マルイの売らない店 体験型店舗

週刊東洋経済で「売らない店の挑戦と勝算」という記事を読みました。ECに押されて、衰退してきた百貨店。先月も大手老舗百貨店の店舗閉鎖のニュースを見たような気がします。マルイもその類だとばかり思ってましたが、とんでもない。10期連続増益だそうです。

売らない店

マルイが言う「売らない店」とは、「消費者がブランドと出合い、体験する場所」のことを指します。つまり、商品を売るための場所ではなく、顧客と、マルイにとっての店子であるEC業者等が出合って、体験する場所。そんな意味ですね。

売ることを最終目的としている旧来の店舗では、顧客は「買わされている感」を抱いてしまう。売らない店では、顧客は最終的に買わなくてもいいため、気兼ねなく体験を楽しめるということのようです。

で、顧客はリアル店舗でしか実現できない体験をしたのち、気に入ればスマホからネット経由で買う。こういうビジネスモデルが成功してきているというんですね。確かに店舗で店員に話しかけられると、話を聞くだけ聞いて買わないのって気が引けるじゃないですか。最初から売らない店であれば、気兼ねなく相談できそうです。

SC型(ショッピングモール型)

マルイも従来はモノを仕入れて販売する百貨店型のビジネスモデルだったようですが、今ではテナントの賃料収入をベースとするSC型へ移行したとのこと。冒頭で書いた体験型店舗や飲食店を「売らない店」と再定義し、今では全売り場面積の30%を占めていて、5年後には60%まで引き上げるようです。

特に力を入れているのが、D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)と言われる、SNSなどを活用した消費者との強い関係を強みとするEC事業者だといいます。インスタグラムとかを駆使してユーザーをつかむ新興EC事業者とのコラボなわけですね。このビジネスモデル、イケてます。マルイを傘下に持つ丸井グループ(8252)の株式にも注目しましょう。

しかし、、、マルイにはkuniも時々行くんですが、こうした変化、、、残念ながら全く気づきませんでした。イケてません。

大和ハウス ガバナンス強化策 取締役に定年制

大和ハウスが同グループのガバナンス強化策を公表しました。建築基準不適合への改修等の対応が概ね一段落したこともあり、打ち出してきたものと思われます。で、その目玉が社内取締役の定年制(代表取締役は69歳、取締役、執行役員、監査役は67歳)導入です。が、しかし、、、いきなり例外ありで、81歳の樋口会長は続投。なんだこれ。

4つの基本方針

ガバナンス強化策は4つの基本方針からなっており、以下の通りです。
① 経営体制及び管理・監督のあり方の再検討
② 業務執行の機動性及びリスク対応体制の強化
③ リスク情報の収集と共有の強化
④ 持続性・実行性を支える環境の強化

これまでの不祥事への対応として、「事業部門ごとの責任体制の明確化」や「コンプライアンス推進部の新設」、「コンプライアンス研修の継続的実施」などを掲げています。また、内部通報を1年半も放置してしまったことを受け、「内部通報の外部窓口(外部法律事務所)の設置」や「経営への報告基準や報告のフロー整備」なども盛り込まれています。

さらに、アクティビストらからの要請に応える形で、社外取締役の充実や、海外での事業経験のある取締役候補者を選定、、、といった対策も。プレスリリースや添付されているプレゼン資料を読むと、一通り必要なものは揃えたぞ、っていう感じですね。

いきなり例外かぃ

今年6月、建築基準不適合が発覚した直後、樋口氏はCEOを退き、代表権のない会長になりました。そのときも引責辞任ではないことが強調されていましたが、今回もせっかく作った新ルールの例外適用第1号。なんでここまで忖度する必要があるんでしょうね。

ルールを定めても例外はある。これがこの会社のカルチャーのようです。改善すべきはこのカルチャーでは??? ガバナンスの強化策をいくら作っても、いざという時に例外運用してたんじゃ、会社は変わりません。

ラック株急落(3857) トレンドマイクロ(4704)は大幅高

先週末の株式市場でラック株が急落してましたね。前週末の株価が1305円で、先週末は1127円。おまけにこの日はほぼ安値引け。この会社、日本貿易保険におけるシステムの入札妨害事件で逮捕者が出た際、同社社員も書類送検されたことから、当ブログでも取り上げたことのある会社です。

ラック急落の謎

その後、会社自体は悪くない会社だなと思いながら、株価と事件の進展状況を両睨みしてきましたが、ここで急落となったわけです。11/5に第2四半期の決算を発表していて、売上高6.0%増ながら、営業利益90.0%減益という内容。ただし、減益の理由は「社内システムの刷新や事業拠点新設」とのことですから、それほど後ろ向きに捉える必要はなさそうです。

決算短信もサクッと眺めてみましたが、システムの刷新や新オフィスの開設で、全社共通費用が3億円弱上昇してますので、利益が出にくくはなっています。が、それにしても、株価の下げ方がきつすぎる感じがします。日本貿易保険の事件の続きがあって、同社に関する不正等の情報が近々公表されるのでは、、、などと勘ぐってしまいます。

調べてみると、いちよし証券のアナリストがレーティングを「A」→「B」へ引き下げ、フェアバリューは2000円→1500円に引き下げた。。。という話はあるようです。詳細はいちよし経済研究所まで。

トレンドマイクロは大幅高

一方で、同業(と言っていいのかな)のトレンドマイクロ株は、週末金曜日、大幅高しています。11/6に、同社元社員が12万人分の個人情報を第三者に売却していたという事件を公表したにもかかわらず、、、です。公表後2連騰で、このところの高値を更新してるんですね。

トレンドマイクロの大幅高、投資家の反応がいまいち読めません。悪材料を公表した日が底になって、即反発し始める。この情報漏えいの事件に関する情報も、社外に漏れていたかのような動きなのはちょっと気になりますね。

パルマ 元管理部次長 インサイダーで告発

東証マザーズ上場のトランクルーム管理業、パルマの元管理部次長とその知人がインサイダー取引に関与したとして、証券取引等監視委員会は金融商品取引法違反の疑いで東京地検に告発しました。その後2人は在宅起訴されています。公表前の第三者割当増資の情報をめぐるインサイダー取引事件です。

日本郵政キャピタルに対する第三者割当増資

問題となった第三者割当増資ですが、割当先が日本郵政の100%子会社の日本郵政キャピタルです。増資に加えて、パルマの親会社が持つパルマ株を一部日本郵政キャピタルに譲渡するという話もあり、この情報の公表後、パルマ株はわずか数日で2倍以上に急騰しています。

管理部次長は、知人にその第三者割当増資に関するインサイダー情報を公表前に伝え、知人が自己名義と他人名義併せて3,000株、1,100万円で買い付けていたんですね。管理部次長はインサイダー情報を伝達したことで、知人は伝達を受けパルマ株を買い付けたことで、金商法違反として東京地検に告発されたということです。

課徴金納付命令と告発

監視委員会は日常的に市場をウォッチしていて、不公正取引が疑われる取引を見つけると、市場分析審査課が取引審査を開始します。インサイダー取引の嫌疑で要調査と判定されると、取引調査課か特別調査課に引き継がれます。

調査の結果がクロということになると、取引調査課は課徴金納付命令を金融庁に勧告し、特別調査課であれば、刑事訴追を求めて検察官に告発します。パルマの案件は特別調査課が担当したということですね。どっちの課に引き継ぐかは事案の軽重で判断してるみたいです。

割当先に日本郵政キャピタルという名前を見て、また郵政がやらかしたか、、、と身体が反応してしまいましたが、今回のパルマ株インサイダー事件においては日本郵政側に特段問題はなさそうです。(今のところですが)

続報 レオパレス21 業績下方修正 273億円の赤字

レオパレス21が業績予想を下方修正しました。5022億円を予想していた売上高を4473億円に、549億円の下方修正。当期純利益を1億円の黒字から273億円の赤字へと下方修正。最初から大甘の予想でしたが、この下方修正もどうなんでしょうね。

ホテル等の資産売却

前回書いたときは、札幌、仙台、博多の3ホテルを160億円で売却し、78億円の利益を得るという話でしたね。残念ながら焼け石に水といったところでしょうか。残るホテルレオパレス名古屋とグアムのリゾートホテルの売却も時間の問題でしょう。同様の不適切工事で問題になったダイワハウスが改修対応をほぼ完了したのとは対照的で、レオパレス21の対応の遅さが目立ちます。

壊滅的な開発事業

ホームページで公表している月次データ。月次の受注金額が凄いことになっています。前前年度714億円、前年度596億円だった受注金額が、今期上半期で38億円です。9月は3億3千万円まで落ち込んでいます。壊滅的ですね。今回の売上高の下方修正は、ほぼこの開発事業の落ち込み分の修正と思われます。

賃貸事業についても

賃貸事業についても、例の採算ライン80%と言われる空室率が、9月80.7%まで低下。10月はとうとう79.49%と採算ラインを割り込んできました。賃貸事業の不採算化については、今回の下方修正に織り込まれていないようですから、ここからボディーブローのように効き始めそうです。

これマジで、ヤバくなってきたかもしれません。1兆円以上貸し込んでいる、などと言われているりそな銀行はどうするつもりなんでしょうね。サブリースでしくじったスルガ銀行&ノジマ連合と、同じく、レオパレス21&りそな銀行連合。両者とも、まだまだ目が離せません。