アイ・アールジャパン 調査委員会における調査の対象

アイ・アールジャパンは6/14、「(開示事項の経過)調査委員会における調査の対象、範囲及び調査結果の開示時期に関するお知らせ」を公表しました。証券取引等監視委員会による同社元役員を対象とする調査が行われたことを受けて設置した調査委員会でしたね。

調査委員会における調査の対象

今回の開示では、「調査の対象及び範囲」について、以前よりは詳細に定義しています。全5項目あるうちで気になるのは、3番目に出てくる、「当社役職員の情報管理上の不適切行為その他の問題の有無」というところ。

元役員以外でも同社の他の役員や従業員が妙なことをしていないかを調査するというわけです。通常こういう横展開に関しては、「類似行為の有無」みたいな表現をすることが多いんですが、ここでは、既に役職員の不適切行為が別に見つかっているかのような表現になっています。考えすぎですかね。

株価の方も

先日も書いたように、今回のインサイダー事件を受けて同社株はめちゃくちゃ売られました。4,270円だった株価はとうとう2,000円を割り込んでしまっています。この売られ方を見ても、「当社役職員の情報管理上の不適切行為その他の問題の有無」の部分を心配しているように見えます。

つまり、同社が扱う他の上場会社のIR情報等が、役職員により何らかの方法・経路で漏えいしていた、みたいな事案が出てくること嫌っているように。それほど情報管理ができていなくて、ガバナンスも効いていない企業だとすれば、同社株の急落をめぐって役職員が事前に売り抜ける、なんてこともあるかも。

と、業態が業態だけに、アイ・アールジャパンのインサイダーについてはいろいろと考えてしまうわけですが、、、今日は少々妄想が過ぎましたでしょうか。

アイ・アールジャパンホールディングス 株価も大荒れ 株主総会も

アイ・アールジャパンは6/10、「第8期定時株主総会会場及び開会時刻の変更に関する重要なお知らせ」を公表しました。同社の役員が未公表の情報に基づいて、同社株式の不正取引に関与した疑いがあるとの報道を受けた措置ということです。

荒れてきましたね

この事件を受けて、6/3に4,270円だった同社株は、6/9に2,255円まで下落。ほぼ半値ですね。一般的なインサイダー事件とは違って、上場企業のIR等を専門とする企業だけに、市場の反応は強烈なものとなりました。株主的には怒り心頭というところだと思います。

株主総会

こうした状況を受け、6/17に開催する株主総会もかなりあれるだろうということで、時間と場所を変更することに。開催時間は午前10:00から1時間遅らせて午前11:00へ。開催場所は同社本社の会議室(セミナールーム)から、ホテルニューオータニ 「芙蓉の間」へ、それぞれ変更になっています。

このホテルニューオータニ 「芙蓉の間」って、テーブルの起き方にもよりますが、おそらく1,400名を収容できる会場のようです。本店セミナールームの10倍近い広さなんでしょうね。大勢の株主が訪れ、荒れるんだろうという経営の読みは当たっていそうです。

開示では、「なお、本総会当日は、議長を含む取締役全員が本総会会場にて出席いたします。」という一言も添えられていて、株主に真摯に対応するという姿勢を見せてはいます。まぁ、当然でしょうね。しかし、そんなことで株主が許してくれるわけではありませんが。

株価へのインパクトも半端なかったので(これで下げ止まったかどうかは知りませんが)、株主による集団訴訟までを見越した対応が必要になりますね。

レオパレス21 社員からの情報受領者によるインサイダー取引に課徴金

証券取引等監視委員会は1/28、「株式会社レオパレス21社員からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について」を公表しました。フォートレス・インベストメント・グループの支援により債務超過を回避と伝わった場面での取引です。

勧告の内容

レオパレス21の社員から、その職務に関し知った、レオパレスの発行する株式を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、当該重要事実の公表がされた2020年9月30日午後5時頃より前の、同月18日から同月30日午後1時16分頃までの間、レオパレス株式合計18万株を、買付価額合計3,009万7,430円で買い付けたというもの。課徴金の額は1,850万円です。

一昨年の10/5、当ブログでもこの件取り上げました。明らかに情報漏れてるって感じでしたからね。日経がこの情報を報道したのが9/30の14時ごろでしたから、見事なインサイダー取引が実行されたわけです。日経に情報が洩れるってことは、他にも漏れてるっていうことです。

この日、160円ほどの株価が、日経の報道により191円まで急騰。同日引け後の17時の同重要事実の開示を受け、翌営業日の同社株は243円まで買われています。まさに濡れ手に粟の大儲けです。

情報を伝達(提供)した社員とレオパレス自体は違反を問われていません。そのためか、レオパレス21は正式な開示はしておらず、同社ホームページでお知らせしているのみ。違反は問われなかったかもしれませんが、これって非常に重たい事件(不正行為)ですよ。

それでなくても、施工不備という不正問題を引きずっている会社。きちんと襟を正す意味でも開示するべきでした。

バルミューダ 社外取締役が辞任

バルミューダ株式会社は12/24、「社外取締役辞任に関するお知らせ」を公表しました。辞任する社外取締役は田中仁氏(ジンズホールディングス最高経営責任者=CEO)。バルミューダは、「本人より辞任の申し出があり、受理した」としています。

バルミューダ株式でインサイダー取引

以前当ブログでも取り上げましたが、今年5月に社外取締役が、同社が定める売買承認期間以外のタイミングで同社株を買い付けたという事件でした。2021年12月期の連結業績予想の上方修正が発表される直前に同社株を買い付けたというやつでしたね。

過去に受け取っていた役員報酬の返上や、その後受け取る報酬の減額などが発表されていましたが、正直「まだやるんだ」って感じでした。当案件の公表が11/18でしたから、辞任まで約1ヶ月です。

臨時株主総会で新社外取締役

で、調べてみたら、同社は12/17に臨時株主総会を開催していました。議案は取締役1名の選任の件。はぁ、そういうこと。代わりの社外取締役決めてから辞任、という流れだったんですね。無事に選任されています。新しい社外取締役は株式会社ミクリードの代表取締役社長だそうです。

この会社、昨年3月に東証マザーズ市場に上場したばかりの会社ですね。で、面白いのはこの新社外取締役の略歴。1988年に日興証券に入社してらっしゃいます。おそらく新卒での入社でしょう。

辞任する社外取締役がインサイダー取引やらかしたんで、次は証券経験者を選んだってことでしょうか?いやぁ、わずか4年で転職されてるし、当時のインサイダー規制なんてザルみたいなもんでしたから、そこんとこはあまり期待しない方がいいかもですね。

リミックスポイント株でインサイダー取引

証券取引等監視委員会は12/17、「海外に居住する株式会社リミックスポイントの子会社との契約締結者の役職員による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について」を公表しました。インサイダー情報を知りながらその公表前に売り抜けたという事件です。

リミックスポイント

リミックスポイントは業務用アプリケーション・ソフトウェアの開発でスタートし、法律改正や規制緩和で、社会に生ずる課題を事業を通して解決する事業を営みます。現在ではエネルギー関連、金融関連(暗号資産交換業)、自動車関連、感染症対策関連などを事業領域としています。

取引の概要

舞台となったのは子会社の株式会社ビットポイントジャパンです。同社の仮想通貨取引管理システムがハッキングを受けて、同社の管理する仮想通貨が不正に流出し損害が発生しました。その旨の重要事実を聞きつけた、取引先法人の役職員であり海外に居住する者によるインサイダー取引です。

令和元年7月12日の取引だそうです。行為者等に非居住者が絡むと調査も大変なんでしょうが、またずいぶんと時間がかかりましたね。

同日、重要事実が公表される3時間ほど前に、自己の計算において、リミックスポイント株式合計1万800株を、売付価額合計443万500円で売り付けたということです。この違法行為について、金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、216万円とのこと。

監視委員会が公表した文書には、「本件については、台湾金融監督管理委員会から支援を受けている。」という記載がありますので、売り抜けた輩は台湾在住の人のようですね。なお、リミックスポイント社については、課徴金納付命令の対象者とはなっておらず、また嫌疑をかけられている事実もないということです。