アイ・アールジャパンホールディングス  役員がインサイダー取引に関与?

日本経済新聞は6/6、「IRジャパン元役員、監視委が強制調査 不正株取引関与か」と報じました。同社の未公表情報に基づいて、知人が発注した不正な同社株の取引に関与した疑いがあるということらしいです。6/3付けでこの役員は一身上の都合で辞任したとのこと。

アイ・アールジャパンホールディングス

IRジャパンは、IR(Investor Relations:企業の投資家向け広報活動)・SR(Shareholder Relations:企業の株主向け広報活動)の両活動に専門特化したコンサルティング企業です。日本初のIR専門会社として設立された会社ですね。

元野村証券

強制調査を受けたのは元野村証券の方のよう。一身上の都合とやらで辞任された役員で調べると、この方は同やら副社長ですね。野村證券で20年以上修業を積み(最後は企業金融畑、役員経験はない模様)、2013年にIRジャパンに転職されています。

不正の概要

6/6にIRジャパンも「本日の一部報道について」を開示しており、「報道のとおり当社にて強制調査が行われたのは事実」であり、「当社の元役員が嫌疑の対象となっているものと理解している」とコメントしています。

昨年4月、IRジャパンの2021年3月期の決算発表で業績の悪化を公表。これを受け同社株式は急落、16,000円台の株価は翌日13,000円台になってしまいました。どうやら業績悪化を知人に伝え、発表前に売る抜けるよう仕向けた、、、みたいな感じみたいですね。

まだまだ詳細は分かりませんが、速攻で辞任されてるところを見ると、アウトなんでしょうね。今回は自社の重要事実をめぐるインサイダー取引ということですが、この会社は他社のIR情報にも通じてそうな会社だけに、、、余罪が出てきたりするんでしょうかね。株もストップ安だし。

持続化給付金詐取の疑いで逮捕 東京国税局職員に大和証券元社員も

新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に国から支給される「持続化給付金」をだまし取ったとして、東京国税局の職員など7人が詐欺の疑いで逮捕されました。逮捕されたのは、東京国税局の職員や元職員、証券会社の元社員などいずれも20代の男女あわせて7人です。

大和証券?

逮捕された7人は、大学生などを中心におよそ200人に嘘の申請をさせ、あわせて2億円を不正に受給した疑いがあるといいます。一昨年、個人事業主を装い、新型コロナウイルスの影響で事業収入が大幅に減ったという嘘の申請をして、国の持続化給付金をだまし取ったという詐欺ですね。

この7人の中に大和証券元社員という報道がなされているわけです。7人のうちの一人、ということだけではなさそうで、ある放送局などは、「大和証券元社員の男が、持続化給付金の制度開始直後に不正受給の仕組みを提案していたことが新たにわかりました。」と報道しています。結構中心人物だったんでしょうか。

大和証券元社員の被告が、給付金の申請の受け付けが始まった直後の2020年5月下旬頃、不正受給した給付金を暗号資産の投資にあてる仕組みをグループの仲間に提案していたということです。この元社員とされる人物、犯行当時は大和の社員だったんでしょうかね。別の事情で退職済みだった本当の元社員であれば、メディアがここまで社名を出すとも思えません。

大和証券は

逮捕の報道を受けても大和証券ではこの件に関するコメント等を公表していません。おそらく臨時の取締役会でも開催して、コメントを出すかどうか検討くらいはしてるでしょう。犯行が行われた当時、元社員と同社は一切関係なかったのであれば、そういうコメントを出すべきではないかと思いますね。

グレイステクノロジー 不正会計で上場廃止 株主が集団訴訟を提訴

日本経済新聞は6/2、「不正会計で上場廃止のグレイス社、株主176人が提訴 5億4000万円賠償求め」と報じました。当ブログでも何度も取り上げてきた不正会計でしたが、同社は今年2月末で上場廃止となりました。そしてとうとう最終段階に入っていきます。

おさらい

グレイステクノロジーは製品のマニュアル作成を手掛ける企業。東証1部に上場していた2021年11月、不適切な会計処理の疑いがあると公表し、そこから株価は大幅に下落しました。22年1月には売上高の架空計上などの不正会計も発表し、四半期報告書を期限までに提出できず、上場廃止となりました。

集団訴訟

集団証券訴訟を提起したのは山崎・丸の内法律事務所というところ。裁判所は東京地方裁判所です。原告:176名、訴額:539,170,387円、被告:グレイステクノロジーおよび同社の元役員等。ということです。グレイステクノロジーの不正会計により株価下落の損失を被った複数の株主を代理して、同社に対して、損害賠償請求訴訟を提起したということですね。

同事務所によると、原告人数については、2012年以降に提起された日本における証券訴訟の中で最大となるとのこと。さらに同事務所では、グレイステクノロジーに対する第2次訴訟の提起も検討しているということですから、原告の数はまだまだ増えるんでしょう。

山崎・丸の内法律事務所ホームページで第2次訴訟の案内が出ていますので、グレイステクノロジー株を2021年11月9日時点で保有されていた株主の方はアクセスしてみてください。

ちなみに、この山崎・丸の内法律事務所さん、5/13付で、「Edulab社に対する証券訴訟の募集開始」ってのも公表されています。こちらも同じく不正会計よる株価下落について、株主の損失回復のための証券訴訟です。

株式会社ポプラ 債務超過の猶予期間入り

株式会社ポプラは5/26、「債務超過の猶予期間入りに関するお知らせ」を公表しました。同日、有価証券報告書を提出し、2022年2月期決算において債務超過となったことから、株式会社東京証券取引所が発表したとおり、上場廃止に係る猶予期間入り銘柄となったということです。

株式会社ポプラ

ポプラは「ポプラ」などの自社ブランドと、ローソンのメガフランチャイジー(大型加盟店)として「ローソン・ポプラ」などのコンビニエンスストアの運営を手掛ける企業。店舗は広島県を地盤に関東以西に展開しています。「生活彩家」っていうコンビニもポプラが展開していますね。都市部を中心に、大学やオフィス、ホテル、病院などの施設内に多く出店してきました。

コロナの影響で

実はkuniが務めていた会社が入居していた巨大なオフィスビルにも、生活彩家が出店していて、約3年間お世話になりました。大学やオフィス、ホテル、病院などの施設内に出店してきたという形態がコロナ下では命取りになったようです。こうした施設では在宅勤務や臨時休業などによる来店客数の減少といった影響が顕著でした。

2021年2月期通期のチェーン全店売上高は 34,511 百万円(前期比 25.5%減)と前年を大きく割り込み、1,318百万円の純損失を計上して純資産を大きく毀損。2022年2月期についても経常損失1,007百万円、当期純損失518百万円となり、年度末において純資産が429 百万円の債務超過に陥ってしまいました。

新型コロナウイルス感染症の影響に起因するものと認められたため、上場廃止に係る猶予期間は2年。2022年3月1日から2024年2月29日だそうです。収益構造の見直しと新ビジネスモデルの構築に向けた事業構造改革に取り組む同社。近所に店舗があれば応援買いしたいところですが、あいにく店舗がなくて。

FRONTEO 米国子会社へサイバー攻撃

FRONTEOは5/16、「当社米国子会社への不正アクセス発生について」を公表しました。米国子会社であるFRONTEO USA, Inc.において、FRONTEO USAのデータセンター上のデータにランサムウェアと見られる不正なアクセスがあったことを確認したということです。

FRONTEO

FRONTEOは、独自に開発した言語系人工知能(AI)エンジンを柱とするソリューションを提供する企業。AIエンジンとして、主にリーガル・ビジネス分野向けの「KIBIT(キビット)」とライフサイエンスに特化した「Concept Encoder(コンセプトエンコーダー)」を持っています。東証グロース市場上場企業です。

今月のサイバー攻撃

被害の状況等についてはいまだ開示されていません。セキュリティ関連部門および外部専門調査機関による詳細な調査を行っているといいますが、調査完了とFRONTEO USAでの業務復旧までにはしばらくの時間がかかる見込みとしています。

不正アクセスによる被害のみならず、今期の業績悪化の影響もあり、5/23にはストップ安となるなど、踏んだり蹴ったりですね。

今月の不正アクセス等を調べてみると、京都府を中心に賃貸用不動産の賃貸、管理を行う「長栄」や、特定領域の人材紹介を中心に人材サービス事業を展開する「クィック」、韓国などを主市場とする独立系自動車部品メーカー「GMB」などでも同様に、不正アクセスを受けたことを開示しています。

さらに、上場企業ではありませんが、日本経済新聞社は5/19、海外現地法人でシンガポールに拠点を置く日経グループアジア本社のサーバーが不正にアクセスされ、身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」に感染したと発表しています。サイバー攻撃止まりませんね。皆さんの会社は大丈夫ですか?