キャッシュレス決済 日本経済新聞の調査結果

調査概要 日本経済新聞と「日経クロストレンド」「日経FinTech」がマクロミルに委託し、10月25~30日に実施。全国1万人から回答を得た。クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、電子マネー、スマホを使ったモバイル決済、QRコード決済を対象に、認知度や利用頻度などを聞いた。そうです。

キャッシュレス「東高西低」

日々の買い物で使う金額のどれぐらいをキャッシュレスで決済しているか聞いたところ、全国平均は43%だった。47都道府県別のキャッシュレス比率では千葉(48.5%)や東京(48.4%)、神奈川(46.4%)など首都圏が上位を占めた。一方下位では、佐賀(31.9%)や宮崎(32.2%)、島根(33.6%)、徳島(34.9%)といった九州、中四国が並び、脱現金では「東高西低」の傾向が浮き彫りになった。とのこと。

記事でも指摘しているように、スイカやPASMOの存在が大きいんでしょうね。kuniも昼食はほぼPASMOで済ませてしまいますし、交通系電子マネーが使用できる自動販売機も多くなりました。

kuniの10月以降昨日までのお買い物を改めて思い出してみましたが、キャッシュレス比率が軽く8割を超えていました。ちょっと大きな買い物があって、いずれもクレジットカードを使用したのが要因ですが。ちなみに政府の統計と一緒で、口座振替は決済金額から除外してます。

QR決済「知らない」8割

違和感があったのがこのデータです。QRコード決済を「知っている」と回答した人が19%にとどまったとか。冒頭にこの調査の概要を引用しておきましたが、全国1万人という回答者のプロファイルも知りたいところですね。地域別の回答者比率や回答者の年齢層でこの手のデータはどうにでもなりますからね。

で、12月に入ってペイペイが購入額の20%分を還元するキャンペーンを行って認識度が上がっていると思われるが、これは今回の調査結果に反映されていないと断っています。ペイペイとLINEのキャンペーンを経て認知度が大きく上昇したという記事の伏線ですかね。

ソフトバンク19日上場

この手の記事を並べておいて、ソフトバンクのIPOの募集結果についても報じていました。応募倍率は2倍弱だったとのこと。やはり、このサイズの募集となるとこんなもんでしょう。SBI証券が当選株数を後から増やしてきたという話題も書いていましたが、証券会社はそれなりに苦労したと思いますよ。

ある顧客が5000株キャンセルしたとかの事例も取り上げていましたが、この程度の話は常につきものです。問題は核になる顧客。予定していた1件で100万株がキャンセルに・・・なんてのと戦うわけですよ、営業さんはホント、お疲れさまでした。

ソーシャルレンディング業者のエーアイトラスト株式会社

証券取引等監視委員会は7日、ネット経由で融資を仲介するソーシャルレンディング業者のエーアイトラスト(東京・港)を行政処分するよう金融庁に勧告したそうです。実在しない架空の事業で投資を募るなど金融商品取引法に違反する虚偽表示があったとしています。併せて建議も行われています。

ソーシャルレンディングとは

ソーシャルレンディングとは、いわゆるクラウドファンディングのうち、金融型クラウドファンディングに分類されるもので、他にも購入型クラウドファンディングや、寄付型クラウドファンディングなどがあります。購入型なんかは皆さんも聞いたことがあると思います。出資者がプロジェクトに出資しその成果として開発した商品を受け取るやつですね。

エーアイトラスト株式会社のHPを見てみましたが、会員登録しないと個別のプロジェクト等については見ることはできませんでした。ちなみに、運用利回りは6%~10%、運用期間は3か月~24か月で10万円からの少額投資が可能と謳っています。要するに監視委員会が指摘している、架空であるとされる事業に関しては確認できません。

エーアイトラストという会社

この会社、株主が開示されていないほか、沖縄の軍用地担保ローンの紹介があったり、いかにも怪しげなHPです。エーアイトラストは Ai Trust の英文表示で、いかにもAI(人工知能)をイメージさせるようなデザインになっています。笑えるけど。

で、役員を見ると、4名が財務省出身となっていますし、他に国土交通省、防衛相出身者がそれぞれ1名という内訳で、社長以外は全員天下り。元官僚の人脈を生かした事業運営を売りにしているような節もあります。今時そんなもん何の役にも立たんでしょうに。

監視委員会による勧告と建議

以前、東洋証券の行政処分勧告の記事で、「勧告」について説明しました。勧告というのは、検査を受けた業者に対して処分をした方が良いよ、と告げて勧めること、つまり監視委員会が金融庁に対して意見すること。でした。

エーアイトラストのこの事例に関しても同様、監視委員会は金融庁に行政処分を行うよう勧告をしたわけですが、併せて建議も行っています。新聞の記事では「監視委は7日、投資家保護を徹底するため情報提供や説明を充実するよう金融庁に制度改正を求めた」と書いていますが、このことを建議と言います。

検査の結果としてこういう悪事を可能としてしまったことについて、法律の不足や不備を改善してね、という要請をすることを「建議」と言います。証券取引等監視委員会のHPでは、「金融庁設置法第21条の規定に基づく建議について」というタイトルで公表されています。

実体のない投資となってしまったようですが、投資家のお金はどうなってるんでしょうか。被害の状況等についてはまた別の回にて。

ソフトバンク 通信障害

なんとも微妙なタイミングです

12月6日の午後、ソフトバンクの携帯電話で大規模な通信障害が発生しました。原因は、スウェーデン通信大手のエリクソンという会社が提供したソフトウェアだったということで、既にエリクソンが公式に謝罪もしているんですが、、、。4時間に及ぶ通信障害、なんともビミョーなタイミングで起きちゃいましたね。IPOが19日に上場が予定されていて、申し込みが11日~14日だそうです。

他の株式や証券などを売却して、買い付け代金に充てようとしていた向きには、なかなか辛い下げ相場となっていたうえ、追い打ちをかけるように大規模通信障害の発生です。まぁ、上手くいかないときってこういうもんですけどね。直前のこのアクシデントで公募価格に下げ圧力がかかったりするのか、募集に悪影響は出ないのか、気になるところです。早速、シ団や機関投資家とミーティング持ったとか。

これくらいのサイズの公募になると、証券会社は募残と言いまして、頑張って募集したけど売れ残りが発生しました、という事態を懸念しながらの募集になるんですね。売れ残るということは、その価格では魅力がない。→ 証券会社が自己で売れ残りを保有することになる。→ 上場しても公募価格割れになる。→ 証券会社が損失を被る。ということになります。

いやぁ、証券会社結構冷えてると思いますよ。もちろん営業がお客さんに説明するときは自信たっぷりで、儲かりそうに話すんですけどね。

ケータイ2台持ち

ニュースに出てインタビューに答えていた人がこんなことを。「プライベートのケータイも会社から貸与されているのもソフトバンクなので、何も出来なくなってるんです」。これは意外な盲点でした。会社から携帯電話持たされてる人は多いと思います。

kuniもそうなんですが、同じキャリアの携帯電話持ってたんじゃ、こういう障害時に困りますよね。BCMの観点からは、個人が使用している携帯キャリアとは違うキャリアの会社携帯を持たせるべきですね。外回りの営業員とかを抱えている会社であれば、これは考慮しておいた方が良さそうです。

もう一歩突っ込んで考えると、キャリア以外にOSへの配慮はどうでしょう。iOSとアンドロイド、両方持っておいた方が良いんでしょうか。OS由来のバグ等で一斉に通信ができなくなる、なんてことが起きうるんでしょうかね。この辺りからはkuniの知識では手に負えません。本日はこれまでということで。

日本取引所CEO処分 内規違反

またまた証券取引所の不始末です。清田瞭(きよた あきら)氏は日本取引所グループの最高経営責任者であり、3年前までは東京証券取引所の社長でもあった人物。で、もともとは大和証券の副社長までやられた人で、現在も大和証券グループ本社の名誉会長なのかな?

日本取引所グループの内規に違反

上場インフラファンドの取引で同社の内規に違反したと発表。なんとこのCEOの取引、投資金額は約1億5000万円。2つのインフラファンドへの投資で、分配金を含め約2000万円の利益を得たが、全額を日本赤十字社に寄付するんだそうな。

このCEO、インサイダー取引に関しては非常に厳しい管理を要求されている証券会社出身であり、現在はこうした上場商品に関する開示情報を一手に握っている、胴元である取引所のトップですよ。普通に考えればウォールの中にいる人物です。こんな取引ありえないでしょ。証券界ではウォールの中の人たちは証券取引全てを禁止されるものです。

「内規ではETFは認められているが、インフラファンドは認められていない」と説明しているみたいですが、これは内規ではなく、法令で定められていることです。平成26年からインサイダー取引規制の対象商品である特定有価証券等になったはず。REITと同じですね。内規だから大したことではない、ということではありません。常に自らを正当化しようとするこのバイアス。気に入りませんね。

やっぱり大和証券が注文受注したの?

インサイダー取引を疑われても仕方がない取引ですが、やっぱりこの取引注文を受注したのは大和証券さんですかね?取引所の役員ともなれば、内部者に準じた取り扱いはしているものと思われますが、大和さんの受注には問題はなかったんですかね。しれーっと別の証券会社に発注していたら、これはこれで面白いんですが。

反対売買して利益をどこかに寄付、社内処分したのでこれでおしまい?監視委員会はこの件どう見てるんでしょう。インサイダー情報がなかったかどうか、受注した証券会社の受注態勢に問題はなかったのか。一応、特別調査課あたりで調べておいた方が良いのでは?

一連の不始末をメモ

今年2月には、上場を許していた欠陥商品VIXインバースで、投資家が大きな被害を受けました。また、10月には東証システム障害で半日から一日、主に大手証券から注文が取り次げなくなりました。そして今回のCEOによるインサイダー取引もどきの発生。やっぱりこの会社おかしくなってきてると思いますよ。

東洋証券 行政処分勧告 その2

証券取引等監視委員会による勧告の話題から既に2週間程度になりますが、皆さんの会社では自社点検済みましたでしょうか。他社の指摘事項を見て、自社の状況を点検する。基本中の基本ですね。今日は他にも気になる外国株式事情について。

典型的な指摘事項 不必要な手数料負担

かなり昔に指摘のあった事項として、「不必要な為替手数料を負担させる営業行為」というのがありました。外貨客勘に米ドルが残っているのに、もしくは米ドル建てMMFの残高があるのに、これを優先して使うことなく米国株を円貨決済で買い付ける取引です。

当時は多くの証券会社が指摘を受けましたので、ほとんどの会社で外貨客勘、MMFを優先して充当するというシステムの手当てがされていると思いますが、最近になって外国株式の取り扱いを始めた証券会社さんは要注意かもしれませんね。システムがなければ、この2か所に外貨が残っていないことをその都度確認する必要があります。

指摘事項 その2 外貨客勘に置いたままの外貨

これも古典的かもしれません。外貨建て商品の取引で残った外貨を、外貨建てMMFにすることなく、外貨客勘に置いたままにしているケースです。顧客はMMFを買い付けていればもらえたはずの分配金をもらえません。本社からしかるべき周知が行われていない場合、広範に発生してしまうので、検査する側からすると指摘しやすいわけです。

指摘事項 その3 チャーニング

チャーニングというのはいわゆる過当取引(過当勧誘)のことです。金額、回数において、手数料を稼ぐために過当な取引勧誘をすることですね。米国の判例をもとに日本でも過当取引が認められた判例が出ていて、監視委員会の検査でも今後使われるんじゃないかと思ってます。

判例では、売買回転率(顧客の資金が一年間に何回転しているか)が6を超えていることをもって、過当取引を認めています。この6回転という基準は米国判例からきているものです。あくまで法廷での判断ですので、従来の検査ではこの基準を適用した事例はなかったと思います。しかし、昔と違って今では、顧客本位の業務運営を各社宣言しているわけで、にもかかわらずこれってどうよ。という理屈での指摘、十分あるんじゃないでしょうか。

指摘事項 その4 仕切り取引(国内店頭取引とも言います)

外国株式には委託取引と仕切り取引があります。前者は顧客の注文を直接外国株式市場につなぐ取引で、後者は外国市場に取り次ぐことなく、証券会社が相手となって顧客の注文を約定させる取引です。問題はその手数料率の差です。売り買いで前者が2%程度で、後者が5%くらいになると思います(もちろん証券会社ごとに違いますので参考程度に)。

問題なのは、取引の実態を見ると、後者の仕切り取引が圧倒的に多いということです。大手の証券会社では既に仕切り取引を止めているという話も聞きますが、準大手以下ではこの状況は変わってないそうです。顧客の意向が特段ないにもかかわらず、仕切り取引に傾注する外国株式取引はいずれ不適切という烙印を押されることになるでしょう。

本日はここまで。