総務事務次官 郵政副社長に情報漏洩 を考える

かんぽ生命保険と日本郵便の保険不正販売問題を巡り、行政処分案の検討状況等を日本郵政グループに漏らしたとして、鈴木茂樹総務事務次官を停職三カ月の懲戒処分にしたと発表しました。鈴木氏の二十日付の辞職を受け入れ、事実上更迭という形に。

当然の結果

何を今さらって感じですよね。旧郵政省採用の先輩後輩の関係で、後輩から先輩に行政の情報が伝わった。こういう人事してれば、現職からOBへ情報が漏洩するなんてことが起きるのも当然でしょう。高市総務相は「やむを得ない事情があったと拝察する」なんて言ってましたけどね。

リスク感度の問題

皆さんの会社にも〇〇省OBとかいう方がいらっしゃると思います。いわゆるお役所からの天下りですね。こういう人たちは監督官庁から民間企業に下ってきて、当局の情報を仕入れ、民間企業に伝えるのがお仕事みたいなものです。つまり今回懲戒処分を受け辞職に至った次官と同じことをしているわけです。

問題はどんな情報を伝えていたかということだけです。保険の不正販売の実態や、そのレピュテーショナル・リスクについて、より早い段階で情報が共有されていれば。つまり、総務省の問題意識を早い段階で郵政上級副社長の耳に入れ、これを受けた郵政が危機感を持って自ら改善に取り組んでいれば、ということですね(総務省がどれほど早い段階で問題意識を持っていたかはビミョーですが)。

もしかすると、この二人の鈴木氏の初動により、かんぽ生命の販売態勢を建て直すことができたかもしれません。多くの民間企業では、当局OBからの助言等で、経営の軌道修正みたいなこと、普通に行われてますよね。こんなふうに考えていくと、かんぽ生命、郵政がここまで古い体質を改善できなかったのは、二人の鈴木氏のリスク感度の低さも一因だったと言えるかもしれません。

大和ハウス 実務経験証明書虚偽記載で施工管理技士取得

またまた大和ハウスです。当ブログの常連さんになってきました。毎月のように何かしらネタを提供していただいてます。今回は349人もの社員が、国家資格である「施工管理技士」を、必要な実務経験を満たさず受験して合格していたというもの。と、ここまでは日本経済新聞の書きぶりです。

実務経験証明書

「必要な実務経験を満たさずに受験して合格」って、なんかおかしくないですか。ということで、この国家資格、受験に際しての手続きを調べてみました。受験願書を提出する際に必要な書類の一つに、「実務経験証明書」というのがあります。自身が従事した経験内容を証明する書類です。

どういった工事を何年行ってきたかを記入し、現在所属している会社の社印と代表印を押印して提出することになっています。つまり、大和ハウスは日本国、国土交通省に対して、受験する自社の社員の実務経験年数を偽って証明(捏造)したわけです。正しく報道するなら、「実務経験証明書を偽装して合格させていた」ですね。

確認不足が原因

また、日経では確認不足が原因だったと伝えていますが、現役社員の資格保有者の8%にあたる社員がこんなことやってるわけです。社内では「自己申告だし、チェック入らないから大丈夫」、、、というのが常識になってたとしか思えませんよね。

確認不足ではなく、社員への教育不足ですし、ルールを守るのが当たり前という、ごく一般的なカルチャーがないんだと思います。この会社やっぱり不祥事が発生する素地がありそうです。加えてもう一つ気になるのは、これって大和ハウスだけの問題なのか?他社でもやってないか?というところ。

資格取得者は会社も増やしたいはず。もちろん社員も資格を取得したいはず。で、資格取得を奨励する会社が受験資格を証明するという構図はコンプライアンス上いかにも脆弱です。一次試験に合格後、必要な実務期間を経過しないと本試験が受験できないような仕組みにするべきでしょうね。

かんぽ生命 特別調査委員会 調査報告書

12/18 かんぽ生命の保険契約問題に関して、特別調査委員会がまとめた調査報告書が公表されました。150ページにおよぶこの報告書、昔の証券会社の営業を知っているkuniとしては、読んでて気持ち悪くなってくるような、、、そんな内容でした。

パワハラ 恫喝指導

法令違反や規則違反が、以前の報告の倍以上になって1万2千件以上、みたいな報道が先行していました。報告書では不適切販売の実態が明らかにされたわけですが、kuni的には現場で横行していたパワハラや恫喝指導などの営業推進の実態の方がこたえました。

今から約30年前、当時も悪評の高かった証券営業の現場とそっくりです。あんな組織運営がこの時代でも続いていたんですね。数字の上がらない保険募集人へのパワハラや恫喝指導をしてきた人達(金融渉外部長)は、たぶんkuniと同じ世代の人たちだと思われます。

自分が受けてきた酷い仕打ち。自身が管理職になった今、今度は自身が加害者として再現してしまう。悲しい連鎖ですよね。kuniには想像できませんし、管理職時代にこんなこと出来ませんでした。実は今でもたまに夢に見るんですよね、恫喝や一方的な攻撃で支店の営業員が壊れていくシーン。

社長の会見も

郵政3社長の会見も悲惨なことになったみたいですが、日本郵政の長門社長の発言にはかなり気になる部分がありました。グループのガバナンスに課題があるのでは?という質問に対し、

「日本郵政という持ち株会社からみれば、乱暴に言うと事件は現場で起こった。かんぽ生命、日本郵便の社長も経営問題と認識できなかった。情報が上がってこないのが今回の問題だ。」

この回答、皆さんにはどんなふうに聞こえますか?悪いのは現場、、、彼にとっては情報を上げてこないのが原因に見えるんでしょう。実はこれは結果であって、原因はそんな企業風土を改善することなく放置した彼らにあったんだと思います。

スマホの充電 年1回でOK IOWN(アイオン)グローバルフォーラム 80社超参加

NTTが米インテル、ソニーと組んで設立する次世代光通信基盤の国際的な検討や連携の場である「IOWN(アイオン)グローバルフォーラム」について、80社超の企業(うち日本企業は30社超)が参加を検討していると、12/17付け日刊工業新聞が伝えていました。

オールフォトニクス・ネットワーク

NTTはこれまで主にネットワークで使われてきた光技術を、端末やサーバーでの情報処理にも適用する「オールフォトニクス・ネットワーク」の実現を目指しています。今年10月末にそのための業界団体、IOWN(アイオン)グローバルフォーラムの設立を表明していたんですね。このフォーラムへの参加を検討する企業が80社を超えてきたという報道です。

オールフォトニクス・ネットワーク。簡単に言っちゃうと、PCやスマホからネットワークに至るまですべて光化するというもの。当然、PCやスマホの中でも光半導体が情報処理しちゃうんですね。電力効率が100倍、伝送容量が125倍、伝送時の遅延は200分の1になるんだそうです。

「エレクトロニクスからフォトニクスの世界へシフトすることで社会課題を解決」と説明されてましたが、、、いまいちピンときません。

スマホの充電は1年に1回だけ

素人でも分かりやすい例として、スマホの充電が紹介されてました。1回充電したら1年間使えるスマホも夢ではないそうです。他にも、瞬きする間(約0.3秒)に2時間の映画1万本がダウンロードできるとか。。。これは確かに凄いです。

このような革命的な情報処理能力をもたらすオールフォトニクス・ネットワーク。仕様の確定は2024年、商用ベースでの実現は2030年頃を予想しているとのこと。日本の電機産業復活のきっかけにしてもらいたいですね。

電話勧誘販売業者 株式会社広報堂 に対する行政処分について

消費者庁は、電話勧誘販売業者である株式会社広報堂(本社:東京都港区)に対し、3か月間、電話勧誘販売に関する業務の一部を停止するよう命じました。自分の作品を褒められたり、社会のために役立つなどと言われ、うれしく感じる気持ち、心理などにつけ込んだ手口で、 「褒め上げ商法」と呼ばれるものです。

承認欲求につけ込む

最近、承認欲求という言葉をよく聞きます。「周囲から認められたい」、「自分を価値ある存在と認めたい」という欲求ですね。日本人には特に強い欲求のようで、様々な行動が承認欲求に基づいているといわれます。今の時代は個々人が簡単に情報発信できるようになりましたから、なおさらでしょう。

その承認欲求につけ込んで、「あなたの作品、素晴らしいですね」、「是非〇〇新聞に掲載しましょう」。と電話で勧誘され、数十万円というお金を振り込ませるのが一般的な手口のようです。

消費者庁の処分内容によると、褒め上げる対象の主なものは、短歌、俳句、絵画等の作品ということです。「年金受給者である消費者に対し、その年間の収入等に比して高額に及ぶ本件役務提供契約の締結について勧誘をし、顧客の財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行っている。」といった指摘がされてますので、基本的には高齢者を狙っているようです。

実は昔から・・・

まさに最近生まれた商法かと思いきや、実は意外に昔からある手口のようです。日本経済新聞の過去のニュースでは、2011/8/9付で「消費者庁がアートライフ、現代通信、東宝堂、東広通信、アドクリエイトの5社に対して9カ月の一部業務停止命令を出した」なんてのが出てきます。

今も昔も、周囲から認められたいという欲求に変わりはないということですね。kuniなんかもこうしてブログなんか書いてると、多くの方に読んでもらいたいわけで、、、騙されてしまう気持ちよく分かります。気を付けないと。