統合政府論

昨日の記事では、最後に統合政府論を紹介しました。お勧めした本の著者も、この統合政府論を支持していると思われます。もっとも、本の中で「統合政府」という言葉は使用されてませんが。今日の記事ではこの統合政府論について書いてみます。

統合政府論とは、「日本銀行は政府の子会社とみなせるため、日本銀行が買い入れた国債は政府の負債と相殺されるのだから、日本の財政再建は着実に進んでいる」という考え方です。統合政府論については肯定派と否定派真っ二つで、今のところ決着がついていないという感じです。

いったん「」内の定義は否定派の一人、白井さゆり氏(元日銀審議委員)の表現を引用させてもらいました。また、この後紹介する、政府債務額と日銀国債保有額は白井氏が書いている本で使われているデータをそのまま使用しています。

現在、日本政府は約1000兆円の債務を抱えています。つまり長期国債が1000兆円発行されているということです。一方で日銀は金融緩和政策の一環で約400兆円の長期国債を買い入れてきました。つまり、約400兆円の国債が資産に計上されているということです。

ここで、日本政府のバランスシートと日銀のバランスシートを連結すると、政府債務の400兆円は日銀資産の400兆円と相殺されてしまい、政府の債務は差し引き600兆円になるという考え方です。しかも、今後国債を買い入れていくと、もっと政府の債務は減少していくことになります。

「日本の財政再建は日銀による異次元緩和の継続により、すでに完了していて、財務省だけがそれを隠して消費増税をしようとしている」とするのが、昨日紹介した「官僚と新聞・テレビが伝えないじつは完全復活している日本経済」の著者、上念氏の見解。これに対して統合政府論を元日銀審議委員として否定する白井氏。お互いの主張を読み比べるとなかなか面白いですよ。白井氏の著書は「東京五輪後の日本経済」です。

2018年10月の IMF 国際通貨基金 財政モニター

昨年10月に公表されたIMFの財政モニターでは、統合政府とほぼ同じ概念の公的部門のバランスシートが示されていて、国の財政についても企業のバランスシートと同じ見方をしています。これまで国のことになると債務にばかり目が行ってましたが、資産側もしっかり見ることを推奨しているように思えます。

企業のバランスシートを見るとき、その会社の資産の額を抜きに、ただ負債が大きいことを危険視することはあり得ません。国の財政についても同じ見方の方がしっくりします。IMFの立ち位置の変化も踏まえ、kuni個人としては統合政府論を支持したいと思います。

書き忘れていましたが、元祖統合政府論を唱えられたのは、高橋洋一氏だと思います。それから、最後に、上念氏も、白井氏も同じようにIMFの見立てを紹介し、自身の見解の正当性を訴えてらっしゃるんですよね。にもかかわらず、正反対の見解になってしまうというのも面白いです。

外国人入国者数と 訪日外国人旅行者数

1/24 日本経済新聞記事から、「技能実習の新規入国者、最高の15万人」という記事です。記事の前半はともかく、後半は統計データを並べて書いただけ。記事と記事の間を埋めるだけに使われた記事。そんな感じの記事でした。

後半の記事

「全体の外国人入国者数は過去最高の3010万人で、17年から267万人増加した。再入国者を除く新規入国者数も2757万人で10%増え、過去最高だった。観光庁は16日、18年の訪日外国人旅行者数を発表し、17年比9%増の3119万人で過去最高だった。」(引用ここまで)

基準がバラバラで、比較の仕方が違うと、ここまで難解な文章になってしまうという良い例ですね。前の年と比較して267万人増加、10%増え、9%増加。3つのデータを示しているんですが、増加の実数やら増加率やらを一緒に使われると何のことやら、すんなり頭に入ってきません。

外国人入国者数と訪日外国人旅行者数

そもそも、何の説明もなくこの二つの統計データが出てくるんですが、外国人入国者数と訪日外国人旅行者数の定義の違いって分かります?こんな事ほとんどの人が知らないだろうに。kuniだけが知らないんでしょうか。

外国人入国者数は法務省が公表している統計で、現時点では速報値として示された18年のデータです。一方の訪日外国人旅行者数は観光庁が公表している統計で、こちらも速報値です。で、それぞれの数字が過去最高の3010万人と3119万人。統計の違いを説明しないと、この記事意味を持たなくないですか。

ということで調べてみました。法務省のプレスリリースに出ていましたが、なんとまぁ、これ見付けるのどんなに苦労したことか。もう少しサイトの構成考えた方が良いんじゃないかな。以下引用です。

法務省では、我が国への入国時に「短期滞在」、「留学」等の在留資格を受けて上陸を許可された者及び特別永住者に係る入国者数を「外国人入国者数」として集計しています。なお、観光庁が公表する「訪日外国人旅行者数」は外国人入国者数から在留資格「永住権」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」及び「定住者」による入国者数並びに特別永住者の入国者数を除き、船舶観光上陸許可数、寄港地上陸許可数及び通過上陸許可数を加えたものです。(引用ここまで)

最後までお読みいただいた方、お疲れさまでした。簡単に言うと法務省は、船舶により入国したものを除き、入国した外国人全部を集計している。観光庁はその数字から日本に定住等している者を除き、船舶で入国したものを加えている。ということかな。船舶経由で入国した外国人が234万人となっていましたので、観光庁の訪日外国人旅行者数は外国人入国者数から100万人以上増加しています。

厚労省の統計が大問題になっていますが、法務省と観光庁の間でも、はたして別々の省庁でこんな統計が必要なのかな、と思わせる光景がありました。どっちかに集約するとかすればいいのに。これらの統計も自分たちに必要なくなってきたら、不適切に集計方法やら変えちゃうんでしょうね。

国家間の対立と移民問題

なんとも壮大なタイトルで書き始めてしまいました。このところの世の中見ていて、米中貿易戦争や北朝鮮、英国のEU離脱など、そこらじゅうで国家間の対立が目立ってきました。日本でも韓国との間でレーダー波照射事件やら国際捕鯨委員会からの脱退などありましたね。これらの動向を金融市場も無視できなくなってきました。

ポピュリズム→ナショナリズム

これらの背景には世界的なポピュリズムの拡大があると言われています。ポピュリズム(大衆迎合)がナショナリズムに変化していってるような気がします。20世紀の大戦へとつながっていった状況と似てきたなぁ、と心配しています。

北朝鮮や中国にはこうした流れとは違って、国家の運営思想の中にナショナリズムが元々組み込まれています。悪いのは全て他国であるという意識が国家の存立基盤であったわけですが、西側諸国も同じ発想、同じ意識になりつつあるように見えます。最初にこうした方向へ大きく踏み出したのがトランプ氏でしょうね。ビジネスマンとしては決して嫌いなタイプではないんですが。

他国を悪者にして国民からの信頼を得る。ポピュリズムをナショナリズムに結び付け、絶大な人気をもってしまったトランプ大統領。ドイツが世界征服を目指した時代のヒトラーとよく似てきました。

このまま突き進んでいく先には戦争が、、、と心配なるわけですが、現代にあのころのような兵士が殺しあう戦争はないんでしょうね。お互いに失うものが大きすぎます。今の時代は、貿易戦争や、バイオ兵器、サイバー攻撃といった方法で、他国の資産を手に入れようとします。これ、立派な戦争です。

移民問題との関係

トランプ大統領はメキシコとの国境に壁を作ろうとしています。アメリカ第一主義のもとで不法移民の流入阻止も彼の政策の柱となっています。そして、その壁建設の予算計上(50億ドルだそうです)をめぐり、政府機関の一部が閉鎖状態となってますよね。

移民問題はヨーロッパでも深刻です。こちらは難民問題と呼ばれることが多いような気がしますが、本質は同じです。トランプ氏が会見で「欧州は移民に乗っ取られようとしている。EUは気を付けなければならない」とか、「移民によって欧州は伝統的な文化を失いつつある」などと発言していました。

「伝統的な文化を失いつつある」、、、この言葉は重いです。英国のEU離脱の問題も、もとはと言えば移民問題から始まったことですし、伝統的な文化を維持するためには、移民は排除せざるを得ないんでしょうか。

国家間の対立、ナショナリズム、、、移民問題が根底にありそうです。というか、移民問題がトリガーになっているように見えます。そして日本もついに実質的な移民受け入れにかじを切りました。どうなるんでしょう。kuniとしては、労働人口の減少を移民に頼るのではなく、テクノロジーで解決していくべきだと思っています。

多角化の功罪(その2)

日本において企業は、事業の多角化により一時の繁栄にとどまることなく、継続的な存続を目指します。このことは企業が終身的に雇用を継続することにも繋がっています。平成の時代が終わろうとしていますが、この時代を通して日本の終身雇用はかなり批判を浴びてきました。終身雇用って本当にダメなんですかね。

企業はコミュニティ化 家族は孤立化

核家族という言葉も死語でしょうか。最近あまり聞かなくなりました。核家族化が進んだ歴史は企業の終身雇用、コミュニティ化と裏表のように思われます。家族は従業員の収入で支えられ、従業員は企業の終身雇用によりコミュニティに支えられています。

こう考えると、家族単位でどのコミュニティが、企業単位のコミュニティへと変化しただけのようにも見えます。であれば、日本企業の終身雇用ってそんなに悪くないなぁと、思うわけです。その終身雇用を支える日本企業の長寿化、ひいては企業の多角化に対するリスクテイクも。

COSOの内部統制フレームワーク

「2013年改正のCOSOの内部統制フレームワーク。日本における長寿産業の圧倒的な多さを考えると、日本には暗黙知としての日本的フレームワークが存在すると思われる。」 kuniのノートの端にメモったフレーズです。何を読んでメモったのか思い出せないんですが、国際的にも注目されているようです。

もう一つ、kuniのメモですが、「国際的にも説明可能で、かつ日本の実情に合った実効性のある基準」というフレーズも。これも何から控えたのか不明なんですが、日本企業の多角化とそれによる長寿化。そして従業員が安心して働けるコミュニティ、サスティナブルな企業。日本がもっと誇っていいシステムじゃないでしょうか。

これこそ日本のお家芸

海外で発明された便利な技術を取り入れ、仕入れた原材料を最高品質の商品に加工する。オリジナリティはないかもしれませんが、20世紀の世界を震撼させたのがこの日本のお家芸でした。株式会社も欧米から輸入したモノですが、それを日本のお家芸でカスタマイズ。そして、世界一の長寿企業を抱えるに至りました。

もっと、自慢していいんじゃないかな。日本の長寿企業。世界に対しても説明できそうな気がするんだけど。

多角化の功罪

少し古いんですが、1/11 日本経済新聞の大機小機に掲載された記事のタイトルです。日本の企業と米国の企業、なかなか面白い目線で比較しています。kuniも以前からなんとなく思っていたことではあるんですが、上手く説明してくれています。

日本企業の長寿化

筆者は、「日本企業は株主の投資に応えるべく、事業の多角化により一時の繁栄にとどまることなく、継続的な存続を目指す」としています。一方で米国では「多角化で企業の存続を図ること、つまりリスキーな新規事業への投資よりも、株主への還元を優先すべき」と考えるとも。

また、この考え方は株主の思考によっているとも言っています。投資している企業がリスキーな新規事業に挑戦してくれなくても、その当該事業を手掛ける別の企業に乗り換えれば良いだけのことと言うんですね。たしかに、おっしゃる通りです。そのため多角化企業は米国では好まれないんだそうです。

日米投資家の違い

こうやって考えてくると、日本の企業が目指しているものと、投資家(株主)の目指すものとのギャップが気になります。例えば最近の個人投資家はどちらかというと米国的に、短期売買を好んでいるように見えます。日本企業を支えてきたのは、政策投資等で長期に保有し続けてくれる銀行等だったのかもしれません。彼らのような安定株主に報いるために多角化や企業の継続性が重視されてきたんでしょうね。

つまり、資金を提供してくれる銀行や持ち合い先の要請に応える形で、企業は継続性を重視し、そのために事業の多角化を進めてきた。ということ。ところが米国や世界の機関投資家からはそれが歓迎されず、外圧(これ死語か?)により持ち合いや銀行の政策投資を解消させる動きになっています。

ここでも日本の強さの根源が否定され、土台が切り崩されていってるようです。長期投資家が減少するという事象に企業の経営が合わせるなら、多角化は不要という結論になります。太く短くという米国流です。しかし、これは日本人に合ってるんでしょうかね。kuniは従来のスタイルの方があっているような気がします。

まとめ

投資家がいちいち投資先を変更することを心配することなく、企業が多角化や事業選択を適切に行うことで、長期にわたって継続的に儲けさせてくれる。このスタイルを維持していくためには、持ち合いや政策投資に代わる長期投資家を育成する必要があります。個人投資家にそれを期待するということでしょうね。

まとめ、と言いつつ、実はまとまっていません。銀行の政策投資、企業間の持ち合いを復活させる手もありだと思うんです。銀行の収益率は1%を切っています。一方で東証一部上場企業の配当利回りは2.48%にもなっています。カードローンやアパートローンで社会の信頼を裏切らなくても、政策投資で十分な収益率が維持できていたのではないか、とも考えられるわけです。