計3,009万7,430円で買い付けたというもの。課徴金の額は1,850万円です。

一昨年の10/5、当ブログでもこの件取り上げました。明らかに情報漏れてるって感じでしたからね。日経がこの情報を報道したのが9/30の14時ごろでしたから、見事なインサイダー取引が実行されたわけです。日経に情報が洩れるってことは、他にも漏れてるっていうことです。

この日、160円ほどの株価が、日経の報道により191円まで急騰。同日引け後の17時の同重要事実の開示を受け、翌営業日の同社株は243円まで買われています。まさに濡れ手に粟の大儲けです。

情報を伝達(提供)した社員とレオパレス自体は違反を問われていません。そのためか、レオパレス21は正式な開示はしておらず、同社ホームページでお知らせしているのみ。違反は問われなかったかもしれませんが、これって非常に重たい事件(不正行為)ですよ。

それでなくても、施工不備という不正問題を引きずっている会社。きちんと襟を正す意味でも開示するべきでした。