岡藤日産証券HD 不正アクセスの被害公表 トレードワークスも

岡藤日産証券ホールディングスは6/10、「不正アクセスによるオンライントレードシステムの障害発生に関するお知らせ(4)」を公表しました。やはり、システムをASPで提供しているのはトレードワークスだったようで、同社も同日、「当社提供システムにおける不正アクセス事象の調査結果のご報告」を公表しています。

被害の状況

第三者の外部専門機関による調査を行った結果、これまで実施した調査においては、情報へのアクセスや収集、内外部への転送等、流出を示唆する痕跡は確認できなかったということです。以下、判明している事実です。

不正アクセスの状況全般、データ通信記録、個人情報の保管状況、及びデータ流出経路の可能性の考察の結果、不正アクセスにより暗号化されたファイルに個人情報は含まれていなかった。

持ち出し可能であったデータは存在するものの、これらが持ち出されたという痕跡は確認されなかった。データベースに保管された個人情報が持ち出された可能性は極めて低いものであると考えられる。

システムの状況

ファイルを暗号化されるという被害はあったものの、個人情報は無傷で、持ち出された可能性もほぼなし。どうやらそういうことのようです。まぁ、不幸中の幸いでしたね。

ただし、その後のシステムの状況についてですが、「システム復旧、サービス再開時期につきましては、決定次第、改めてお知らせいたします。」となっています。トレードシステムはまだ復旧してないんですね。

NTT 特別調査委員会による調査報告書

NTTは6/7、「特別調査委員会による調査報告を踏まえた今後の対応について」を公表しました。同社の経営層と省庁関係者等との会⾷の実態について調査してきた件ですね。3/9からでしたから、約3ヶ月間の調査ということになりました。

調査結果の概要

NTTグループ(持株、東、⻄、コミュニケーションズ、ドコモ、データ)の経営陣と総務省課⻑級以上の職員及び総務省の政務三役との間の会⾷を対象範囲として調査しています。その結果、費⽤を等分負担していなかった会⾷は29件あったとのこと(政務三役との会⾷:5件、国家公務員との会⾷:24件)。

これらの会食において、総務省幹部による便宜供与やNTTグループからの便宜供与の依頼等があったとは認められなかった。ということです。まぁ、予想した通りの結果です。ドコモの完全⼦会社化や、ドコモによる携帯電話料⾦の値下げなどについて、⾏政の判断が歪められたという事実も確認されなかったとのこと。

ただし、会⾷のうち、総務省幹部が参加しているものは、当該総務省幹部が、国家公務員倫理法に基づき定められている、国家公務員倫理規程に違反する結果を招いたものであり、NTTグループ経営陣は、その法令違反を誘発・助⻑した点で、⾮難を免れることはできない。また、総務省政務三役が参加しているものは、国⺠の疑惑を招きかねない会⾷であった。としています。

想定外のこと

見事に想定通りの結果となっているわけですが、想定外のこともありました。発生原因のところで触れられています。「国家公務員倫理法・倫理規程及び⼤⾂規範に沿った会⾷を実施するための具体的なルールを定めた社内規程が存在していなかったこと」

上場企業なら接待・贈答に関する規程、みたいなタイトルで、公務員やみなし公務員との付き合い方について、普通ルールがありますよね。それもNTTほどの大会社で、かつNTT法にも縛られる特殊な法人のくせに。このことが唯一想定外の情報でした。これってホント?

株式会社ヤギ 再発防止策 日軽金HD 特別調査委員会を設置

株式会社ヤギは6/9、「不適切な取引に関する再発防止策等に関するお知らせ」を公表しました。また、同日、日軽金HDは、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ 」を公表しています。あっ、両社の間には何も関係はありません。二つの話を一つの記事にしただけです。

株式会社ヤギ

5/31に「社内調査委員会の調査報告書」を公表した株式会社ヤギ。ヤギに原糸を納入するAという企業の営業担当者が主導して、数社を巻き込み加工糸偽装取引を行っていたということでした。

で、ヤギの担当者(福井支店長)はというと、社内ルール違反は認められるものの、A社が主導する不適切取引に巻き込まれたという整理になっていましたね。

今回の開示は再発防止策の公表です。内容は教科書通りというか、普通な感じ。営業部門、管理部門、内部監査部門それぞれに統制力を強化する、いわゆるスリーラインディフェンスを強く意識したものになっています。

内部通報制度の充実にも言及していていい感じです。が、その前にレポートラインの整備に触れてほしかったと思います。中間管理職たちはちゃんと機能しているでしょうか。多くの企業で中間管理職が機能せず、経営と従業員の間に壁(乖離)ができてしまってます。

日軽金HD

5/17に「子会社の日本軽金属におけるアルミ板製品のJIS認証の取消しについて」を公表した日軽金HD。認証不正取得の件ですね。JIS認証違反調査委員会を設置して総点検をしていましたが、ここへきて特別調査委員会を設置。JIS認証違反調査委員会の調査資料等を引き継ぐようです。

認証不正取得のグループ会社等への広がりが見えてきて、社内委員会では手に負えなくなってきた。そんな感じでしょうかね。

サイバーリンクス(3683) これで適時開示?

サイバーリンクスは6/9、「サイバーリンクスとシーネット、物流DX分野で連携開始」を公表しました。同社ホームページでは、「適時開示」というマークを付した形でこの公表文が掲載されているんですが、、、。

EDI2024年問題

2024年から2025年にかけてNTT東西は固定電話網(PSTN)をIP網へ移行する予定です。IP網への移行に際し、ISDNサービス(INSネット/ディジタル通信モード)は2024年のサービス終了が予定されており、新しいEDI通信へのスムーズな移行が求められているということです。

EDIとはElectronic Data Interchangeの略で、日本語では電子データ交換。コンピューターネットワークを用いて、受発注・決済などの業務用文書をやりとりすることだそうです。そのEDIが利用してきたISDNがなくなってしまうのでさぁ大変。というのが2024年問題です。

シーネットが提供する倉庫管理システム「ci.Himalayasシリーズ」と、サイバーリンクスが提供するEDIの効率化を支援する「クラウドEDI-Platform」との連携を開始したというニュース。この連携により、「ci.Himalayasシリーズ」において個別の設備投資を行うことなく、EDI2024年問題への対応を行うことができるということらしいです。

適時開示

社会課題の解決、良い話ですね。株式市場にも伝わり、サイバーリンクス株は急騰しました。が、しかし、TDnetで探しても一向に出てきません。EDINETにもありませんでした。kuniが知ったのはみんかぶという会社が出しているニュース。10:30頃に開示があったとされているんですが。

冒頭にも書いたように、同社ホームページでは「適時開示」のマークを付けて掲載されています。いったいどこに開示したんでしょうかね。こういうの適時開示と呼べるんでしょうか。

理研ビタミン 例の連結子会社 青島福生食品有限公司を譲渡

理研ビタミンは6/8、「連結子会社(青島福生食品有限公司)の異動(持分譲渡)および当該子会社に対する債権放棄に関するお知らせ」を公表しました。昨年、不適切な会計処理ですったもんだした青島福生食品有限公司をやっと切り離します。

おさらい

昨年の夏、中国子会社の青島福生食品におけるエビの加工販売取引の実在性が確認できなかったり、棚卸資産の過大計上の疑義が出てきたりと、決算発表は遅延するわ、上場廃止の危機にも見舞われました。時間の問題だろうなとは思っていましたが、決断したようです。

譲渡を決定

「青島福生食品の業績悪化および不適切な会計処理を契機として、グループ内における同社の位置付けについて検討を行い、青島福生食品の全持分を譲渡することが最善である」、と判断したようです。正解だと思います。

譲渡価格は1人民元ながら、10億円程度の債務弁済を受けるようです。青島福生食品に対する貸付債権については、過年度に貸倒引当金を計上していることもあり、譲渡と債権放棄による業績への影響は軽微で済むようです。

さてと、

ここまでの判断は大正解だと思います。今後米中冷戦が本格化する中、中国連結子会社なんぞ何の役にたちません。リスク以外の何物でもないと思います。開示文書にもありましたが、既に当地での人件費は全然安くないんです。

今後の代替生産拠点をどうするのかは言及されていませんが、労働の質が高い国内に生産拠点を戻すべきだと思います。このニュースで株価は上がるのかな?興味ありますね。