タムロン 社長の不正行為(その2)

先日取り上げましたタムロン社長の私的流用。ほとんどの報道が私的流用という言葉を使っていて、いまひとつ生臭さが消えてしまい、インパクトに欠けますよね。今日は調査報告書で出てきた女性の同伴出張について、興味本位でもう少し書いておきます。

同伴出張

2023年 6 月開催のハワイでの代理店会議(6/13~6/15)へは6/8から現地入りし、ホテル名は明らかにされていませんが、部屋はペントハウス 1 ベットルームスィート。同伴したのは社長が超お気に入りの中国系クラブのホステスS氏です。宿泊以外にも外食や送迎のためのリムジンまですべてタムロン持ち。

この間全てS氏は同伴です。報告書ではS氏の友人も・・・などという記述もあり、「ほぉ~、3人で」ですかぁ。ってのもあったりします。偉くなったら何でもありなんですね。

2019年ラスベガス・ロサンゼルス出張も、やはりS氏同伴での出張。2018 年ドイツ・フランス出張についても、S氏を自らの部屋に宿泊させています。

2017 年のバンコク出張は会社関係者と思われる方の結婚式への参列が目的。仕事とはまったく関係のない出張ですが、やはりS氏が同伴。どころか、S氏とその家族及び友人家族の 7 名を引き連れての豪遊。当然ホテル代から飲食、移動、お土産代までタムロンが負担です。他にも2016年の上海出張についても報告されていました。

出張だけ取り上げましたが、国内に居るときは当然お店に入り浸りでしょうからね。ここまでズブズブの関係となると、会社関係の技術情報やらなんやら、きっと抜かれまくりですね。

株式会社プロルート丸光 虚偽有価証券報告書提出事件の告発

証券取引等監視委員会は10/31、「株式会社プロルート丸光に係る虚偽有価証券報告書提出事件の告発について」を公表しました。同社の株価をつり上げる目的で、子会社化する会社の価値を過大に算出し、虚偽の情報を開示したということらしいです。このことを受け2021年に同社株は200円近辺から700円まで急騰しています。

プロルート丸光

プロルート丸光は衣料品、服飾雑貨、寝具・インテリア商品などを全国の衣料品店、専門店、チェーンストア、ECショップなどに実店舗およびオンラインストア、アプリなどで販売する総合衣料問屋です。東証スタンダード上場企業ですが、株価は今年に入って100円を割れており、直近では20円まで売られています。

事件の概要

実態のないアーティストのグッズ販売会社の価値を過大に評価して株式交換による子会社化を進め、19年12月に「将来収益に高い信頼性がある」などと売上高予想や事業内容について虚偽の内容を開示していました。

最終損失が1億円に迫る状況で、架空売上を計上する方法により5,000万円近い利益が出ているような開示をして株価をつり上げています。

告発を受けて東京地検特捜部は11/1、同社の筆頭株主だった経営コンサルティング会社「ウェルスブラザーズ」代表を金融商品取引法違反(風説の流布、偽計)容疑で再逮捕しました。さらに、法人としてのプロルート社と同社元社長、前社長、同社の子会社だったグッズ販売会社の男性役員2人を同法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で起訴しています。

タムロン 社長の私的流用等 特別調査委員会の調査報告書を公表

株式会社タムロンは11/2、「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」を公表しました。今年8月に発覚したタムロンにおける前社長による不正行為。女性同伴の出張などが内部通報で発覚したという事件でしたね。2ヶ月半に及んだ調査結果が公表されました。

前々社長 前社長

なんと前社長だけではなかったんですね。報告書では、前社長とその前任の元社長の2人が、女性を伴ったり単独で行ったりした飲食であわせて1億6000万円余りを私的に流用し、会社に負担させていたと指摘しています。バブル当時はよく聞いた話だけど、今の時代に?

金額は2013年度以降で前社長が3000万円余り、前々社長が1億3000万円余りになるとのこと。これって、もっと遡るといくらでも似たような話出てくるんじゃないの?

こんなバカに社長を?

調査に対する前々社長の弁明が凄い。「社長業の重圧によるストレスを解消するための必要経費だった」。相談役になってからについては、「会社の経営に口出しをすることを我慢することにより生ずるストレスを発散する必要があった」んだそうな。しかし、あぁ、なんでこんなバカを・・・。

さらに、前社長についての調査結果では、同伴主張していたS氏と表現されている中国系クラブのホステスが登場します。監視カメラ用レンズやFA/マシンビジョン用レンズなども手掛ける同社ですので、中国からのいわゆるハニートラップにかかって、技術情報なんかを抜かれてた可能性もありそうですね。

東ソー株式会社 子会社で爆発事故 従業員1名が死亡

11/2、午後2時ごろ、山口県周南市の東ソー・エスジーエム新南陽工場で爆発があり、同社社員の男性(47歳)が死亡し、50代の男性社員1人が軽傷を負いました。火災や有害物質の流出など、工場外への被害は起きていないということです。

東ソー株式会社 東ソー・エスジーエム

東ソーは総合化学メーカー大手の一角を占める企業。塩ビ樹脂や苛性ソーダではアジア最大級の生産規模を誇り、石油化学分野だけでなく、機能商品や水処理事業も展開する東証プライム上場企業です。もともとは東洋曹達工業という社名でした。

東ソー・エスジーエムは東ソーが50%、東ソー・クォーツ株式会社が50%出資している会社なので、実質的に東ソーの完全子会社みたいなものですね。合成石英ガラスなどを製造しています。事故があった新南陽工場は元々新南陽市にあったわけですが、2003年に2市2町が合併して周南市になったらしいです(知らなかった)。

事故の概要

爆発したのは可燃性のメタンか水素とみられるとのこと。作業員が、石英ガラスを作るための試作装置の運転準備のため、配管に残ったガスを追い出してそのガスを燃やす作業をしていたところ、何らかの原因で爆発が起こったといいます。

この東ソーの新南陽の拠点では過去にも事故を何度か起こしており、今年10/23には建物の壁面に設置された金属製の張り出しが落下。作業をしていた4人が転落し、重軽傷を負うという事故も発生しています。大丈夫かい?東ソーの子会社管理。

NTT西日本子会社での900万件情報漏えい (続報)

日本経済新聞は10/28、「元派遣社員が3重の内規違反 NTT西系の情報流出」と伝えました。例のNTT西日本の子会社から派遣社員により顧客の個人情報約900万件が不正に持ち出された事件の続報ですね。初報はたしか10/17でした。

3重の内規違反

元派遣社員の少なくとも3つの行為が情報セキュリティーに関する社内ルールに違反していたといいうこと。顧客データの取り扱いに関し確認された社内ルール違反は、①業務外で作業端末にダウンロード、②私物USBメモリーに保存、③承認を得ず持ち出し、の3つだそうです。

まぁ、いずれも皆さんの会社でも同様に決められているルールだと思いますが、問題はどれだけ本気でそのルールを作っていたかということ。本気ならそのルールを厳守できるような環境を整えているはずです。

業務外で(業務時間外で)のアクセスを検知する仕組みをなぜ設けていなかったのかってことです。そして最もビックリなのは、②の私物USBメモリーにデータをダウンロードできちゃってることです。kuniが勤めていた金融機関では少なくとも10年前にはUSB用ソケットを殺していましたよ。

データのダウンロードはできなくしていたけど、通電だけはしていて、そのソケットでスマホを充電するのはアウトかセーフか、、、みたいな笑い話のようなことも同業さんでは起きていました。

世界を先導しようとしている情報通信企業で

ネットワークだけでなく端末処理まで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク」(IOWN構想)を進めるNTTのグループ内企業で、社内ルールで禁止してはいたものの、社内端末のUSBソケットが生きたままでした。ごめんなさい、では、あまりにシャレになりません。