グリーンウオッシュ とは

今月初旬に日本経済新聞の記事、「ドイツ銀行系運用大手CEOが辞任へ 不正疑いで家宅捜索」を読みました。「グリーンウオッシュ」に関与した疑いで独検察・金融当局が5月31日に、ドイツ銀行グループの資産運用大手企業を家宅捜索し、同企業のCEOが事実上の引責辞任したというお話です。

グリーンウオッシュ

グリーンウオッシュとは、環境配慮をしているように装いごまかすこと。上辺だけの欺瞞的な環境訴求を表すんだそう。 安価な”漆喰・上辺を取り繕う”という意味の英語「ホワイトウォッシング」とグリーン(環境に配慮した)とを合わせた造語なんだそうです。

特に環境NGOが企業の環境対応を批判する際に使用することが多く、上辺だけで環境に取り組んでいる企業などをグリーンウォッシュ企業などと呼ぶ場合もあるようです。ん~、しかしまぁ、次から次へと新しい横文字が出てきますなぁ。

日経の記事の場合は、ドイツ銀行グループの資産運用大手企業に勤めていた元幹部が、「ESG投資の取り組みが実態よりも誇張されている」と主張したことで、グリーンウオッシュの疑惑が浮上。独当局が内部管理体制に問題がなかったか調査したというお話。詳細についてはよく分かりません。

意図してESGへの取り組みを過大に見せることもあるでしょうが、グリーンな商品と宣伝しておきながら、実は製造過程で発生するCO2を考慮しきれていなかった、みたいなこともグリーンウォッシュとして扱われるみたいです。

昨年末には日立が、こうしたグリーンウォッシュを防止する狙いで、ネットにつながるIoT技術を使い、工場の二酸化炭素(CO2)削減量などの投資効果を数字で示すシステムを開発する。なんて話題もありました。見せかけのESG投資の排除ってのも、これまた新しい課題なんですね。ややこしいことになってます。

日揮ホールディングス 魚の陸上養殖を行う新会社を設立

日本経済新聞は5/21、「日揮HD、魚の陸上養殖に参入」と報じました。水中の温度や酸素濃度などを制御するシステムを備える施設を福島県に建設するとのこと。日揮ホールディングスのホームページでは5/20付でこのことが公表されています。

日揮ホールディングス

日揮ホールディングスは、オイルやガス、クリーンエネルギーなどのエネルギー分野を中心に、インフラ分野も含めて、プラント・施設の設計、調達、建設を手掛ける国内最大手のエンジニアリング会社です。石油精製・石油化学用の各種触媒、情報・電子材料、光学材料などのファイン製品も手掛けています。

そんな日揮が「魚の陸上養殖に参入」、、、なもんだから記事を見てびっくり。水産物の捕獲減やら、将来の食糧危機といった、なんとなく聞こえてくる将来の危機に向け、やはりこうして本気で取り組む企業が出てくるんですね。日揮が持つ高度な水処理技術を活用し、閉鎖循環式陸上養殖システムを構築するということです。

かもめミライ水産株式会社

新たに設立する会社は、かもめミライ水産株式会社。福島県浪江町に新設する新会社は、地元の水産業を活性化するため、新たな可能性に挑戦しているいわき魚類株式会社と共同で取り組みを推進していくんだそうです。原発の件で大きな被害を被ったであろう地元の産業を復興する手掛かりにもなりそうですね。

2024年からサバの本格生産を始め、27年をメドに年間60トンの生産を目指すそうです。日揮は2021年から岡山県内の閉鎖循環式陸上養殖施設で、魚の試験生産による養殖ノウハウの蓄積とシステム開発を実施してきたみたいです。この成果も踏まえた新会社設立ということ。日揮、かなり本気のようです。

清水建設 ビルを巨大な電池に

昨日取り上げた清水建設ですが、今日は第2弾。2021年5月に竣工した金沢市内のオフィスビル。電力に換算すれば180世帯が1日に使うエネルギーを貯蔵できる水素タンク群をビルの中に備えているとのこと。なんかこの会社、新しいことにかなり積極的に取り組んでますね。

水素タンク

北陸地方初の「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」評価を受けたというこのビル。金沢市の市街地に建設した同社の北陸支店新社屋らしいです。太陽光による発電とリチウムイオン電池による蓄電、さらに水素を活用した電力の貯蔵で電力を自給自足するシステムだそうです。

建物に水素を貯蔵するとなるとどうしても安全性が気になりますが、同社が進める水素タンクの貯蔵には、水素を効率よく、かつ安全に、長期間にわたって貯蔵できる「水素吸蔵合金」が使われているとのこと。合金に火を近づけても燃焼しない配合を開発し、レアメタルを必要としない合金が開発されたそうです。

貯蔵した水素を利用する際には、最大出力100キロワットの燃料電池に水素を供給して電力に変換するそう。同北陸支店では停電時に72時間は最低限の電力を供給できる計算らしいです。

清水建設は今後、水素貯蔵装置や燃料電池などをコンテナに収めた、運搬可能なシステムの提供も検討するようです。ゼネコンの殻を破って新しい業態へ進化していきそうな感じですね。もちろん他のゼネコンも同様の技術を研究しているでしょう。まだまだ、清水だけが一人勝ちというわけにはいかないでしょうが、目の付け所は良い感じです。

今のところはビルをバッテリーにしてしまうという発想ですが、安全性に問題がないのであれば、いずれ一般家庭にもという流れが出てくるんでしょうね。

東急不動産ホールディングス(3289) 「発電するデベロッパー」へ

10/5付け日本経済新聞に、「東急不動産 『発電するデベロッパー』へ 再エネ供給始動」という記事がありました。ひょっとしたら電子版だけの記事かもしれません。東急不動産が発電事業を一気に拡大し、再生可能エネルギーでトップ集団入りを目指すという内容です。

オフィスビル事情

東京ビジネス地区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)での8月のオフィスビルの平均空室率は6.31%で、前年同月の2倍だそうです。新築ビルは10.61%と2カ月連続で2桁となり、もはや「オフィスをつくれば埋まる」といった時代は終わってしまったようです。

不動産業者同士の競争が熾烈になってくるわけですが、そこでの差別化として、「東急不動産が提供するビルはグリーン電力が供給されます」と。テナント企業からは実際、どんどんやってほしい、という要望が入っているそうです。テナントとしても自社の使用電力は100%再エネ由来、ということがウリにできます。これはなかなか良い発想ですね。

再生エネ発電

同社は既に、日本でも有数の良い風が吹く北海道小樽市に10基の風力発電機を持っているそうです。これを含めた再生可能エネルギーの発電設備は8月末時点で67あり、出力は1197メガワットと原発1基分以上だそうです。凄いね。

東急不動産の21年3月期における再エネ事業の粗利は40億円近くあるそうで、近い将来、これを2~3倍に引き上げ、主力事業の1つにまで育てるとしています。同事業を一気に拡大し、再生可能エネルギーでトップ集団入りを目指すということです。

さすがに「近い将来」という漠然とした表現になっていますが、経済、産業の潮目が変わるとき、まさにこうした経営判断が求められます。非常に期待が持てる判断だと思います。

環境⽔温による遺伝型性の上書き 海水温で性転換するイワシ

9/19付け日本経済新聞に、「温暖化と生物(3)海水温上昇でオスだけに?」という記事がありました。海水温の上昇で、遺伝上はメスになるはずの稚魚の約50%がオスに変わる現象を、東京海洋大学の山本洋嗣准教授らが見つけたとのこと。

環境⽔温による遺伝型性の上書き

⽣物の性別は、受精時の性染⾊体の組み合わせによって遺伝的に決まる。と学校では習いましたよね。しかし、⿂類では、孵化前後の性分化時期に経験した⽔温の影響で、遺伝的な性(例︓XX、XY)と表現型の性(卵巣、精巣)が⼀致しない、いわゆる性転換個体が出現してしまう種があるそうです。

このような現象を、「環境⽔温による遺伝型性の上書き」というんだそうで、従来は飼育環境下での報告例はあったものの、野⽣環境下では証明されていなかったとのこと。山本准教授たちが初めて、東京湾に⽣息するトウゴロウイワシの仲間であるギンイソイワシで、これを証明したという事です。

ギンイソイワシ以外でも

近年、世界規模の問題となっている地球温暖化は、この様な性決定が⽔温の影響を受けやすい⿂種の「種の存続」そのものを脅かしかねません。いきなり不謹慎な言い方ですが、人間の食糧確保の観点からも脅威です。

ちなみに、飼育環境下では、孵化前後の仔稚⿂を⾼⽔温に晒すと、遺伝的なオス(XY)はそのままオスに分化しますが、遺伝的なメス(XX)がオス(精巣を持つ)に性転換してしまう事例が多くの⿂種で報告されているそうです。

そう、今後野生環境下でも多くの魚種で同様に、海水温上昇による遺伝型性の上書きが確認される可能性があるということですよね。かなり怖いお話です。