みずほFG 副業解禁 メガバンク初

日経ビジネスで「みずほFGの副業解禁」が取り上げられていました。坂井社長へのインタビュー記事です。このニュース、最初は共同通信のインタビューで伝えられたんでしたよね。みずほFGのホームページでも触れていないようですし、今のところ社長の発言にとどまっている様子です。

副業のメリット

厚生労働省が示している「副業・兼業の促進に関するガイドライン」によると、労働者側のメリットとして、以下の4点をあげています。
①離職せず別の仕事に就くことで、スキルや経験を得られ、キャリアを形成できる
②本業の所得を活かしてやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求できる
③所得が増加する
④本業を続けつつリスクを抑えて将来の起業・転職に向けた準備ができる

また、企業側のメリットとしても以下の4点が

①労働者が社内では得られない知識・スキルを得ることができる
②労働者の自律性・自主性を促すことができる
③優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する
④労働者が社外の知識、情報、人脈を入れることによる事業機会の拡大

みずほFGの狙い

みずほFGが副業を容認する狙いとして、坂井社長は「一人ひとりの働く動機がすごく変わっており、終身雇用を前提とした今の人事制度は限界がある。みずほを卒業した後も、みずほで働いたキャリアが生きる仕組みを作ることが大事」と答えています。

難しいですね。この回答のどこの部分に重きを置いているんでしょう。終身雇用を廃止し、みずほを去ってもらう人にはその準備をしてもらう、、、という読み方もできますよね。回答の前半部分が人事という制度の課題で、後半部分は従業員という人の課題に変わっています。前半と後半の間に、他にもいろいろとお話があったのかもしれません。

日経ビジネスでは、「銀行業界で多くの人材が成長著しいIT企業やベンチャー企業に流れていることを懸念している。こうした流出を食い止め、グループとして人材を囲い込むための苦肉の策ではないか」という見方をしていました。先に紹介した厚生労働省の企業側のメリット③「人材流出の防止」ですね。

2018年9月の統計

昨年9月時点でリクルートキャリアが行った企業調査(回答社数2271社)によると、副業を推進している会社は3.6%、容認している会社が25.2%だそうで、禁止している会社は71.2%となっています。副業を認めている会社が約3割あるというのは意外でした(kuniはもっと少ないと思ってました)。

どうもこの副業ってやつ、ピンと来ないんですよね。企業側にとって本当にそんな効果があるんだろうかというのが正直なところです。労働者側のメリットは①~④、いずれも納得できるところがあるんですが。。。労働者側にメリットがあるということは、従業員の満足度も向上する。そうなることで企業側も優秀な人材を確保できるし、失わないで済む。こういうシナリオなんでしょうけどね。

その労働者にとって、副業がどこまで行っても副業なのか。どこからか途中で本業になってしまう(つまり転職)のか。この辺りを読み違えると、結構劇薬になったりするのかもしれません。

銀行、リスク運用に走る

週末の日本経済新聞の記事です。「銀行、リスク運用に走る 外債買越額8年ぶり高水準  投信・REIT、5年で3倍に 超低金利 貸し出し不振続く」。またずいぶん長いタイトルです。銀行が預金で集めたお金を、価格変動リスクの高い金融資産で運用する姿勢を強めている、という話ですね。

外債投資

財務省の統計によると、銀行の外債投資(短期債と中長期債の合計)は17年度の8兆9千億円の売り越しから一転、18年度は3年ぶりの買い越しになったとのこと。買越額は10年度(9兆6千億円)以来の大きさだそうです。三菱UFJフィナンシャル・グループの3月末の外債保有残高が21兆5千億円と1年前から23%増、三井住友フィナンシャルグループも9兆円と25%増となっていることも、併せて伝えています。

米国であと2~3回利上げが行われるとみられていましたが、トランプ大統領の横やりや、米中貿易戦争の影響による景気後退見通しもあり、当面利上げはない(場合によっては利下げがあるかも)という見方が台頭し、外債投資の環境が良くなったということですね。さらなる貸し出しが見込めない日本の銀行には渡りに船といったところです。

投資信託保有

一方、株式や外債などで運用する投資信託の保有残高も2月末時点で18兆5千億円と18年3月末に比べて11%増えているそうです。大手銀行、地方銀行とも増加させているようで、合計の残高は5年前の2.9倍だそうです。また、不動産投資信託(REIT)を中心とする不動産ファンドへの出資残高は、18年9月末時点で約2兆4千億円と前年同月比17%増えており、過去5年間では2.8倍に膨らんでいるとのこと。

銀行のリスク感覚

これがよく分からないんですよね。外債も投信も、REITもすべて金融商品です。当然ですが相応のリスクを伴います。そうした商品に強気でここまで残高を増やしてきているということ。一方で、銀行が顧客に勧めて買ってもらう、投資信託の販売や外債の販売はそれほど伸びていないようです。

ここが不思議なんですよね。外債購入の好機、株式や投資信託購入の好機だと思うんだったら、なぜ強気で顧客に勧め、販売を増やさないのか。いやらしい話ですが、顧客にたくさん外債や投信を買ってもらい、その後予想に反してマーケットが変調をきたしても、銀行は損しないわけです。これが金融商品取引の世界の大原則です。

現場の銀行員は顧客への勧誘にとても弱気で、手数料収入を増やせないのに、自分のお金では超強気で相場に乗ってしまうんですね。強気というか、そうせざるを得ないんでしょうけど。昔からですが、銀行員のリスク感覚はよく分からないです。赤信号、みんなで渡れば怖くない?いや、それが一番怖いんだって!

三菱UFJ銀行 180店舗削減 とか

三菱UFJフィナンシャル・グループは、2023年度までに三菱UFJ銀行の店舗数を約180店舗減らす方針を明らかにしたとのこと。従来は17年度末の515店舗から2割にあたる約100店舗を減らす計画だったが、削減率を35%に積み増すんだそうです。2017年の年末辺りから、メガバンク各行が支店の統廃合競争に入りましたが、期をまたぐ毎に削減店舗数が増加するなど、わけわかんなくなってきたので、今回は三菱UFJ銀行の店舗戦略を整理しておきます。

店舗数の推移

            2016年度末   2017年度末   2018年度末
来店型店舗       665        525       509
(本支店 出張所)    624        515       500

こんな感じです。17年度から支店のカテゴリーが変更になっていますので、2016年度の本支店・出張所の数は参考程度に。こうしてみると既に100店舗以上減ってきてるんですね。

削減店舗数の上積み

今回のニュースは、2017年度の本支店・出張所515店舗を基準にしています。この基準に対して従来20%の100店舗を削減すると言っていましたが、今回それに上積みして35%削減すると言ってます。515店舗を180店舗削減するということですね。

一方で、有人対顧客窓口を有するフルバンク型の支店は50%削減とも言っています。つまり、260店舗程度だけを残して、180店舗を削減。約170店舗を機能特化型店舗に衣替えするという計画のようです。ちなみに、機能特化型店舗はMUFG NEXTなどのコンサルティングオフィスを軸に展開するという説明がされています。

また、人員についてはかなり気を使った感じで、今回も2023年までに6000人程度の人員減少を見込むとしていますが、これも自然減だとしています。業務量の削減見通しは当初の9500人分から1万人超相当分まで積み上げてますが、、、。この辺りの言い回しが三菱らしいです。

日経の社説より

5/18付け日本経済新聞の社説で「メガバンクは次世代金融へ脱皮が急務だ」というのがありました。全国に配置した支店や人員はいまや重荷だ。リテールの数少ない成長分野がシニア金融だ。ノルマを排したコンサル型営業を徹底するべきだ。海外展開やM&A助言など付加価値を高めよ。株式持ち合いを解消してその資金をスタートアップへ積極的に振り向けよ。異業種と連携してノウハウを取り込め。

こんなことが書かれてました。多くの有識者たちが異口同音にこのようなことを言ってますし、メガバンクだって既にそういう対応してますよね。こんなふうに誰もがその通りだと思う状態、みんなの意見が一致する状況で、相場は天底を打つものです。実はみんながそう思っている時代はもう終わりに近付いてたりするんですね。また今回も金融界の戦略は外れてしまうのでしょうか。外れるとしたらどの戦略でしょうか。この辺りはまた別の機会に考えてみたいと思います。

新生銀行ですか スルガ銀行救済

5/13 夕方、日本経済新聞電子版が「スルガ銀、新生銀と資本・業務提携へ 不適切融資1兆円規模」というニュースを伝えています。【イブニングスクープ】とかいう見出しもあって、日経のスクープなのかと思ってググってみたら、あちこちで報道されてました。なんだ、それ。今朝の日経ではどんなふうに出るんでしょうね。

見付けたニュースの中ではダイヤモンドオンラインが一番詳しかったような気がします。「スルガ銀の支援先選定、ノジマとSBIの一騎打ちに金融庁が「待った」で混迷」というタイトルです。読んだ通りなんですが、ノジマとSBIが最有力で進んできたものの、最終段階になって、金融システムの安定を気にした金融庁が銀行による支援にこだわりを見せ始めたということだそうです。

りそなはないよね

当初、りそなホールディングスと優先的に交渉を進めていたようですが、りそな側が資本提携まで踏み込まず、あくまで業務提携にこだわったようです。っていうか、りそな自身のレオパレス問題。施工不良地獄に陥っている賃貸アパート大手、レオパレス21向けの融資の多さを考えると、もう一つ問題児を抱え込むなんてのはないでしょう。という感じです。

ノジマはありかも

金融庁のこだわりは分からないでもないんですが、まったく別業界のノジマは面白いかもと思いました。ダイヤモンドの記事では「ノジマは17年に富士通から買収、個人向けインターネット接続事業を手掛けるニフティのほか、携帯電話販売の大手代理店ITXなどを傘下に抱えている。こうした企業群とスルガ銀行を有機的につなげることで、先進的なフィンテック事業を手掛ける銀行に生まれ変わらせるという戦略を提案しているもようだ。」とあります。

銀行以外の業種からどんどん参入してくる時代なんですから、銀行以外の会社がスルガを再建してみるのも良いですよね。別に今までと同じ銀行に再生したってしょうがないんですから。そんな銀行もう生き残れませんし。まったく新しい銀行として生まれ変わらせるんだったら、ノジマ、面白そうです。

5/15 スルガ銀行の決算発表だそうで

日経の記事にはさりげなく「スルガ銀、新生銀は15日にも提携を発表する。」というふうに書いています。ダイヤモンドの記事によると、スルガ銀行の決算発表が5/15ということらしく、このタイミングで公表するだろうということのようですね。ちなみにダイヤモンドは新生銀行に決まりとは言ってなくて、「スルガ銀行は5月15日に決算発表を控えている。それまでに支援先を決定し、新たな再建への道を描くことができるのか。時間は残されていない。」というコメントで記事を終わらせています。

三菱UFJ銀行 本部人員半減

連休2日目の4/28、日本経済新聞一面で「三菱UFJ、本部人員半減 23年度までに 営業などに異動」というかなり刺激の強い記事が掲載されました。抜本的構造改革みたいな話は、ほかのメガバンク、野村證券などで相次ぎましたが、ここまで具体的なメッセージは初めてです。しかし、こんなニュースがなぜ連休に入ってから出てきたんでしょう。記事を読んですぐに感じたのはそういう違和感です。

気になったので三菱UFJ銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループのホームページを探ってみましたが、そのようなニュースはありませんでした。「インドネシア大手商業銀行バンクダナモンへの戦略出資について」というお知らせが4/29付で出ていますので、連休中も更新はされています。

現時点では法人関係情報にも該当しないでしょうし、レピュテーショナルリスクも高くないという判断なのでしょうか。打消し公表みたいなもの(一部の新聞で〇〇が報道されましたが、当社が公表したものではありません、、、てなやつ)も出されていません。kuni個人的にはこの展開はよく理解できないです。

行員たちにとっては一大事

すでに10連休入りしており、記事を読んだほとんどの行員はお互い顔を合わせることもなく、心配しながら一週間以上過ごさないといけませんよね。経営陣は「日経が勝手に書いた推測記事だから」と完全にスルーしてるのかもしれませんが、行員たちにとっては一大事です。

業績が芳しくない会社で本社から支店への異動というのは辛いものです。こうしたケース、会社としては、「辛い営業現場に出てもらって稼いでもらう。場合によっては退職してもらうのもあり」という判断をしているわけで、異動させられる社員にしてもそのくらいのことは理解しています。

「ひょっとしたら自分もどこかの支店に、、、」。都内に家を構えたばかりなのに、とか、子供が都内で進学したばかりなのに、、、といった節目を迎えている行員も多いと思います。こんなことを考えながらの10連休なわけですよ。経営陣はそういうことまで考えてあげたんでしょうかね。

もしかして経営陣が意図的にリーク

一方で、経営陣があえて10連休というタイミングでリークしたという可能性もありですかね。今後の身の振り方を相談する相手と一緒に居られる連休。時間もたっぷりあるのでゆっくり相談して、考えておいでという意図があった、みたいな。ちょっと考えすぎですか。しかし、もしそうならこの会社鬼ですね。

構造改革を迫られる銀行業界。そのなかで現場に立つ従業員のやる気を高めて、生産性を向上させるために、組合要求の2倍のベアを決めた三菱UFJ銀行。頑張ってくれる行員にはしっかり報いていくが、人員は削減せざるを得ない。そんな舵取りだとは思われますが、連休中の報道に対するなしのつぶてはいかがなものでしょう。