最低賃金 労働分配率 従業員への還元

日本経済新聞で「ニッポンの賃金」という特集記事が組まれていました。上、中、下の3回連載とデービット・アトキンソン氏へのインタビュー記事。ここに来てようやくという感じですが、従業員への還元(賃金)について、様々な面から議論されるようになってきました。

働き方改革の延長線で

働き方改革により、企業における残業は着実に減少しているようです。一方で残業時間の減少により、従業員の収入の減少が問題視されるようになりました。働き方改革で従業員の満足度が下がったのでは意味がありません。記事では労働時間が減少しても、従業員の収入が減少しないように賃金を引き上げる企業として清水建設が紹介されています。

労働力人口の減少という切り口

日本の労働力人口はこれから着実に減少していくと言われています。最近では、セブンイレブンの24時間営業が怪しくなってきた件に象徴されるように、労働条件の良くない職場から順に人手不足が目立つようになってきました。今後こうした人手不足は多くの企業に拡大していくはずです。人手を確保するためにという切り口でも、賃金を上げるという動きが出てきています。

企業における金余り

企業は200兆円以上の現預金を抱えています。従来のような巨額の設備投資が不要になったということもあり、内部留保が溜まってしまったわけです。モノに投資する必要がなくなった分、今度はヒトにお金が回せるようになってきました。企業における金余りが賃金を見直すきっかけにもなっています。

ガバナンスの向上に従業員満足

一時期、毎日のように発覚していた検査データの書き換えといった企業不祥事が鳴りを潜めたと思ったら、最近ではアルバイトによる不適切動画の投稿が一気に増加しました。企業不祥事も不適切動画も実は同根のような気がします。過酷な労働条件の下、従業員やアルバイトが疲弊し、追い詰められて取ってしまった行動。そんなふうに思えるんですね。

記事でも労働分配率が高い企業ほど、株価が上がりやすいことを紹介しており、「従業員の満足度や、やる気の向上が、中長期的に株価に好影響を与えている可能性がある」と、あるファンドマネジャーが指摘していました。kuniもその通りだと思います。従業員に真剣に向き合ってこなかった従来の日本型経営に、限界が見えてきたということなんでしょう。

株主への還元の方が一足先に始まり、多くの企業に広がりを見せてきましたが、従業員への還元についても同様に、もしくは対株主以上に、早急に対応していく必要がありそうです。

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