アジア開発キャピタル 第三者委員会を設置

アジア開発キャピタル株式会社は4/9、「第三者委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。同社子会社を通じて、同社の元取締役が関係する複数の会社との間に不可解かつ不適切とも思われる取引が多数実在していることが、社内調査によって確認されたとのこと。

アジア開発キャピタル

投資先の事業活性化を目的として、経営にも関与するハンズオン型投資(対象企業の経営に深く関与する投資)を手掛ける企業だそうです。投資先の主な事業は金融事業とバイオマス燃料供給事業。

もともとは日本橋倉庫という会社でしたが、2003年にファンド資金で買収され、企業再生ファンドに仕立て直されたと。社名も日本橋倉庫 → 2003年、NDB → 04年、ジェイ・ブリッジ → 10年、アジア・アライアンス・ホールディングス → 15年、アジア開発キャピタル。と、ここまで調べて、、、取り上げるんじゃなかったと後悔。あのジェイブリッジですかぁ。

不可解かつ不適切な取引

一応何が起きてるのかくらいは整理しておきます。同社の元取締役2名が在籍していた2016 年1月から2021年1月までの間に、子会社トレードセブンを通じて複数の会社との間に、不可解かつ不適切とも思われる取引が多数実在し、架空取引のみならず、架空売上を計上した疑いが判明したそうです。

現状で疑義のある取引の総額は、売上計上ベースで約15億円程度とのこと。これらの不適切な会計処理の事実関係について、類似事象の有無も含めて、中立・公正で客観的な調査等を実施するため、第三者委員会を設置しました。

この会社、以前から金融マフィアのような人々(逮捕者もいたと思います)に食い物にされてきた(kuniの印象です)んですが、今回は元衆議院議員で、政治・経済の専門家としてテレビ等にも出演されていたA氏が中心人物のようです。さて、どのような展開になるんでしょう。

曙ブレーキ工業 検査不正(その3)

曙ブレーキ工業は4/9、検査データの改ざん問題で品質管理の国際認証の一部が取り消されたと発表しました。国内の6工場のうち4工場が品質管理の再発防止策が不十分と判断されたとのこと。取り消されたのは、ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド社による「IATF16949」と呼ばれる認証です。

おさらい

ブレーキの世界大手、曙ブレーキ工業は2/16、ブレーキやその部品で検査データの改ざんなど、約11万4000件の不正があったことを公表しました。日常検査とは別に、顧客から指定された検査項目に関して行う定期的な検査で不正が起きていました。

この不正は2001年1月から行われていて、定期報告データ総件数19万件に対して、11万件が不正なデータとなっていました。曙ブレーキ山形製造における不正を新経営陣が認識して以降、1年以上公表を避けており、同社の開示に対する姿勢も問題でした。

認証取り消し

ロイド レジスター社による認証取り消しは、曙ブレーキ山形製造(株)、曙ブレーキ福島製造、曙ブレーキ岩槻製造(株)、曙ブレーキ山陽製造(株) の4拠点ということです。これら拠点でのIATF16949の認証が取り消されたという事実だけを開示したわけです。

適時開示というのは、株主や投資家が投資に関して参考となる情報を得るためのものです。この認証がどういうもので、取り消されたことで同社の事業にどういうことが起きる可能性があるのか。投資家の目線で説明する必要があるのでは?と思います。

日経が取り上げた記事では、「自動車メーカーと『新たに』取引する際、部品の受注ができなくなる恐れがある。」と書かれていました。対して曙ブレーキは、「一部の認証が取り消されても部品の品質に問題はなく、自動車メーカーとの『既存の』契約が打ち切られることはない」とも。開示ではこういうことを説明せずに、メディアの取材に対しては回答するという姿勢。どうなんでしょう。

ダイキョーニシカワ(4246) 連結子会社エイエフティーの工場火災

ダイキョーニシカワは4/8、「当社関係会社火災に係る業績への影響額及び業績予想の修正に関するお知らせ」を公表しました。昨年11/16に発生した同社連結子会社エイエフティー株式会社(滋賀県蒲生郡竜王町)における火災の、今期決算に与える影響についての開示です。

決算への影響

結論からいうと、火災事故に起因する特別損失は受取保険金でほぼ相殺できるようで、その他の原価低減、固定費低減活動などにより、営業利益、経常利益ともに、前回予想を大きく上回る見込みになったようです。

エイエフティーの火災

ダイキョーニシカワの開示ではエイエフティーを関連会社と呼んでいるんですが、出資比率は65%。有価証券報告書では連結子会社という整理になっています。これはちょっと謎。

火災は、第1工場 第1塗装ラインで発生し、人的被害はなかったものの、塗装ライン(約1,400㎡)が焼失したそうです。出火原因については継続調査中としています。この火災により、35%出資しているダイハツの2工場が、部品欠品のため11/16~11/29まで生産停止となりました。

樹脂部品を提供

エイエフティーが製造した樹脂部品をダイキョーニシカワがダイハツ等の完成車メーカーに納入しているようです。ホームページで見ると、「高熱と振動に絶えずさらされるエンジンルーム。従来樹脂化が難しかった部品にも、厳しいテストをクリアした私たちの製品が採用されています。」なんて書かれてました。

東洋紡が安全認証不正取得していた樹脂製品も耐熱性に関する認証を取り消されてましたね。上記のような用途で使われていて、耐熱性に問題あり、みたいなことになると困った話です。話が脱線してしまいましたが、、、。

ソウルドアウト(6553) 略式起訴(罰金)

昨年7月、福岡営業所の従業員2名が医薬品医療機器法違反(未承認医薬品の広告禁止)の疑いで逮捕されたソウルドアウト。3/31、同従業員1名と同社が薬機法違反として略式起訴(罰金)とされたことを公表しました。もう一人の従業員は不起訴処分です。

事件の概要

医薬品ではない健康食品(ステラ漢方社のサプリメント「肝パワーEプラス」)について、記事形式のインターネット広告で効能効果を宣伝したという事件。第三者の体験談を装った記事風の広告で、「肝臓疾患に対する予防効果がある」などと医薬品的効果を表示していました。

略式起訴とは

検察が裁判官に対し「この被疑者を裁判にかけて判決を下して下さい」と申し立てることを起訴といいます。略式起訴は「この被疑者は罪を認めているので、どれほどの罰金に処せば良いのかを決めて下さい」と申し立てること。つまり裁判は行われません。略式起訴は100万円以下の罰金・科料に相当する事件であることが要件です。

まったく開示せず

ソウルドアウトは昨年7/21に第一報を開示して以降、略式起訴になった3/31の開示までの間、まったく開示をしていません。それどころか、第一報は「当社従業員に関する報道について」というタイトルで、関西テレビの報道が事実であることを認めただけ。

結局最後まで、同社従業員がどのような犯罪を犯したのか、具体的な内容にはまったく開示していないんですね。今回の開示では再発防止策を載せていますが、発生した犯罪の内容も開示せず、再発防止策を公表されてもねぇ。

なお、同社が行った調査によると、「事件に関与した従業員2名以外の当社役職員が、本件に関与した事実は認められておりません」。だそうです。

モブキャストホールディングス ゆとりの空間で個人情報漏洩

モブキャストホールディングスは3/31、「当社子会社が運営するオンラインショップへの不正アクセスによる個人情報漏えいに関するお詫びとお知らせ」を公表しました。同社の子会社である株式会社ゆとりの空間において、不正アクセスにより情報漏えいの可能性があることが判明したとのこと。

株式会社ゆとりの空間

モブキャストホールディングスは、設立当初はモバイル向けの映像制作・配信事業とゲーム開発・配信事業を手掛けていたようですが、今ではスマホゲームと栗原はるみの雑貨販売、企画制作が軸に。栗原さんってあの料理研究家の栗原さんみたいです。

そして同社の子会社にゆとりの空間があります。栗原さんと、ご長男の二人が代表取締役ですね。調理用品やキッチン雑貨などの企画・製造・販売。レストランの経営もされてるみたい。

事故の概要

ゆとりの空間が運営しているウェブサイト、「ゆとりの空間オンラインショップ」において、システムの一部の脆弱性を突いた第三者による不正アクセスを受け、新規会員登録時に顧客が入力した個人情報(5,009件)が漏えいした可能性があるとしています。

2020年12月8日~2021年3月9日の期間中の新規会員登録顧客で、住所、氏名、電話番号、メールアドレスなど(他にもいろいろ)が漏洩した可能性が。通常、クレジットカード情報は大丈夫というケースが多いですが、この事故では「現在確認中」としています。

なんでだろう

ページ遷移の異常に関する顧客からの指摘が発見の端緒になりました。指摘を受けたのは1/27。調査を開始し、3/9、第三者機関からの報告により、新規会員登録ページの改ざんが判明したとしています。

調査の開始時期が書かれていませんが、ページの改ざんを把握するまでに1か月以上も?初期対応に失敗しているようですね。当分ほったらかしに?