第一商品 日本版SPAC?

以前当ブログでも取り上げた第一商品。取締役会長、代表取締役社長、経理担当役員などが関与した不正会計で行政処分を受け、売上高の96%を占める貴金属、農産物など主な商品先物取引業を他社へ譲渡。ほぼほぼ箱企業になってしまいました。

株価はというと

直近開示された2021年3月期 第3四半期決算短信では、稼ぎもなくダラダラと赤字を垂れ流している様子が見て取れます。株価の方もこのところは160円を挟んで上下10円程度の動き。ほぼ無風状態でした。

そんなところへ、2月下旬の数日間出来高が増加。今月に入ってまた死んだふりしてますが、何やら仕込んでいるというか、仕組んでいる輩でもいるのかといった感触です。出来高の増加はその後の株価上昇につながることが多いので、当然この後の株価動向が気になります。

昨年末の第三者割当増資

昨年12/16、「第三者割当増資による新株式発行の払込完了に関するお知らせ」が公表されています。385万株(@149円)で5億円強の調達になりますが、実際にはクラウドバンク株式会社11株の現物出資を受ける形だったようです。

クラウドバンク株式会社は日本クラウド証券が運営するクラウドファンディングのようなんですが、内容がいまいちよく分かりません。ただ、次の段階で両社から役員が第一商品に入ってきたり、クラウドファンディング事業を第一商品が取り込んでみたり、、、といったことになれば、ほぼ裏口上場の完成ですね。

タイトルには日本版SPACなんて書きましたが、箱だけで上場しておいて、後に出資先企業に化けることで、煩雑な上場審査を避け、時間とコストを節約するという面では、裏口上場も似たようなもんですよね。第一商品の今後の動向、注目しておく意味がありそうです。

サンデンホールディングス(6444) ハイセンスの傘下に

サンデンホールディングスは3/1、第三者割当増資による新株の発行を公表しました。割当先は、中国ハイセンス・ホーム・アプライアンス・グループが設立予定の特別目的会社です。このニュースを受け、翌日のサンデン株式はストップ安の383円(80円安)となりました。

第三者割当増資の概要

割当先として出てきたハイセンス。そう、テレビやエアコンなどの生活家電、見たことありますよね。あの中国の家電メーカーです。シャープに続いてサンデンも外資傘下の企業に。シャープは台湾企業でしたが、サンデンは中国企業。どうなりますやら。

発行価額は1株当たり256円で、発行価額の総額は214億円です。で、今回発行される新株は8,362万株。同社の現在の発行済株式数が2,800万株ほどですから、なんと3倍の新株が出てくることになります。この大規模な希薄化を嫌ってストップ安ということのようです。

そういえば、昨年6月に事業再生ADR手続きの申込みを決議し、事業再生実務家協会に対し申請を行い、同日付けで受理されたことを公表した、、、その翌日もストップ安でした。(事業再生ADRについては過去の記事で説明してますのでご参照ください)

経営陣は?

先述のシャープは2016年に鴻海精密工業の子会社となり、業績をV字回復させました。その後、足もとではもたついてるみたいですが。親会社No2が社長として乗り込んで、コスト管理を徹底していったんでしたっけ。役員報酬で揉めたどこかの自動車会社のようですね。

サンデンの場合もやはり、ハイセンスから経営陣が乗り込んでくるんでしょうね。3/1の開示では、第三者割当と臨時株主総会の開催に関する情報のみでした。が、いずれ近いうちに経営陣の交代に関する開示も出てきそうです。

大豊建設 従業員の不正行為(その3)

従業員の不正行為を調査していた大豊建設は3/1、外部調査委員会の調査報告書を受領し、これを公表しました。結論から言うと、不正の⾦額の合計は291百万円で、同社の 2021年3⽉期第3四半期決算における損益に与える影響としては66百万円の利益増だそうです。

調査対象と結果

委員会が調査対象としたのは、東北支店、東京土木支店、東京建築支店、名古屋支店、大阪支店、九州支店の6拠点。どうやら、この拠点には総務部が設置されており、本社に依存することなく独立して経理処理を行うことが可能だからということのようです。

で、東京土木支店を除く5拠点で原価の付け替えという不正行為が確認されています。さらに、大阪支店では材料納入業者に対して、契約金の水増し又は架空発注を行い、当該水増発注分の金額を私物の購入代金に充当するという行為が行われていました。

材料納入業者に対して私物(家電製品)の購入を指示し、プール金で作業所長と係長の私物を購入させ、自宅に配送させていたといいます。その金額はなんと662千円。大型テレビでも買わせたんですかね。こんな金額で何でこんな決定的な不正を?

結果に違和感

行為者が前任者又は他の支店から当該不正行為の方法を聞いたなどの事情は確認されなかったとのこと。不正行為は各支店で行われているが、いずれも各支店の建築部で独立に行われたものである。と、報告書は書いてるんですが、、、。

こんな同じ手口の不正が並行して5支店で行われているのってあまりに不自然。この手口、どこの会社でもやってる(業界スタンダード)ってことでしょうか。

前回不正事件の再発防止策も全く機能しておらず、前回同様の会計不正が確認されたわけです。にもかかわらず、総務部を置いてない支店は調査対象から外し、不正が確認された支店の部長クラスから下だけを切ってお終い。って感じに見えてしまいます。

【過去記事の訂正】
建築部長を本社部門の部長と推測しましたが、建築部長は全支店に1名配置されていました。

サクサホールディングス 役員等責任調査委員会の調査報告書を公表

サクサホールディングスは2/26、役員等責任調査委員会の調査報告書を受領し、これを公表しました。同社における一連の不正や会計処理の問題について、取締役等に善管注意義務違反等に該当する行為があったかどうかを調査してきました。調査に4カ月かかりましたね。

調査結果をザックリと

調査の対象者は取締役、監査役、会計監査人です。このうち、会計監査人(EY監査法人)に関しては、善管注意義務違反は認められないとしています。また、5名の監査役については、うち2名(社内監査役)につき善管注意義務違反があったと結論付けています。

問題は取締役です。上位の人だけ見てみると、サクサホールディングスの当時の社長については合計3つの事案につき、善管注意義務違反が認められるとしています。同じく副社長については、合計5つの事案について、善管注意義務違反が認められると。

ということで、結果6名の取締役について、複数の事案における善管注意義務違反を認定していて、うち2名については故意による任務懈怠責任も認められるとしています。ちなみにここで事案といっているのは不正の事案のことで、全部で13事案という整理になっています。

同社の損害

上記のような取締役等の責任により発生したと考えられる損害については、会計監査人の追加監査報酬、サクサホールディングスにおける弁護士相談費用、特別調査委員会と役員等責任調査委員会の調査費用としています。

同社としては、今回公表された調査報告書に基づき、6名の取締役、2名の監査役に対して、上記費用にかかる損害賠償請求その他の法的措置を行うかどうかを決定することになります。

Casa(7196) 特別調査委員会 調査報告書を公表

週刊文春に、社長のパワハラや反社会的勢力との繋がりを追及された東証一部上場のCasa。特別調査委員会を設置し調査を実施していましたが、2/26、最終調査報告書を受領し公表しました。報告書の調査結果を受けて、文春はどう動くのでしょうか。

報告書の概要

調査の結果、同社代表取締役と反社会的勢力との間には一切の関係が認められなかったとしています。また、同じく代表取締役による役職員に対するパワーハラスメントも、認められなかったということです。

そもそも報道された情報は、同社元取締役のA氏が文春に提供したもののようです。取締役としての職責を果たすことができず、子会社の代表取締役に。また子会社においても同様に職責が果たせなかったみたい(報告書は任務懈怠と言い切ってます)。

監査役会からもそのことを指摘されており、社内でも相当評判悪かったようですね。その責任を追及されたA氏が、子会社代表取締役及び同社執行役員を辞任することを申し出た社長室で、逆切れして代表取締役に暴力をふるったという経緯なんだそうです。

代表取締役

暴力を受けた代表取締役、売り言葉に買い言葉って場面での発言が文春に取り上げられたようで、報告書では次のように表現されています。「某週刊誌の記事は、A氏の言い分に沿って編集され、恣意的に当社代表取締役の発言の一部だけを取り上げたものであり、事実関係を正確に報道したものとは認められない。」

なお、この報道でCasa株式は大きく下げましたが、A氏は報道の一か月ほど前に同社株1万株を売り抜けていたという話まで出てきます。

いやぁ、、、文春が描いていた代表取締役像と報告書が描く像がこれほどまで違うとはねぇ。驚きの結果です。物事、一方向からだけ見て、判断するのは危険ですね、ホント。反省、反省。