洪水浸水想定区域 水防法を読んでみた

10/31付け日本経済新聞で「工業団地 580ヵ所浸水恐れ」という記事が。この記事の中に出てくる「洪水浸水想定区域」というのが気になり、「水防法」を読んでみました。水防法って、金商法みたいに略してるんだと思ったら、「水防法」で正式な名称なんですね。

2015年改正で1000年に一回しか起こらないレベルへ

法改正で「想定しうる最大規模の降雨」の定義が1000年に一度起きるかどうかのレベルに。つまり条件を厳しくしたとのこと。水防法第14条にありました。「想定最大規模降雨(想定し得る最大規模の降雨であって国土交通大臣が定める基準に該当するものをいう)」。

国土交通大臣が定める基準というのは、別途、大臣告示という方法で示されていて、「最大規模の降雨に係る基準」というのがありました。その中で「年超過確率0.1%程度の降雨」という基準が示されています。これが、どうやら年超過確率1/1000(約1000年に一回)程度という意味らしいです。この基準で地域や対象面積ごとに定められています。

この際覚えておきたい用語

洪水浸水想定区域という言葉は、日経3面の「きょうのことば」というコーナーで一通り説明されているんですが、水防法第14条から15条にかけて、このほかにも、雨水出水浸水想定区域、高潮浸水想定区域というのが出てきます。3つを整理しておきます。

・洪水浸水想定区域は
河川の増水・氾濫によって、浸水の想定される区域です。
・雨水出水浸水想定区域というのは、
公共下水道等の排水施設に雨水を排除できなくなったり、排水施設から河川等に排除できなくなったときに浸水の想定される区域のことです。
・高潮浸水想定区域は
台風等により海面水位が高まり、防潮堤を超えてくることによって、浸水の想定される区域ですね(津波は含みません)。
そして、これら3つを合わせて、「浸水想定区域」と定義されています。

明豊エンタープライズ(8927) 有価証券報告書虚偽記載

10/23、証券取引等監視委員会は、明豊エンタープライズの有価証券報告書の虚偽記載について、法令違反が認められたとして、課徴金納付命令の発出を勧告しました。一報だけは見ていたんですが、ちょっとスルーしてしまってて。この会社もアパート等のサブリースを手掛けてる業者なんですね。JASDAQに株式を公開している企業です。

課徴金 2,400万円

平成26年7月期以降29年7月期までの13四半期の報告書において、重要な事項につき虚偽の記載を行い、提出したとのことです。虚偽の内容は、中国における住宅開発事業から発生した長期未収入金および長期貸付金に係る貸倒引当金の過少計上だそうです。

これ以上詳細は分かりませんが、未収入金と言ってますから、何かの売却代金の回収が不能になっている。長期貸付金と言ってますから、貸した金が回収できなくなっている。といったところでしょうか。にもかかわらず、貸し倒れ引き当てをしていないということで、その分、期中の利益を大きく見せようとしていたということですね。

明豊エンタープライズ社のホームページでも詳細は分かりませんが、勧告の段階ではあるものの、既に「特段の事情がない限り課徴金に係る違反事実等を認める方針」とあります。

子会社の明豊プロパティーズ

明豊プロパティーズという関連会社が、マンション、アパートの管理を行う子会社です。事業の案内を見ると、賃貸事業においては、業務委託(代理)と家賃保証(サブリース)が二本柱という説明になっています。

ネットで調べても、今のところサブリース関連で悪い噂などが出てくるわけでもありません。ただし、業績面で苦しんでいることは間違いありません。ソーシャルレンディング等にも絡んでいるようですし、今後の報道等は要チェックですな。

ファインバブル ウルトラファインバブル

先日、日本経済新聞でファインバブルのどデカい広告がありました。実用化段階を迎えたファインバブル技術の紹介と、ファインバブル国際シンポジウムの開催アピールが目的のようです。参加費8,000円はちょっと高いなぁ。ここで宣伝したくらいじゃ招待券もらえないだろうか。

ファインバブルとは

私たちがイメージする泡は、水の中から浮かび上がって、水面で破裂して消えていくもの。ところがこのファインバブルというのは超微細な気泡で、水と混ざりやすくて浮かびにくいんだそうです。中でもウルトラファインバブルと呼ばれるさらに小さな気泡では、電荷を帯びることや気泡内部が超高圧状態になることなど、通常の気泡にはなかった振る舞いをするんだとか。

この特異な特性を利用して、様々な業界で実用化が進み始めているんだそうです。身近なところでは、洗濯機やシャワーなどに応用が進んでいて、社会的認知度も上昇中。おそらくみなさんもCMとかできっと見ているはずです。

様々な用途に

工作機械分野では、研削加工機の冷却液にウルトラファインバブルを使用することで、加工精度や加工スピードが大幅に改善する。機械部品の洗浄に使うことで、油分の洗浄効果が劇的に向上する。工場排水の水質浄化を効率化できる。といった成果が。

農業分野では、植物が摂取する水をウルトラファインバブルに代えることで、大麦の発芽の促進やレタスの成長が20%以上促進できたなどという話題も。医療分野でも、医療器具の滅菌において大きな成果を上げているようです。

何だか面白そうな分野です

実用化は着実に進んでいるようですが、一方で効果が発見されても科学的に説明できないこともあるようで、、、けどそういう世界って面白そうですよね。日本が圧倒的にリードしている、というか先導している分野であり、水と空気(の泡)で、洗剤(石油化学製品)等を不要にする。。。なんて、まさにSDGsに最適な技術です。

ちなみにリーディンがカンパニーと思われる「IDEC(アイデック)(6652)」って、昔の和泉電気さんなんですね。2005年に社名変更ですか。社会課題を解決する技術を持つ会社、株価にも注目しておきましょう。

総務省 18億円かけたセキュアゾーンを廃止(その2)

昨日に引き続き、総務省が18億円を捨ててしまった大失態。セキュアゾーンの構築にかかった期間中の総務相は現総務相でもある高市早苗氏ですね。大臣の耳にどれだけ届いていたんでしょう。また、同じ期間の事務次官は櫻井俊氏、嵐の櫻井翔君のお父様みたいです。

なぜこんなことが・・・

会計検査院の指摘では、「セキュアゾーンの整備を決定するにあたり、取り扱う情報の重要度に応じた対策の選択肢、各対策に対する需要の規模、および当該需要を踏まえた費用対効果を把握することが十分できていない」とあります。また、意思決定過程の資料も総務省に残っていないそうです。話になりません。

厚生労働省と農林水産省が一旦使用の希望をしたようですが、彼らユーザーの期待に応える代物ではなく、最終的に誰も使用していません。通常、システムを構築する場合、ユーザーとの間で要件定義がじっくり行われ、仕様が固まります。

そのため、今回のようにシステムが堅牢すぎて使えない(仕様通りになっていない)、、、なんてことがあると、ベンダー企業との間で訴訟等に発展するわけです。しかし、ユーザー不在でベンダーに丸投げみたいになっていると、こんなふうになるんですね。総務省側に訴訟を起こせるほどしっかりした資料(証跡)も残ってないんでしょう。

日本年金機構の大惨事を見て、上層部の誰かが「とにかく政府システムで機微情報が流出しないよう、100%安全な対策を取れ!」と指示。指示された方は大急ぎで、言われた通りに、めちゃくちゃ安全性の高いセキュアゾーンをこしらえました。「しかし、システムが堅牢すぎて、どの省も使えないと言ってます。。。どうしましょう。」みたいな感じです。笑い話ですね。

また野党が騒ぐのかな

冒頭書いたように、このセキュアゾーンの検討から構築にかけての期間の総務大臣は第3次安倍内閣時代の高市早苗氏(現職)です。そして当時の事務次官は櫻井氏(すでに退官して今は電通の取締役)だったりします。ネームバリューのあるお二人ですし、また野党の標的にされちゃいそうですね。

総務省 18億円かけたセキュアゾーンを廃止 会計検査院指摘

今月上旬、一部報道で伝えられていましたが、正式に会計検査院から調査の結果が公表されました。サイバー攻撃対策として18億円をかけて設けられたセキュアゾーンという名前のシステムが、一度も使われることなく2年間で廃止されたということです。

ことの経緯

政府が使用する情報システムを統合した政府共通プラットフォームは平成25年3月に運用を開始しています。27年5月に日本年金機構がサイバー攻撃を受け、個人情報が外部に流出しました。

これを受け、各省にサイバーセキュリティ対策推進会議議長指示が通知されました。「政府情報システムのうち、機微度の高い情報を扱う部分と、インターネット等の分離を進める計画をまとめて報告せよ」というものです。

この指示に基づき、総務省は政府共通プラットフォームへの機能追加で、セキュアゾーン(ネットと繋がらない安全地帯みたいなもんですね)を整備しようとします。27年8月には各省に対して、セキュアゾーンの利用希望の調査を実施しています(調査と呼べるほどのものではないけど)。

その後、28年の4月と9月に後述の民間業者とセキュアゾーン整備等の契約を結び、29年4月に政府共通プラットフォームにおけるセキュアゾーンの運用を開始しています。

契約の内容 NTTデータ 東京センチュリー

システムの運用や機器の管理を目的とした契約はNTTデータと締結。5年間で8億5千万円(うちセキュアゾーン関連で3億6千万円)となっています。半年後の9月、セキュアゾーンの整備に係る設計作業請負等を目的とした契約を東京センチュリーと締結。同じく5年間で20億円です。

運用は開始したものの、使われないまま費用を負担し続けることになるため、今年3月、契約期間を2年短縮する変更契約を締結し、セキュアゾーンを廃止しました。変更後の契約額は18億9千万円ということで、報道等ではこちらの金額が使われています。事実関係だけで今日はお終い。何でこんなことになったのか、、、続きは明日にでも。