株式会社シルバーライフ 在庫金額の過大集計で決算短信を訂正

シルバーライフは12/26、「役員報酬の減額に関するお知らせ」を公表しました。同時に第一四半期の決算短信の訂正も行っています。在庫金額(棚卸高)を過大に集計していたことで、実際よりも利益が大きく見える決算を発表していたということですね。

シルバーライフ

シルバーライフは、高齢者向け配食サービスのフランチャイズ(FC)本部の運営、およびFC加盟店などへの調理済み食材の販売が主な事業。自社工場および仕入先工場で製造された調理済み食材をFC加盟店、高齢者施設などへ販売している企業です。「まごころ弁当」というサービスなんか聞いたことありませんか。

ことのなりゆき

同社は12/9に第一四半期の決算を発表。経常利益(非連結)が前年同期比2.7倍の3.5億円に急拡大という内容でした。これを受け、1,400円程度だった同社の株価は急騰し、ストップ高の300円高。その後も上昇を続け、一昨日は2,000円台まで買われました。

その日の引け後に決算短信の訂正(利益の下方修正)が出てしまったものですから、株価は一気に売られます。昨日の終値は1,611円の381円安です。間違った決算数値に踊らされて大損した投資家も多いことでしょう。

わずか10日間ほどで間違いを訂正していますから、不正ではなく、あくまでミスだったんだろうとは思いますが、マジでいただけないミスですね。取締役会はなぜ、思いのほか利益が大きく出ている数値に気付かなかったんでしょう。まさにガバナンスが効いていない典型例です。

ちなみに、今回の開示文には西暦年の誤植があったり、今回のミスのことを「発覚した」などと表現していたりします。「発覚」は隠していた悪いことが明るみに出ること、、、ですよ。やっぱりこの開示についても、内容、チェックできてません。

アイ・アールジャパン 第三者委員会の委員を決定

アイ・アールジャパンは12/8、「(開示事項の経過)第三者委員会委員の決定、委嘱事項(調査の対象・範囲)及び調査結果の開示時期に関するお知らせ」を公表しました。11/14に委員会設置を公表して委員が決定するまで、1ヶ月近くかかってます。なにが難航したのかなぁ。

事案のおさらい

IRジャパンの副社長が投資会社に対して東京機械買収の提案を行い、その後に東京機械の買収防衛を請け負っていたという事案でしたね。この時のフィーは5億円だったとか。ちなみにこの副社長、半年前にインサイダー取引疑惑(証券取引等監視委員会が強制調査)で同社を辞めています。

調査委員と調査期間

今回の開示では調査委員が示されましたが、皆さんそれなりの方々です。一方で調査期間に関しては「2~3か月程度を目途」としていて、おいおい、そんなに掛かるんかよ、って感じです。他にも開示の中でいまだに、「ダイヤモンド・オンラインが報じた当社に関連した記事」などと事案を表現していたり、まるで他人事のよう。

これ以外の情報はなく、同社として調査したのは副社長の当時のスケジュールを確認したことぐらいなんでしょうかね。1か月間何してたの?

組織的な?

まぁ、いろいろと妙なもの見せられてるからか、この事案、副社長の単独行動ではなく、組織的に行われたものでは?と感じます。この会社の社長はアイ・アールジャパンホールディングス株の50%超を持つ「絶対的存在」だそうです。いわゆるワンマン社長ですね。

ヤフーの掲示板とか見ても同社長への批判がかなり見られます。株価は2021年の高値から既に10分の1以下。株主にとってはとんでもない経営陣、であることは間違いありません。

インサイダー取引 スクウェア・エニックス元社員ら再逮捕

スマートフォン向け人気ゲーム「ドラゴンクエストタクト」開発を巡るインサイダー取引事件で、東京地検特捜部は12/7、「ファイナルファンタジー(FF)」シリーズのスマホ向けゲーム開発でも未公表情報をもとに開発会社の株を取引したとして、スクウェア・エニックス元従業員ら2人を金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で再逮捕しました。

スクエニ大丈夫か?

前回当ブログでも取り上げた事件、「ドラゴンクエストタクト」開発を巡るインサイダー取引が行われたのが2019年12月上旬~20年2月上旬のことでした。この事件を捜査している過程で新たなインサイダー取引が発覚したということのようです。

今回再逮捕となったのは、スクウェア・エニックスとエイチームによる「ファイナルファンタジー7 ザ ファーストソルジャー」の開発に関するもの。未公表の情報などを入手し、公表前の2021年1月~2月に、エイチーム株を大量に買い付けたということです。

インサイダー取引の対象となったエイチーム株の終値は、ゲームの共同開発を公表する前の21年2月下旬までは1,200円台で推移していましたが、公表後に上昇し、同年3月には一時、1,800円台まで値上がりしています。

ドラクエ開発のインサイダーで大儲けして、その一年後に起きた事件。今度はファイナルファンタジーに関する情報で、またしても濡れ手に粟の大儲けです。再逮捕された元従業員のほかに、もう一人のスクウェア・エニックスの従業員も逮捕されています。水面下で調査が進み、ひょっとしたら2回目のインサイダー取引は泳がされているところだったかも。

スクウェア・エニックス元従業員の2人が行ったインサイダー取引はいずれも投資金額1億円超。これだけの資産を持っているということは、それなりにこの業界での能力も地位もあった人たちだと思われます。なんでまたこんなアホなことをやってしまったんでしょうね。インサイダー取引は必ずバレます。

なぜ インサイダー取引はバレてしまうのか

当ブログでもちょくちょく取り上げるインサイダー取引。そしてインサイダー取引は必ずバレてしまいますよ、という警告もしてきました。本日はインサイダー取引がバレてしまう理由というか、どんなふうに調査されているのかについて、ザックリと書いてみます。

インサイダー取引

インサイダー取引(内部者取引と表現されることもあります)とは、上場企業の未公開情報を不法に共有・利用して証券取引を行い、未公開情報を持たない投資家に損害を与える(同取引を行ったものだけが得をする)犯罪的行為のことです。金融商品取引法により規制されています。

どうやって見つけるか

インサイダー取引には様々な態様がありますが、共通しているのは未公開情報が公表された直後に株価が急騰(もしくは急落)するということです。そしてもう一つが公表された情報が重要事実に該当するかどうか。この重要事実についても法律にその条件が定められています。

ではどうやってインサイダー取引を発見するのか。重要事実に該当すると思われる情報が公表された銘柄は簡単に絞り込めます。その情報の公表を受けて株価が急騰(もしくは急落)したかどうかも簡単に発見できます。ここまで絞り込めれば、あとは公表の直前に当該銘柄を買った人(もしくは売った人)を探せばいいわけですね。

こうした一連の作業は証券取引所の売買審査部が行っています。急騰した銘柄の場合、買った人の一覧を証券会社に提出させ、その中から怪しい人物の顧客情報まで手に入れます。怪しい取引一覧ができると、証券取引等監視委員会へバトンタッチ。同委員会がより深度のある調査を進めていく、という流れです。

どうでしょう。かなりザックリとした説明ですが、イメージ湧きましたでしょうか?

インサイダー取引 スクウェア・エニックス元社員ら逮捕

オンラインゲーム「ドラゴンクエストタクト」に関する未公開情報を入手してインサイダー取引をしたとして、東京地検特捜部は11/17、「スクウェア・エニックス」の元社員とその知人の両容疑者を金融商品取引法違反の疑いで逮捕したと発表しました。

逮捕の容疑

スクウェア・エニックスは、「Aiming」と共同でスマートフォン向けのオンラインゲームを制作。Aimingは2020年2月に「ドラゴンクエストタクト」の共同開発を発表し、7月に配信を開始していました。

共同開発の公表前だった2019年11月下旬、ゲーム開発が配信できる段階まで進んでいたことや、Aimingがスクウェア・エニックスとの業務提携を決定したという重要事実を把握したスクエニ元従業員。2019年12月上旬~20年2月上旬(共同開発公表の直前)までに、2,000万円以上Aiming株式を買い付けたということです。さらに、この元従業員から情報を伝えられた知人も2,600万円程度買付け。

株価の方は

彼らが買い付けた当時のAimingの株価をみてみると、2019年12月~20年1月末まで、200円台後半から300円台前半の往来相場って感じ。2/5に共同開発が公表されたんでしょうね、翌日の2/6から4日間連続のストップ高で、最高値730円まで買われています。

公表直前の株価が290円ですから、4日で2.5倍。二人とも約2,000万円が約5,000万円になった計算です。まさに濡れ手に粟の大儲け。しかし、このてのインサイダー取引は必ず見つかります。読者の皆さんは決してこういう取引を真似なさらないように。