住友ゴム工業 検査不正が発覚(その2)

先月末に検査不正の発覚を公表した住友ゴム工業。昨日書ききれなかったことなど、追記しておきます。

住友ゴム工業

住友ゴム工業株式会社。こういうと意外にピンとこない人が多いかもしれません。住友ゴムの事業は、タイヤ事業、スポーツ事業、産業用事業の3つがメイン。

タイヤ事業では、「ダンロップ」、「ファルケンといったブランドを主に手掛けている、ブリヂストンに次ぐ国内第2位のメーカーです。スポーツ事業では、ゴルフクラブやテニスラケットなどを手掛けています。

アメリカで行われた男子ゴルフの海外メジャー大会「マスターズ・トーナメント」で、優勝した松山英樹選手が、ゴルフ用具に関して使用契約を結んでいるのもダンロップ。住友ゴムなんですね。スクールやフィットネスクラブなんかも運営しています。

昨年に続き

そんな事業を手掛けており、上記のようなブランド名であれば、かなり身近な存在ではないでしょうか。そんな企業で検査不正が発覚したという事件なんですね。

実は昨年8月にも当ブログで取り上げましたが、同社の子会社である「住ゴム産業」において約17億円の架空循環取引が発生し、主導した従業員がキックバックにより数千万円を着服していたという不祥事が発生しています。発覚は2016年で、同従業員が逮捕されたのが昨年という事件です。

ネットワンシステムズなんかもそうでしたが、二度あることは三度あるんじゃないかと。そんな気がします。今回設置した特別調査委員会による調査には限界もあるでしょう。同委員会の指摘等を踏まえて、同社としてすべての事業、すべての子会社に対する不正等に関する徹底した洗い出し。実施した方が良いんじゃないかと。

住友ゴム工業 検査不正が発覚

住友ゴム工業は7/30、「品質管理に係る不適切事案についてのお知らせとお詫び」を公表しました。国内加古川工場での防舷材検査と、南アフリカ子会社でのタイヤ生産において、品質管理に係る不適切な事案が判明したとのこと。

検査不正

「品質管理に係る不適切事案」とは上手い言い方ですね。より事実に沿って言えば「検査不正」です。ほとんどの企業が「不正」とは言わず、せいぜい「不適切」と表現しますけどね。

加古川工場

兵庫県の加古川工場では、港湾岸壁用のゴム防舷材の一部において、検査不正が行われていました。防舷材というのは、船舶や港湾の岸壁の破損を防止するため、接岸する船舶にかかる衝撃を吸収して緩和するエネルギー吸収材のこと。同工場で生産し、商社や建設会社を経由して、公共、民間の顧客へ納品されています。

船舶接岸時に起きる防舷材の圧縮状態を再現して圧縮性能を確認する試験において、国際航路協会の定めた試験方法等のガイドラインとは異なる試験方法の実施や、データの変更を行っていたといいます。データの変更って、、、データの改ざんですよね。

南アフリカ子会社

南アフリカ子会社では、南アフリカ製新車向けのタイヤ約40万本(車両8万台相当)の一部において、顧客との取り決めに基づいて定めた仕様と異なる製品が出荷されていました。当該タイヤを装着した車両の日本向け出荷はなかったといいます。

港湾岸壁用のゴム防舷材、新車向けのタイヤ、いずれも実用に際して安全性に問題はなく、これらが原因となる事故等の発生はないということです。すでに外部弁護士を加えた特別調査委員会による社内調査を開始しているようです。

関西電力 施工管理技士で実務経験虚偽

関西電力は7/30、「当社グループ会社における施工管理技術検定の実務経験不備およびそれに伴う第三者委員会の設置について」を公表しました。これまでにも多くの企業で発覚してきた、施工管理技士における実務経験虚偽申請。関西電力でも。

関西電力

2019年秋、高浜原子力発電所がある福井県大飯郡高浜町の元助役から、会長や、社長、副社長らが、3億2千万円を受け取っていたという、いわゆる金品授受問題で揺れた関西電力。

その直後11月には電力料金について、小規模商店など63法人に対し、過大に請求していたことが発覚。電力料金の過大請求事件ですね。実は遡るとまだまだ他にも不正・不祥事が発生している関西電力。今度は施工管理技士の資格不正取得です。

施工管理技士の資格不正取得

関西電力のグループ会社である株式会社KANSOテクノスにおいて、施工管理技術検定の受検資格である所定の実務経験を充足していない状況にあった者が、検定を受検・資格取得していることが判明しました。6/18、内部通報窓口の法律事務所(社外窓口)に投書が届き、発覚したようです。

不正取得されていた資格は、土木、造園、建築、管工事、電気工事など。6名が実務経験を充足していませんでした。ということなんですが、この数字、2018年4月から2021年6月末までの間に施工管理技術検定を受検した者となっています。

社内調査では、わずか3年ほどしか遡っていないのはなぜなんでしょうね。他の企業の例を見ても、かなり昔から横行してきた不正取得です。この3年間という調査対象期間には疑問が残ります。第三者委員会ではもう少し遡って調査してくれるんでしょうか。

東急建設 施工中工事における基礎杭の先端不良

東急建設は7/26、「施工中工事における基礎杭の先端不良について」を公表しました。同社が代表企業である共同企業体が、現在施工中の「相鉄海老名駅改良工事」において、基礎杭が沈下する事象が発生したとのこと。これまた物騒な事件です。

事件の概要

相鉄海老名駅改良工事において、基礎杭が沈下する事象が発生し、原因を究明するための調査を進めた結果、基礎杭に先端不良が確認されたというもの。「先端不良」というのがどういう状態を指しているのかについては説明されていません。

まったく別の事件で、基礎杭が岩盤等に当たり、想定よりも短くするため杭の先端部分をカットしていた。というのが見つかりました。杭の先端をカットすれば杭の機能を果たさないんだそうです。専門的過ぎて分かりませんが、東急建設の件もそういうことなんでしょうか。

2015年にも

基礎杭に関する事件としては、2015年に発覚した横浜市のマンションに関する事件がありましたね。三井不動産が販売した横浜市都筑区の大型マンション。三井住友建設が元請けとなり、下請けとして杭打ち工事を請け負ったのが旭化成建材という会社でした。

この事件は、建物を支えるための基礎工事で、杭が必要な強度を確保できるための深さまで到達していなかったり、杭を固定するためのセメントの量が不足していたというものでした。その後、杭打ちデータの偽装も発覚。ジャパンパイルという会社でも同様の偽装が出てきました。

今回の東急建設の件についても、「当社が代表企業である共同企業体」と説明されています(いわゆるJVってやつですかね)ので、杭打ち工事を請け負っているのは別の企業だと思われます。そこについては公表しないんですかね。

2015年の事件同様、この事件についても、今後別の工事案件への飛び火があるかもしれません。

オリジン(6513) 中国連結子会社で不正行為 キックバック(その2)

中国連結子会社で現地責任者による不正行為が発覚したオリジン。昨日の記事で書き切れなかったことなどを追記します。

発覚の経緯

当初はこの不正行為が疑義に留まっていたことから、同社は本社内に調査委員会を立上げ、日本および中国現地の弁護士と連携しつつ、万全を期して調査を進めてきたといいます。そのうえで、同社が現地法律事務所に対して監査を依頼したことが発覚の端緒となりました。

不正な捻出資金

キックバックされていた資金、というか、正確には取引先に支払われた資金も含めた不正に捻出された資金、合計約76百万円。相当部分の回収を進めているようですが、法的措置も視野に入れ損害額の回収に努めるとしています。業績への影響は軽微だと。

不正行為の発生原因

不正行為が発生した原因については、行為者が現地責任者であったことから、業務の属人化と権限の集中により牽制機能が働かず、架空契約が長期間に渡り見過ごされていたものと認識しているとのこと。一番よくみられる子会社任せのガバナンスというやつですね。

内部通報制度についても、既に導入済みであったものの、必ずしも十分機能してこなかったとしています。この「必ずしも」のところについてはこれ以上の説明がなく、詳細は不明です。親会社のガバナンスと子会社における内部通報制度の機能不全。定番です。

こうしてどこの企業でも起きている二つの機能不全。今現在何も起きていない(と思っている)企業こそ、これらの再点検が必要です。事が起きてからでは遅いんです。