西川ゴム工業株式会社 不適切会計の社内調査費用で3億円を計上

メキシコの連結子会社において不適切な経理処理が判明し、調査を行ってきたものの、8/26に無事有価証券報告書の提出を完了した西川ゴム工業。同日、「特別損失(環境対策引当金繰入額および特別調査費用引当金繰入額)の計上に関するお知らせ」も公表しました。

開示の概要

今回問題となったメキシコの連結子会社の棚卸資産の計算等。これについて疑義のある事象に関する調査を行ってきましたが、その調査費用として特別調査費用引当金繰入額 300 百万円を特別損失に計上したとのこと。

不適切な会計処理とその調査

そもそも棚卸資産の計算等に疑義がありと認識したのが4/25。そこから社内初期調査を行い、5/20日より、デロイトの公認会計士等も参画させて社内調査体制を強化したといいます。この社内調査体制強化後、8/15まで調査を実施しています。つまり調査期間は3か月弱。

開示では、「デロイトの公認会計士等 40名が社内調査チームに参画した」とありますが、これ本当ですかね。デロイト側にそんな余力があるとも思えませんし、延べ人数のことでしょうか。だとしてもかなりの人数。3か月で3億円という費用も納得できます。

会社側は、「会計処理等の誤謬と結論付け」ていましたが、それでも調査を外部の専門家に頼るとなると、こんなに費用が掛かるんですね。

ウイルプラスホールディングス 自己株式を取得し過ぎてしまった件

ウイルプラスホールディングスは8/26、「分配可能額を超えた自己株式取得に関する特別調査委員会の設置のお知らせ」を公表しました。今年5月、自己株式を999 円で700,000 株、総額699,300,000 円を取得したのですが、これが法の定める買い付け可能金額を超えていたと。

ウイルプラスホールディングス

ウイルプラスホールディングスは、BMW、MINI、ボルボ、ジープ、アルファ ロメオ、ジャガー、ランドローバー、ポルシェなどの輸入車ディーラーを運営する持株会社です。グループ子会社が主力の新車販売のほか、中古車販売、車輛整備などを展開。東京・神奈川・福岡を中心に店舗を運営する東証スタンダード上場企業です。

事案の概要

会計監査人からの指摘を受け、自己株式取得の時点で、自己株式取得により株主に対して交付される金銭等の帳簿価額の総額が、会社法及び会社計算規則により算定した分配可能額を超えていたことなどが判明したということです。

時々見る事案ですね。配当払い過ぎちゃった事件や自己株式を取得し過ぎちゃった事件。単純に経理が財源規制に関する法令をしっかり押さえて計算できていなかったってことなんでしょうが、その割に特別調査委員会を設置するというのはやや大袈裟な反応に見えます。

単純なミスではなく、同社株の売り主に対する不適切な対応(無理やり引き取らされた)だとか、経営上の判断に問題があったりするんでしょうかね。

従業員が本業の損失を不正により補填する時

先日、当ブログで取り上げたNTP名古屋トヨペットで発生した従業員による不正行為の事件。同社からの開示情報が少ない中、日経では「一部は自身の口座にも振り込ませていたといい、勤務先で自身が生じさせた未回収金を穴埋めしようとした」と報じられていました。

ちょっと気になった動機

従業員が不正を働き資金を得る際のもっとも一般的な動機は、遊ぶ金が欲しい、抱えてしまった借金をどうにかしたいから、というもの。ギャンブルや主に異性を対象とした交遊(風俗やね)のためにお金が必要だったから、という理由がほとんどです。

しかし、今回のNTP名古屋トヨペットの事件では、「一部は自身の口座にも振り込ませていたといい、勤務先で自身が生じさせた未回収金を穴埋めしようとした」とされており、多くの不正の動機とはちょっと違う感じです。もっとも、「一部」という表現で限定しているので、その他はギャンブル等に費消されていた可能性はありますが。

自身が生じさせた未回収金を穴埋め

本業で出してしまった損失を他のところで不正にお金を得て補填するという行為の裏にどのような状況があったんでしょうね。正規の業務で失敗して会社に損失を出させてしまう。どんな会社でもありうることです。

それを不正(犯罪)を犯してまで埋め合わせなければならないというプレッシャー。なにがなんでも会社の利益を上げ続けなければならないという雰囲気やそれを醸成する態勢やカルチャー。ここにメスを入れておかないといけません。くれぐれも行為者だけを処分して終わり、なんてことのないよう。

JFE 子会社JFEスチール東日本製鉄所(千葉市)で工場火災

千葉日報によると、24日午前10時10分ごろ、千葉市中央区川崎町のJFEスチール東日本製鉄所千葉地区東工場のコークス工場で、集塵機設備が火元となり火災が発生したということです。この工場火災、不思議なほどメディアでは全然取り上げられていません。

JFEホールディングス

JFEホールディングスは、鉄鉱石を原料として鉄鋼製品を生産する大手高炉メーカー。2002年、日本鋼管(NKK)と川崎製鉄の経営統合により発足。粗鋼生産量は日本製鉄に次ぐ国内第2位。自動車用鋼板など高級鋼材に強みを持っています。もちろん東証プライム上場企業です。JFEスチールは同社の子会社。

火災の概要

残念ながら火災については冒頭に書いたことしかわかりません。千葉日報が唯一報道していますが、記事の途中から会員しか閲覧できないので。

この会社ヤバい

今回起きた火災以外にもかなりたくさんの事故を起こしている企業ですね。主なものだけでも
2024年3月 同工場で火災発生
2024年2月 従業員が高所から転落死亡する事故が発生
2023年9月 工場内で溶けた鉄が漏出する事故。

これらはいずれも同じ工場です。さらに、他のグループ企業まで入れて時代を遡ると、バンバン出てきます。2012年には事故が多すぎるとして、千葉県と市による立ち入り調査も受けています。残念ながら、その後もまるで改善してないってことですね。

マルサンアイ 毎日おいしい無調整豆乳の一部にて自主回収実施

マルサンアイ株式会社は8/21、「商品回収に関するお詫びとお知らせ」を公表しました。同社商品「毎日おいしい無調整豆乳 1000ml」の一部にて、凝固や分離、酸味といった内容液の変質が確認されたということです。現時点で健康被害は確認されていないとのこと。

マルサンアイ

マルサンアイは豆乳飲料を主力に、みそ、飲料類などを手掛ける企業。こだわりを持った商品開発で豆乳、みそで大手の一角へと成長。中国、タイにも進出している名古屋証券取引所メイン市場上場企業です。

自主回収

「凝固や分離、酸味といった内容液の変質」というのがよくわかりませんが、発生原因は殺菌工程以降のラインで漏れがあり、外気を吸引したことにより無菌性が崩れたものと判断しているとのこと。回収対象数は合計 約10万個(約17,000ケース)だそうです。

この製品は自社工場ではなく、熊本県果実農業協同組合連合会熊本工場ってところで製造されているんですね。全国に工場を持っているわけではないので製造を委託しているってことでしょうか。これって本当のところ、責任はどちらにあるんでしょう。公表資料では製造者の責任には一切触れていません。

ちなみに、調べていたら同社では、昨年2月、10月にも品質問題による商品回収が発生しています。発生原因はほぼ一緒で、うち1件の製造者は熊本県果実農業協同組合連合会白州工場(山梨県)となっていました。マルサンアイの委託先管理は問題ですが、この熊本県果実農業協同組合連合会ってどうなんでしょう。