3/9 日本経済新聞の記事です。IHIが3/8に記者会見を開き、航空機エンジン整備での検査不正を発表したとのこと。見つかった不正は2年間で211件。そのうち208件は必要な資格を持たない従業員が検査を行っていたようです。残り3件は規定と異なる手順で検査していたというもの。
3/5 日経でも報道
「IHIが民間航空会社から受託しているジェットエンジンの整備事業で不正が発覚し、国土交通省の立ち入り検査を受けていたことが4日、分かった。」 記者会見より前、この報道が先行しました。これを受けて同社が発表したウェブ上のお知らせがいけてません。
「本日の一部報道について」というタイトルで、「本日、当社の民間航空機エンジン整備事業に関する不適切な事象について、日本経済新聞朝刊などにおいて報道がなされましたが、これは当社が発表したものではありません」と知らせています。これに続けて、立ち入り検査で不適切な事象があったことが判明したことを認めてはいますが、書き出しの他人事のような台詞には違和感を覚えた方が多かったのではないでしょうか。今もそのまま掲載されています。
不正の常連
日経記事にも書かれているように、IHIは不正・不祥事の常連です。「本日の一部報道について」に見る開示の姿勢が、同社の体質、カルチャーを示しているような気がします。加えて最初の報道から3日経ってからの記者会見。こんなやり方だから新聞で取り上げる方にも力が入るというものです。
ちょっと脱線しますが、ホームページでの公表については是非KYBの姿勢を見ていただきたいです。ほとんどの会社が不正・不祥事に関するニュースやその後の更新情報を、プレスリリースのコーナーで言い訳程度に表示していますが、KYBは違います。トップページにほぼ全面にお詫び記事とともに更新ニュースを掲載しているんですね。本来のホームページのコンテンツはほとんど隠れてしまっています。
こんなところに会社の姿勢が表れていると思いますし、そのためかマスメディアのその後の追及も少ないように感じます。内部通報で発見対処できたことも含めてIHIとは非常に対照的です。
国内重工メーカーの優等生?
IHIはプラント建設や発電用原動機などの事業再編を進めており、「中核部門と非中核部門の線引きをはっきりさせている。国内重工メーカーの中では最も改革が進んでいる」と評価されていました。にもかかわらず、ガバナンスは付いてきてないんですね。
同社のグループビジョンでも、「航空エンジン事業において主導的地位を確保するとともに、宇宙開発事業においては推進系技術を中核として産業化を確立する」とあります。中核事業でこのありさま。そして、不正に対する残念な企業風土。昨年4月に内部通報があったにもかかわらずその好機を逃し、今回も初動が3日間遅れ、いやぁ、本当に残念な会社です。