インサイダー容疑 ポラリス・キャピタル・グループ元社員を告発

証券取引等監視委員会は3/3、「総合メディカルホールディングス株式会社株券及び株式会社スペースバリューホールディングス株券に係る内部者取引事件の告発について」を公表しました。過去に例のなかった、プライベートエクイティ(PE)ファンドの社員によるインサイダー取引です。

ポラリス・キャピタル・グループ

告発されたのはポラリス・キャピタル・グループの社員。ポラリス・キャピタル・グループは2004年にみずほ証券と興銀第一ライフ・アセットマネジメント(現アセットマネジメントOne)出資で設立されたプライベート・エクイティファンド運営会社です。出ましたね、みずほグループさんです。

総合メディカルホールディングス株を巡り

2020年1~2月、ポラリスが調剤薬局運営の総合メディカルホールディングス(上場廃止)株に対してTOBを実施するとした未公表情報を入手した上で、同社株2,000株を約420万円で買い付けた疑いがもたれています。TOB価格から推察して、20%程度は儲けてそうです。

スペースバリューホールディングス株を巡り

2021年11月には、駐車場事業を手掛けるスペースバリューホールディングス(同)株へのTOBに関する未公表情報を基に、同社株2万7,000株を約2,390万円で購入した疑いがもたれています。こちらもTOB価格からみて約20%は儲かってますね。

アホな奴です。こんな仕事に就いていたら真っ先に疑われるの分からんのでしょうかね。2銘柄のインサイダー取引で数百万円儲かったのと引き換えに、この人の人生は終わりました。インサイダー取引は必ず見つかるのです。

ちなみに、スペースバリューホールディングス株について監視委員会は、「東京証券取引所等において買い付け」と記しています。取引所以外(PTSなど)での取得もお縄になるということです。

仕組み債販売 日本証券業協会が新たな自主規制

少し前の話になりますが、日本経済新聞は2/15、「仕組み債、情報開示に課題 日証協が販売ルール発表」という報道をしていました。前にも書いたけど、もう10年以上やってんじゃないのかなぁ。仕組み債販売に関する自主規制ルールの見直し・強化。今回もまた、って感じです。

新たな販売ルール

「商品説明資料には『複雑な仕組み債』であり、『投資初心者向けの商品でない』ことを明記」とか、「一定額以上の金融資産を持ち、投資経験や金融知識のある人を販売対象として限定する」、、、みたいなルールができたらしいです。

こういうルールって、大手や準大手証券では以前から各社各様に実行していて、今回はそれを業界標準にしようという流れ。日証協が主体となって、そこへ大手から中小証券までが参加。金融庁のメンバーも参加して新ルールを作っていくという方法です。ここでいうルールというのは自主規制ルールのことで、金商法等の法律には定められません。

ちょっと面白いのは

日証協のホームページでは、「複雑な仕組債等の販売勧誘に係る『協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則』等の一部改正について」という案が示されています。この自主規制案に対してパブリックコメントを募集していて、集まった意見も反映しつつ、7月には施行されるということです。

まぁ、いつもの流れなんですが、今回ちょっと面白いなと思ったのが、「仕組み債の取り扱いを始めたり、商品数を増やしたりする場合、代表取締役らによるトップの関与を求める。」という点。いい加減な準備で取り扱ったり、商品を増やして、何かあったらトップの責任問うからね。という金融庁のメッセージ(脅し)です。

ラサ商事 業績予想上方修正と増配公表で株価急騰

ラサ商事は2/24、「通期業績予想及び配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」を公表しました。これを受けて翌営業日の2/27、同社株は急騰(1,601円、216円高)しています。2/27には自己株式の取得終了のお知らせが出ていて、「増配発表前に自社株買いを完了」というのはどうなのか、という点につき読者の方からご質問いただきました。

インサイダー取引?

業績の上方修正と増配を公表する直前まで自己株式の取得を行っていた。つまり公表前に安く自社株を買っていたということですから、インサイダー取引のような見え方になってしまいますね。

自己株式の取得というのは、その株数上限や金額上限を決めて買付けを公表し、例えば買い付け機関に依頼するなどして、そこから先は同社は依頼した先での買付という行為に一切関与しないんですね。そうすることで、買付け行為がインサイダー取引と見做されないようにします。おそらくラサ商事の場合もこういうカタチをとっていると思います。

自己株式の取得終了のお知らせが一日遅れたため見栄えが悪いんですが、2/24の取引終了後同社が取得終了の報告を受け、そのことをもって取締役会で増配等を決議したという流れであれば、さらに問題なさそうです。ただこの場合も、その証跡がしっかり残っているか、増配等を決定したのが本当に、かつ実質的にその時点だったかどうかは問題視されるかもしれません。

監視委員会は動くでしょう

ただ際どいタイミングですし、株価が急騰していることもあり、監視委員会は調査を開始するんじゃないかと思われます。過去に増配という重要事実が未開示の状態で自己株式を取得したとして摘発されたケースもありますしね。いろいろと突っ込みどころはありそうですが、「業績上方修正と増配の公表」をしたいので、自己株式の取得を急がせていた(指図していた)。みたいなことが出てくると厄介です。

SMC株式会社 釜石第一工場で火災事故

SMCは2/24、「釜石第一工場における火災について」を公表しました。2/23の午後0時すぎに発生し、約3時間後には鎮火したようです。鉄骨2階建ての工場の一部(主に1階の天井部分)が燃えたといいます。

SMC株式会社

SMCは方向制御機器、駆動機器、空気圧補助機器などの空気圧機器を中心とした製品、および部品の製造・販売を手掛ける企業。空圧自動制御装置では国内・世界両市場でトップシェアを誇る、まさに日本を代表するエクセレントカンパニーです。

同社の株価も凄いことになっていて、2/24の終値はなんと68,100 円。売買単位は100株ですから、同社株を最低単位買い付けようとすると、681万円が必要になります。今おそらく日本で2番目にお高い会社です。

東証が最低単位の買い付け金額を50万円以下に、、、という働きかけを行っているわけですが、ここまで全く聞く耳を持ってない感じ。現在1位のファーストリテイリングが株式分割を発表してたので、SMCが1位になるってことかな。kuniは正直、高株価を誇り、個人投資家や東証の要請を無視し続けているこのような企業は好きじゃないですね。

火災事故の概要

話が大きく脱線しましたが、事故自体は大きなものではなかったようです。天井の断熱材が一部剥落し、機械設備数台に消火剤がかかった程度とのこと。発生当時従業員が100名ほど働いていた(報道によると)ようですが、全員避難して人的被害はなし。

ん?23日は祝日だったけどこんなに働いてたんか?とか、適時開示のフォーマット違うんじゃね?などなど。まぁ、気になるところはあるものの、とにかく大きな被害がなくて良かったです。

SMBC日興証券 地裁判決 罰金7億円 、追徴金44億円

SMBC日興証券のブロックオファーに関する相場操縦事件で東京地裁は2/13、金融商品取引法違反(相場操縦)罪に問われた法人としての同社に対して、罰金7億円、追徴金約44億7千万円の判決を言い渡したそうです。

判決の概要

判決は「『市場のゲートキーパー(門番)』として金融取引の公正の実現へ重要な役割がある立場で、非難の程度は一層重い」と指摘したとのこと。判決は大株主から株を買い取って投資家に転売する「ブロックオファー取引」を巡る同社の発注の違法性を検討した結果です。

元幹部らが2019~21年、10銘柄の株価を違法に買い支えるため、自社資金で計約167万株の買い注文を出したと認定したそうです。一連の取引で同社が計約10億9300万円の利益を得たとしています。

判決を受けて

SMBC日興は同日、「判決を重く受け止め関係者の方々に心よりおわびする。改善・再発防止に向けた取り組みを着実に実行し、信頼回復に努める」とのコメントを出したそうな。いつも書いてるけど、同社のこのセリフはまったく信用する気になれません。これまで何度聞いてきたことか。

44億円と確定した追徴金を巡っては、同社は「すでに厳格な社会的制裁を受けているとしたうえで、追徴金はブロックオファー取引で得られた売買差益相当額に限定されるべきだ」と主張していました。おそらく10億円を指してるんでしょう(儲けた分だけ返したらええやろみたいな感じ)。この主張をしていたのはわずか2か月前のこと。

事件を主導した当時の幹部が外資系の出身者だったことを受け、国内最大手出身のエクイティ本部長を招聘したとかってニュースもありましたね。イヤイヤそういう問題じゃないのよ。他から連れてきた人間に頼っちゃうところから変えないと。