共和薬品工業 業務停止命令

共和薬品工業(大阪市)は3/28、兵庫県から業務停止と業務改善を命じられたと発表しました。他にも同社の拠点がある大阪府や鳥取県においても、製造販売停止や業務改善命令を受けています。後発薬(ジェネリック医薬品)メーカーの不祥事が後を絶ちません。

共和薬品工業

日本において、後発医薬品を販売している企業は200社近くあるようで、国内売上高の1000億円以上は、沢井製薬、日医工の2社のみだそうです。500億円以上では、東和薬品、ニプロ、明治HD、三和化学研究所を加えて6社のみで、沢井製薬、日医工、東和薬品の3社は「ジェネリック御三家」と呼ばれているみたい。

つまり共和薬品工業はこの業界でのいわゆる大手ではないみたいですが、このところ続いている後発薬メーカーの不祥事を見るにつけ、気になる話題です。

不祥事

昨年には、小林化工や日医工で品質不正が相次いで発覚し、両社が業務停止命令を受けました。そして今回は共和薬品工業。

同社工場では、成分または分量が厚生労働省に届け出た製造販売承認書とは異なる薬を生産していたといいます。承認書に記載のない添加物を使ったり、製造記録を改ざん・捏造したりしていました。少なくとも10年前から不備が続いていた品目もあったようです。

こうやって一部の後発薬メーカーが信用を失い、その反動で沢井薬品や東和薬品など他社に注文が殺到してるんだとか。しかし、怖いのは後発薬メーカーにおける不祥事の更なるドミノ倒しです。収益構造等は似たようなもの、他の企業でも同じような不祥事がまだまだ出てくるかもしれません。

決算短信と四半期報告書の一本化

日本経済新聞は3/26、「決算書類の一本化を検討 短信と四半期報告書 年4回開示維持」という記事を掲載しました。証券取引所の規則に基づき四半期ごとにまとめる決算短信と金融商品取引法で企業に開示を義務付けている四半期報告書の一本化ですね。

やっとかね

当ブログでもどちらの決算書類を中心に書くのか、よく迷ってしまったりするんですが、この2種類の決算書類は不要だと思います。やっとこういう議論が始まったのかって感じで、さっさとしろやって思ってます。

金融商品取引法で定められている書類(四半期報告書)があるわけで、取引所がさらに別の決算書類を要求する必要ないでしょ。というのが本音です。

ただ、日経の記事によると、「政府は2つの書類を1つにまとめることや重複する内容の削減といった負担軽減策を検討する。」とあります。重複する内容を削減ってことは、2つの決算書類の存続も考えているということのようですね。

これって、企業側の負担軽減にはならんでしょ。重複する内容なんてコピペで良いわけで、ビミョーに別のことを要求されている部分が企業側の負担なわけです。いきなりつまらない議論になってしまいかねません。

まずは法律が求めている決算書類だけにする。で、投資家等にとって不足するものがあるなら、金商法を改正して項目を追加すればよいのではないか、と思います。取引所の規則なんて速攻で改正できますし、政府レベルでダラダラと議論するような話ではないと思うのですが。

ちなみに、四半期ごとの業績開示の廃止については、長期的な課題としているようです。

株式会社ハイパー 原価の付替えや架空売上も

2/14、「2021年12月期決算発表の延期及び特別調査委員会設置に関するお知らせ」を公表し、過去の不適切な売上処理について調査を進めているハイパー。3/31には有価証券報告書の提出期限延長を申請し、承認されています。

不正の概要

これまで、「決算発表に向けて準備を進めるなか、一部の取引において、不適切な売上処理が行われていた疑いがある」としか説明されておらず、詳細がまったく不明でしたが、延長申請のお知らせの開示の中で、少し不正の内容が見えてきました。

外注を伴う役務提供取引において、同社営業社員が過去から外注先への仕入れ債務の簿外処理や、別案件への原価の付替えによる売上原価の先送りなどを行っていたといいます。

さらに、外注先に対する簿外債務を精算するため、得意先から受け取る注文書を偽造することで架空の受注を計上して外注先に対する支払いを行い、検収書の偽造等による売り上げの架空計上を行っていた疑いがあることも判明したそうです。

原価の付替え、先送り、注文書や検収書の偽造による架空売上、、、。やはり予想通りかなりヤバいことになってきましたね。ただ、今回の開示においてもこれらの不正に関する金額等は一切説明されていません。

今後の予定

不正を働いていた同社営業社員の体調不良等により、予定していた頻度・時間でのヒアリングができていないとのこと。特別調査委員会の調査を完了させるためには、まだ相応の時間が必要としていて、4月下旬をめどに調査報告書を受け取る予定みたい。延長後の有価証券報告書の提出期限は5/2になりました。

日本フェンオール 認証不正 特別調査委員会も

日本フェンオールは3/31、「当社の一部製品に関する不正行為について」を公表しました。同社の火災報知設備における定温式スポット型感知器や中継器において、型式承認時に承認された部品とは異なる部品を一部用いて製造していたということです。

日本フェンオール

日本フェンオールは、熱をコントロールする「熱制御」を基礎技術として、火災警報器や火災消火システムなどの防災設備を手掛ける企業。防消火事業を主力とし、産業用防災向けを得意とする東証2部上場企業です。

不正の概要

2013年9月から2020年10月までの間に、同社で製造した火災報知設備における定温式スポット型感知器や中継器について、型式承認時に承認された部品とは異なる部品を一部用いて製造していました。

さらに、当該事実が発覚することを防ぐために、型式適合検定受検時に不正の手段を用いて型式適合検定に合格していたことが判明したということです。ちなみに、これらの製品は家庭用消防機器ではなく、一般家庭への設置はないとのことです。

まぁ、例によって、なんですが、同社は「当社では規格省令に一部不適合があるものの、現時点では機能喪失もなく、万一今後トラブル表示が発生した場合でも、適切な監視対応を行うことでご使用いただけると判断しております。」と表明。

不思議な開示

この開示、特別調査委員会の調査結果を受けたものなんですね。不正発覚時の開示はなかったということのようです。なもんですから、発生原因やら再発防止策、特別損失の計上、役員報酬の減額など、すべてセットで開示されてます。

ちょっと、やり方、雑ですね。去年だったかな、同じ業界のホーチキでも不祥事が表面化していました。消防法絡みの業界、闇が多そうです。

日野自動車 エンジン型式指定、初の取り消し

国土交通省は3/29、「自動車製作者に対する行政処分を行いました」というプレスリリースを公表しました。① 日野自動車株式会社、② トヨタ自動車株式会社、③ いすゞ自動車株式会社に対しての行政処分です。

処分の概要

国交省は道路運送車両法に基づき、日野自動車の大型の2種類、中型と小型で1種類ずつのエンジンの型式指定を取り消しました。1951年の同法施行以来、取り消し処分が実施されるのは初めてだそうです。型式指定は自動車の販売許可にあたるんだそうで、30日以降、指定を取り消されたエンジンの生産ができなくなります。

トヨタ自動車株式会社、いすゞ自動車株式会社は、不正のあった日野自動車株式会社のエンジンを搭載したバスを販売していたことから、行政処分を受けたという格好です。

やはりインパクトが

不正に認証を受けたエンジン、性能面でも問題ありということで、これはかなりインパクトのある不正だろうなぁと思っていましたが、案の定、エライことになってきたようです。日野自動車は3/29、2022年3月期の連結最終損益が540億円の赤字(22年3月期の最終損益はこれまで150億円の黒字を見込んでいた)になりそうだと発表しました。

この業績下方修正の要因は今回の不正問題だけでなく、過去を含めたリコールに伴う費用がほとんどを占めるとのこと。今後の出荷停止による販売減などは来期以降本格化するとみられています。

そもそも基準を満たせなかったことが不正につながったと考えれば、技術面の課題をクリアし、製造・出荷を再開するにはかなりの時間がかかるかも。その間赤字の垂れ流しに。