JKホールディングス 決算発表の延期 株価は急落

JKホールディングスは2/7、「2022年3月期第3四半期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。もともとこの日を決算発表予定日としていたんですが、当日になっての延期の発表です。これを受けて同社の株価は思いのほか大きく下げました。

JKホールディングス

JKホールディングスは、住宅建材の専門商社であるジャパン建材を中核に、住宅関連企業をグループで展開しています。合板の製造販売、木材の加工販売、合板、合板二次製品、建材および住宅機器などの卸売販売、小売販売を主に手掛ける東証1部上場企業です。

適時開示

会計不正が発覚し、しまいには上場廃止になる企業まで出てくるような状況です。そのため、今回同社の決算発表延期の開示はかなりインパクトが大きかったよう。おまけに開示されたのが11:00ちょうど。まだ前場の取引が行われている最中だったため、狼狽売りも誘いましたかね。

開示の内容

決算発表を延期することとなった理由は、「一部の取引について精査が必要となることが判明し、この精査に一定の時間を要するため」、とだけ説明されています。これだけですよ。何かしらの不正等があったんだろうかと疑心暗鬼に。市場が過敏に反応したのも頷けます。

前日終値1,143円に対して、開示を受けて前場のうちに870円(273円安)まで売られています。その後終値は994円と乱高下。あまりに勢いよく下げるもんだから、慌てて安値で売らされてしまった株主の恨み節が聞こえてきそうです。

もう少し開示の仕方あったんじゃないの。って思うんだけど。ちなみに延期後の決算発表は2/14に行う予定だそうです。

レオパレス21 社員からの情報受領者によるインサイダー取引に課徴金

証券取引等監視委員会は1/28、「株式会社レオパレス21社員からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について」を公表しました。フォートレス・インベストメント・グループの支援により債務超過を回避と伝わった場面での取引です。

勧告の内容

レオパレス21の社員から、その職務に関し知った、レオパレスの発行する株式を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、当該重要事実の公表がされた2020年9月30日午後5時頃より前の、同月18日から同月30日午後1時16分頃までの間、レオパレス株式合計18万株を、買付価額合計3,009万7,430円で買い付けたというもの。課徴金の額は1,850万円です。

一昨年の10/5、当ブログでもこの件取り上げました。明らかに情報漏れてるって感じでしたからね。日経がこの情報を報道したのが9/30の14時ごろでしたから、見事なインサイダー取引が実行されたわけです。日経に情報が洩れるってことは、他にも漏れてるっていうことです。

この日、160円ほどの株価が、日経の報道により191円まで急騰。同日引け後の17時の同重要事実の開示を受け、翌営業日の同社株は243円まで買われています。まさに濡れ手に粟の大儲けです。

情報を伝達(提供)した社員とレオパレス自体は違反を問われていません。そのためか、レオパレス21は正式な開示はしておらず、同社ホームページでお知らせしているのみ。違反は問われなかったかもしれませんが、これって非常に重たい事件(不正行為)ですよ。

それでなくても、施工不備という不正問題を引きずっている会社。きちんと襟を正す意味でも開示するべきでした。

東レ UL に対する 認証不正

東レは1/31、「当社樹脂製品における第三者認証登録に関する不適切行為および有識者調査委員会の設置について」を公表しました。 Underwriters Laboratories の認証登録に関して、不正を行っていたというものです。

UL認証不正

当ブログでもこれまでにUL認証不正を取り上げてきました。東洋紡や京セラ、三菱電機など、我が国の超優良企業が認証不正を働いてきました。そして今回は東レです。

東レ

合成繊維の国内最大手で、炭素繊維は世界トップシェア。衣料用・産業用の各種繊維のほか、炭素繊維、合成樹脂、IT関連材料、医薬品まで幅広く展開する東証1部上場企業です。今さらやねぇ。知らん人いないと思いますが。

認証不正の概要

ULが定めている、樹脂の難燃性能を示すUL94の規格に関し、一部の品種でULが実施する認証試験で指定されたグレードと異なる、試験合格用のサンプルを作成し、提出していたことが発覚しました。

また、認証登録された品種の一部で、登録時の組成と異なるものを製造・販売していました。家電製品や自動車などに使われている樹脂製品らしいです。

昨年、上記のような企業数社がUL認証不正を公表してきたにもかかわらず、東レが自社における認証不正を認識したのは、昨年12月下旬のことだといいます。この時行った社内アンケートで明らかになったと。後手に回りましたね。

同日付で有識者調査委員会の設置を決定し、さらなる徹底的な調査と原因究明を実施。併せて、東レグループ全体にわたるUL認証に関する調査も行うとしています。ほぉ、この事件を受けて、株価は10%以上下落しましたね。

グレイステクノロジー 上場廃止が決定

グレイステクノロジーは1/27、「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」と、「2022年3月期第2四半期報告書の提出未了及び当社株式の上場廃止の見込みに関するお知らせ」を公表しました。ん~、とうとう来ましたか。

調査結果

売上の前倒し事案及び架空売上事案による会計不正が多数発見されましたね。2016年3月期から、売上の前倒しを開始。最終納品時に売上計上すべきなのに、売上を分割計上したり、納品前に売上を一括計上していました。

当初は、売上計上時に顧客への請求が伴っていたが、次第に、顧客への請求が伴わない売上の前倒し計上を。また、売上の前倒しの後、最終納品に至らなかった結果、架空売上となるケースもありました。このような実情は、同社経営陣も認識・認容していたといいます。

その後、売上の前倒しによる売上目標の達成が困難になり、同社経営陣も関与する大規模な架空売上が開始されるようになり、同社役職員が自己資金を振込入金することで正常な入金を偽装していました。

一部の架空売上に際しては、顧客の署名や押印が必要な書類の偽造も行われていたと。また、リース会社による立替払契約も利用され、顧客が作成すべき立替払委託契約書等を偽造してリース会社から売掛金を入金させるようなことも。直近期の21年3月期の売上高18億円のうち、約55%が架空売り上げだったそうです。

上場廃止

第2四半期報告書の提出ができなくなったことから、東証は同社株を整理銘柄に指定。2/28に上場廃止とすることを決定しました。16年に東証マザーズに上場、18年に東証1部へ指定替え。そして22年に上場廃止です。今週末の株価はただの20円。とんでもない事件でしたね。

アサヒ衛陶 インサイダー取引で元社長ら逮捕

アサヒ衛陶は1/26、「当社元代表取締役の逮捕について」を公表しました。同日、大阪地方検察庁により、金融商品取引法違反の疑いがあるとして、同社元代表取締役社長である町元孝二氏が逮捕されたということです。

アサヒ衛陶

アサヒ衛陶は水洗便器、トイレカウンター、手洗器などの衛生機器や、洗面化粧台、化粧鏡、洗面ボウルなどの洗面機器の製造販売および仕入販売を手掛ける企業。業務提携や海外進出により販路を拡大し、主要な顧客はコーナン商事などだそうです。1950年、江戸時代享保年間(約300年前)に創業した東証2部上場企業です。

事件の概要

家電量販大手「ヤマダ電機(当時)」との業務提携公表前の2017年8月に当時の社長と同じく同社元役員の知人が同社株式を買い付けたという容疑。大阪地検特捜部が金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で二人を逮捕しました。

町元容疑者は業務提携情報を知人の容疑者に伝えた上、2017年8月に約580万円分のアサヒ衛陶株を別の会社名義で購入。さらに知人容疑者は同年8~11月に計約8690万円分のアサヒ衛陶株を買い付けた疑いだそうです。この提携ニュースを受けて、株価は1300円前後から一時3300円台に高騰しています。

町元容疑者は2020年11月に、健康上の理由ということで取締役を退任し、同日、同社の全役職も辞任することにより同社を離れているようです。

しかしまぁ、こんな手口で美味しい儲けができると思ったんですかね。会社の利益ではなく、自身の利益を優先する経営者。酷いもんです。あっ、ちなみにアサヒ衛陶や役職員及び元役職員の本件への関与は一切ないとのことです。