クロネコヤマト 引っ越し事業再開? 駐禁回避の違反行為も

先月中旬に、日本経済新聞が伝えていました。ヤマトホールディングスの子会社であるヤマトホームコンビニエンス(YHC)が、代金の過大請求問題に対する業務改善命令を受け、全面停止していた引っ越し事業を9月から再開する方針とのこと。

受注停止からちょうど1年

YHCに対する行政処分・業務改善命令(国土交通省)は、今年に入って1月に発出されています。ただ、それよりも前、昨年の8月末から新規受注を全面停止していましたので、9月から再開ということなら、ちょうど1年ということになります。これで喪が明けたということですかね。

その間、再発防止策として代金の過大請求ができないシステムを導入するとか言ってました。見積時に担当者が使用するタブレットを導入し、荷物量に合わせて料金を自動計算するんだとか。商品設計も見直して、顧客に分かりやすい明瞭な料金体系に変更するとかも。

日経はかなりポジティブ

「今年春の引越繁忙期はこのYHCが受注を停止していたことも影響して、引っ越し料金が約10%上昇した」と日経は伝えてましたね。「秋の異動に伴う繁忙期には間に合いそうだ」とも書いていました。ちょっと違和感ありますよね。あれだけの不祥事を起こしておいて、メディアがYHCの復活を望んでいるかのような書きぶりです。

ちなみに、日経が報道したその日、ヤマトホールディングスはホームページで「本日の一部報道は当社の発表に基づいたものではありません」とお知らせを出していました。

今度は駐禁回避の違反行為

業務改善命令を受けたにしろ、それを本当に真摯に受け止め、本気で改善したんだったら復帰も良いでしょうよ。くらいに思っていたわけですが、7/2のYHCのホームページでは、「ヤマトホームコンビニエンスの駐車車両に関する報道について」というお知らせが出ています。

「本件は当社社員が配達業務を行う際、駐車違反の取り締まりを避けるために行った違反行為であり、既に警察署にも本件に関する報告を行いました」と書かれています。当該報道をkuniは見ていないんですが、ググってみると、「駐禁回避のためにナンバープレートを隠して作業する」みたいな行為のようです。

これでまた引越業務の再開は延期になるんでしょうか。駐禁回避のためにドライバーが苦肉の策でやっているんだとしたら、ドライバーには少し同情するんですが。。。会社がこうした行為を指導してたり、黙認してたりということだと、これは問題ですね。

野村證券 底なしの不祥事

6/28 野村證券社員二人が20代の女性にお酒を飲ませて乱暴したとして、準強制性交容疑で逮捕されました。また、例によってプレスリリースはなし。警察が逮捕に踏み切る前に退職させているので、メディアは元社員と報じてますが、犯行時2/15はまだ社員。

会社行為 社員の行為 元社員の行為

野村証券は、東証の市場区分見直しに関する情報を利用した営業行為に対して、5/28に金融庁から業務改善命令を受けたばかりです。野村総研(NRI)も含めた野村グループぐるみの会社行為でした。

社員の犯罪行為については、以前取り上げたように、千葉県の社員寮で大麻不法所持で二人が逮捕されたばかりです。そこへ今回は婦女暴行事件。雑誌「選択」の記事によると、これ以外にも婦女暴行事件があって、会社としては事実を把握しているとか。しかしまぁ、これだけ続けて出てくると、いったいどれだけの犯罪が隠されてるんだか、って感じですよね。

さらに、昨日は本当に元社員の犯罪行為まで報道されました。こちらは野村自身がプレスリリースで公表しています。2014年入社で姫路支店在籍後、2016年9月に退職した社員(中村成治)が、退職後に設立した会社(株式会社Foresight)で架空の投資商品を提案している疑いがあるとしています。

なぜ、この不祥事だけホームページで公表したんでしょうね。それもかなり詳細に、元社員の氏名まで明示して。いろいろと勘ぐってしまいますが、公表文の中に次のようなくだりがあります。「お客様への被害拡大防止の観点から、当社社員の関りも含めて調査を進めるとともに、警察への相談を行っております」

かなり怖いお話ですね。現野村証券の営業員もこの架空商品とやらの勧誘に関与している可能性をほのめかしています。実は大手のメディアはまだ取り上げていませんが、船橋支店の営業員がこの架空商品と思われる取引を、Foresightの中村氏同席で顧客に勧誘・契約させたという被害が既にでているようです。この被害者には詐欺被害の救済と称して、また別の営業員が詐欺的な勧誘をしているとか。。。

金融庁次第かな

もうここまでくると立ち直れないかもしれませんね。非常に問題ある会社組織が、次から次へと犯罪者を育て、世に放っているかのような構図。監督する金融庁も今回はさすがに許さないんじゃないでしょうか。社長の引責辞任、、、、それだけで済むのか。「選択」さんが以前から書いているように、社長交代やメガバンク傘下入りも現実味を帯びてきましたね。

金融庁 老後2000万円問題 想定以上の効果

昨日、公取委を取り上げましたので、本日は金融庁を。老後2000万円問題、国会で散々もめた末に、参院選の争点になってしまいました。何ともくだらないことを、、、と思いながら見ていた人は少なくないと思います。こんなことしか争点にできない野党って、残念でしょうがないです、ホント。

金融庁にとっては自身でも想定外の効果

ここで少し整理しておきます。問題となったのは6/3に公表された、金融審議会 市場ワーキング・グループがまとめた「高齢社会における資産形成・管理」という報告書です。皆さんも時間があったらご覧になってください。kuniは読んで何の違和感もありませんでした。

思いもよらない大炎上になってしまい、とうとう金融庁企画市場局長が謝罪するという結果になってしまいました。役所の機能からすれば、与党を窮地に追い込み、確かに残念なことになってしまったわけですが、彼らの目的とするところについては、想定以上の効果が得られたのではないかと思います。

金融庁は個人に対して、資産形成に対する意識を高めるべく、様々なことに取り組んできましたが、その効果はそれほど感じられませんでした。今回の大炎上は違ったようで、このことで明らかに多くの国民が、自分の老後に備えた資産形成のことを考え始めているようです。

6月に入って、金融機関等が主催する資産形成セミナーは応募が殺到しているそうですし、大手のネット証券ではIDECOの申し込み件数が報告書発表前の2倍近くに急増したとか。まぁ、言ってみれば副作用で野党を勢い付かせてしまいましたが、金融庁が企図した長期資産形成の勧めに関しては、期待した以上の反響があったわけです。

まとめ

老後2000万円事件をきっかけに、日本ではなかなか根付かなかった、投資や運用に関するリテラシーが大きく向上してくれるのではないか。正直なところkuniも期待しているところです。金融庁はこれまで、個人の資産形成を阻害してきた金融機関の営業姿勢を是正させるべく、フィデューシャリー・デューティーや顧客本位の業務運営を浸透させてきました。

顧客の資産形成に向けた主体的な行動を補う仕組みとして、「第三者による金融機関の業務運営の評価(例えばR&IによるFD格付など)」や「顧客にアドバイス等を行う担い手の多様化(IFA)」なども支援してきました。

そして今回の老後2000万円問題が、とうとう「顧客の主体的な行動」を誘発することとなったわけです。『「顧客本位の業務運営に関する原則」の定着に向けた取組み』で示した工程表通り、、、結果的に勝者は金融庁かもしれませんね。

公正取引委員会に注目

このところ公正取引委員会(以下、公取委)の動きが活発になっています。というか、メディアで取り上げられる機会が増えているといった方が正しいかもしれません。長崎県の地銀合併問題で真っ向から対立した金融庁が、老後2000万円問題で大炎上したことで一層元気付いている、と見る向きもありますが、、、。

GAFAへの規制

GAFAと呼ばれる巨大なプラットフォーマーへの規制が世界中で議論されていますが、日本においてこれを取り扱うのはまさに公取委です。金融庁が斜陽産業(言い過ぎました)の地銀の指導や統合といった監督を行っているのとは、かなり対照的ですよね。今まさに最も旬な業界を相手にするわけです。おまけにその一角、フェイスブックがステイプルではありますが、仮想通貨など金融領域にまで進出し始めています。「アマゾンが金融に進出したら」という話題も未だ尽きません。

コーポレートガバナンスの課題も

コーポレートガバナンスについて、「上場企業の経営者がリスクを取って成長しようとしない」とか、「上場維持や企業として存続することが目的化している」という話を聞くことが増えました。いわゆる攻めのガバナンスが足りていないのではないかというご意見です。

そういう実態が原因となって、行われてきた合理化や徹底したコストダウンは、検査工程の人員削減や監査部門の弱体化を引き起こし、、、多くの企業で不正・不祥事へとつながっていきました。そしてさらに、コストダウンの流れは下請け企業へも大きな影響をもたらしているのではないかとの懸念が出てきます。

下請け企業への知財吸い上げ防止

下請け企業に対して、より安くて、良い商品を納入させることで、親企業側はコストダウンを図る。それが不当なものであれば当然問題です。政府も、大企業の働き方改革に伴う下請け企業への「しわ寄せ」を防止するため、総合対策の取りまとめに動いてますし、先日書いた「ノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為」にしてもこれら不当なものに対する危機感のあらわれと言えます。

後者の知的財産については、先日公表された調査結果で、企業が取引先から知財の開示を不当に強いられる事例が多数判明したことを受け、公取委が企業や業界団体向けの説明会を開催するなどの防止対策に乗り出しました。同調査結果に基づく個別企業の調査も始まっていると思われます。

権益拡大の好機

さらに、公取委のもう一つの所管である独占禁止法については、コンビニ24時間営業等のフランチャイズ契約の問題で脚光を浴びていますし、課徴金減免を拡充する改正独占禁止法の成立という話題も。なにかと話題が豊富な公正取引委員会。冒頭の話で言えば、組織としての権益拡大の好機であり、下請法、独占禁止法のもとに摘発企業が増加するのでは、、、という気がします。

日産自動車 24億円の課徴金? 課徴金計算方法

先週、突然こういうニュースが流れ始めました。日産自動車の前会長カルロス・ゴーン氏が役員報酬を有価証券報告書に過少記載したとして金融商品取引法違反の罪で起訴された事件で、証券取引等監視委員会は日産に対して課徴金を科すよう金融庁に勧告する方針を固めたとのこと。監視委は「報酬隠し」が投資家の判断に与えた影響は大きいと判断したもようで、課徴金額は少なくとも約24億円にのぼる見通し。

証券取引等監視委員会の告発内容

ニュースではゴーン氏逮捕の後もいろいろと余罪が聞こえてきましたが、監視委員会が告発しているのは、虚偽有価証券報告書提出について、昨年12月と今年1月の二回です。最初が23年3月期~27年3月期の5期間の有価証券報告書について。後者が、28年3月期~30年3月期の3期間の有価証券報告書について。

いずれも、それぞれ、重要な事項につき虚偽の記載のある有価証券報告書を提出した。という内容です。虚偽の記載というのが、有価証券報告書の「コーポレート・ガバナンスの状況」欄内、「役員ごとの連結報酬等の総額等」の欄に、ゴーン氏の総報酬及び金銭報酬を実態より過少に記載したことですね。

24億円はどうやって計算?

有価証券報告書の虚偽記載に関する課徴金の計算方法を金融庁のホームページで調べてみました。「虚偽記載等のある有価証券報告書等を提出した発行者が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額の10万分の6又は600万円のいずれか高い額」となっています。

そこで、勉強するつもりで、日産自動車株式の時価総額を調べ、計算もしてみました。

23年3月期末  3兆3362億円   2億17万円
24年3月期末  3兆9827億円   2億3896万円
25年3月期末  4兆912億円    2億4547万円
26年3月期末  3兆8563億円   2億3137万円
27年3月期末  5兆1328億円   3億796万円
28年3月期末  4兆3435億円   2億6061万円
29年3月期末  4兆2011億円   2億5206万円
30年3月期末  4兆3170億円   2億5902万円

左側がその期末株価で計算した時価総額で、右側が時価総額に10万分の6を乗じた金額です。いずれも600万円をはるかに超えていますので、この金額が課徴金になると思われます。8期分全部合計で19億9562万円になります、、、が、こういう計算であってるんだろうか。

約4億円の差は何か?

新聞等が報じている24億円とは、約4億円の差が出てしまいました。以前東芝が、有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令を受けた際、有価証券報告書を参照書類とする発行登録追補書類を提出し、同発行登録追補書類に基づいて発行した社債券についても課徴金が課されていました。東芝のケースは純利益の過大計上ですからね。

こちらは、課徴金の計算方法が「募集・売出し総額の2.25%」となっていて、かなりインパクトデカいです。もし日産がこの期間中に1000億円のSBとかを発行していれば、それだけで22億5000万円の課徴金になります。残念ながら海外子会社まで含めた社債の発行状況まで調べられませんでした。っていうか、ここまでの計算結果についても自信がないというか、kuniの試算ということで、、、悪しからず。