小林製薬 健康被害を巡るインサイダー取引はあったのか

小林製薬が販売する「紅麹」の成分が含まれた健康食品を摂取し、その後に死亡した人が5人に上るなど、同社商品の健康被害が大きな社会問題となっています。その同社株の推移を巡っては、2月上旬から同社の株価が大きく下落していることから、同社株式のインサイダー取引があった疑いが指摘されているそうです。

株価の推移

同社株は2月に入って下落を始め、同月中旬までで約10%(6,700円→6,000円)下げています。同じ時期の日経平均株価は約8%の上昇となっており、確かにインサイダー取引があったかのような印象を受けますね。

この動きについて、記者会見に参加した中国メディアから、「インサイダー取引があったのではないか」という質問があった模様。小林社長は「当社ではインサイダー情報について教育を行っています。その情報により売買の事前の社内許可制をとっている。インサイダー取引はないものと信じている」と否定したとのこと。

同じ業界を見てみると

同社株の比較対象となりそうな銘柄としては、ライオンや花王があげられると思います。両社の同じ期間の株価推移を見てみると、ライオンが約5%程度下落しており、花王も約6%ほど下落しています。日経平均が上昇するなか、この業界全体が売られていたことが分かります。

株価の推移だけではインサイダー取引があった、とまでは言えない程度の下げのように見えますね。もちろん、個別の取引見ないと分かりませんが(当然、監視委員会は既に調査を始めてると思います)。

東京メトロ 2024年度中にも上場へ

政府と東京都は東京地下鉄(東京メトロ)の株式の売却を2024年度中にも始めるとのこと。早ければ夏にも株式の上場を目指しており、両者で100%を保有する株式を最終的に50%売却するといいます。政府側の売却益は東日本大震災の復興財源とするそうな。

東京メトロ

東京の地下鉄は東京メトロと都営地下鉄の二つ。両事業者で東京都23区内の大半を縦横無尽に結んでいます。地方の方にはピンとこないかもしれませんが、この両社の路線なしに東京では生活できないほどのインフラ。東京メトロが9路線180駅と都営地下鉄が4路線106駅の総計13路線286駅となっています。

株式公開

上場を目指す東京メトロは、国が53.4%、東京都が残りの46.6%を保有しているんだそう。東京メトロの純資産約6400億円を企業価値とし、上場時の時価総額が6,000億円程度となれば、かなりの大型案件。足元の時価総額で比べると、西武ホールディングス(6,600億円)に匹敵する規模です。

株式市場は今絶好調(指数だけとの批判はありますが)で、新NISAで新たな資金が流れ込んでくるまさに絶好の機会ということでしょうね。おそらく株主優待でフリーパスとかも出てくるだろうし、今年のメインイベントになりそうです。

ジーエヌアイグループ 会社四季報にいきなりケンカを売る

ジーエヌアイグループは12/18、「会社四季報記載の当社記事に関して」を公表しました。同日発売された四季報(2024 年1集新春号)の「契約一時金の反動減大。販売・開発等費用増で利益反落。」という記載について反論したという開示です。

ジーエヌアイグループ

ジーエヌアイグループは中国を拠点に、バイオ技術を活用して新薬探索・臨床開発から製造、販売まで垂直統合型で事業を行う企業。主にアジアで患者の多い疾患をターゲットにした治療薬を開発。中国に自社の製薬工場を持ち、米国では医療機器の事業を展開する東証グロース上場企業です。俗にいうバイオ創薬ベンチャーってやつですね。

四季報に嚙み付く

問題の四季報の記述は2024年12月期に関するもの。同社の言い分は、「現時点では 2024 年度の業績予想数値を公表しておらず、また、減益との回答も一切しておりませんが、来期も更なる上積みが期待できる要素が多数あり、順調に成長出来ると考えております。」とのこと。

自社が公表すべきことをメディアが出し抜いて報道したり、その内容が間違っていたりした場合は、こうした反論をすることがあります。が、しかし、四季報の次年度に関する記事はあくまで東洋経済社の記者の予想でしかありません。これに反論する開示はちょっと珍しいですね。自社の将来や株価について意識が高いことは良いことですが。

証券取引等監視委員会 SBI証券に処分勧告へ IPOめぐる株価操作で

日本経済新聞は12/13、「証券監視委、SBI証券に処分勧告へ IPOめぐる株価操作で」と報じました。上場後、初めてつく株価である「初値」を人為的に操作する法令違反行為があったもようだ、としています。SBI証券はネット専業証券だし、不思議な話だなぁと思いました。

SBI証券

SBI証券はオンライン証券事業を中核とするSBIホールディングス傘下の証券会社。旧商号は、SBIイー・トレード証券株式会社。総合口座数954万口座を持ち、口座数では約530万口座の野村證券を上回るSBIグループの中核事業会社で、インターネット証券最大手です。

IPOの初値買い

これを書いている時点では証券取引等監視委員会からの公表はありません。SBI証券は引受業務を手がけるIPO(新規上場)案件で、初値をより高くするため、傘下の金融商品仲介業者を通じて顧客に買い注文を入れさせていたとみられる。と日経は伝えています。

ネット証券だけど、一応SBIマネープラザという店舗(20店舗あるらしい)では対面営業もやってるようです。ただその規模は大きくなさそうで、日経の記事でも「傘下の金融商品仲介業者を通じて顧客に買い注文をさせていた」と書いています。

これって、IFA(資産運用アドバイザー)のことでしょうね。証券会社に属さないことで、より顧客に寄り添うアドバイスができ、これからの証券営業の新しい形として期待されていました。それが今回、注文をつなぐ証券会社の事情を優先して顧客に初値を買わせていた。ってことのようです。IFA業界にはこれ、かなりダメージのありそうなニュースです。

トモニHDの公募増資 公表直前に大量の空売り

トモニHDは12/5、「新株式発行及び株式売り出しに関するお知らせ」を公表しました。公募増資により新たに2,800万株を発行。さらにオーバーアロットメントによる最大420万株の売り出しも予定するというもの。公募増資により1株利益の希薄化等を嫌気した売りを誘い、翌日の12/6はストップ安となりました。

トモニHD

トモニHDは徳島大正銀行(徳島県・大阪府地盤)、香川銀行(香川県地盤)を傘下に持つ金融持株会社。銀行業務を中心に、リース業務、カード業務、ベンチャーキャピタル業務などの金融サービスを展開する東証プライム上場企業です。

公表前に大量の空売りが

ある株主さんがSNSに投稿されているのを見て知ったのですが、12/5の取引終了後に公表されたこの公募増資。しかし、この日の取引時間中に約53万株の空売りが入ってるんですね。それまでの空売り残高は4万株程度ですから、めちゃくちゃ目立つ空売りです。その後の残高をみると今現在も空売りしたままのようです。

470円台を空売りして現在の株価は380円台。まさに濡れ手に粟。このある株主さんはインサイダー取引を疑い、トモニHDに対し調査を依頼。証券取引等監視委員会に対しても、日証金のデータをも示し、告発されたんだそう。不正は許してはいけません。素晴らしい。

日証金へ貸株の申し込みをした証券会社もすぐに分かりますし、当該証券会社を通じて誰が売ったのかも速攻で分かります。トモニHDや引き受けに関わった業者は監視委員会による調査結果を待つことなく、自社調査等により事実を公表すべきですね。