ニデック(旧日本電産) 過大配当 過大自社株買い

ニデック(旧日本電産)は6/2、「分配可能額を超えた前期の中間配当金、並びに前期の当社株式取得について」を公表しました。直近実施した中間配当が、結果として会社法および会社計算規則により算定した分配可能額を超過していたことが判明したとのこと。

ニデック

ニデックは、精密小型から超大型までの幅広いラインナップを誇るモータを中心に、モータの応用製品・ソリューションへも展開している企業。既存ビジネスの育成に加え、M&A(合併・買収)にも積極的に取り組んでいます。現会長の永守氏のワンマン経営で知られ、いい意味でも悪い意味でも同氏の影響がデカすぎる企業です。

違反の概要

2022年4~9月期の中間配当で、株主に1株あたり35円、計201億3,300万円を支払いましたが、これが会社法と会社計算規則で算定する分配可能額を超過していたということです。また、22年9月1日から23年3月31日までに実施した自社株買いでも、分配可能額を超過していたとのこと。

ん~、よく分かりませんが、同じ期に高額な中間配当と自社株買いを同時に行ったことで、分配可能額を超過してしまった、、、という理解で良いんだろうか。

しかし、日本電産がねぇ

まさかニデック(旧日本電産)でこんなことが起きるなんてね。当ブログでは過去にも過大配当の話題を取り上げたことありましたが、そういうのってコーポレートアクションの適切性等をしっかり検証できる人材や体制の不足している、中小型の会社なんですよね。

開示では、「同社の会計監査人であるPwC京都もこのことを見落としていた」、なんて恨み節も。外部調査委員会を設置して発生原因等を調査するようです。

永大化工 これまで開示してこなかった従業員の過労死巡る訴訟で和解

永大化工は6/2、「和解による訴訟の解決に関するお知らせ」を公表しました。2021年4月5日付けで、同社元従業員の遺族3名から同社ほか2名の安全配慮義務違反等を理由として損害賠償請求の支払いを求め提起された訴訟で、和解が成立したということです。

永大化工

永大化工は、異型押出成形加工を中心とするプラスチック製品のメーカーで、自動車用品関連と産業資材関連の2分野の製品を製造販売する企業。カーマットのリーディングカンパニーだそうな。東証スタンダード上場企業です。ちなみに先日火災事故で取り上げた永大産業とはまったく別の会社です。

訴訟の概要

今回の開示では、「2018 年4月5日に当社の元従業員が死亡した件について、当該元従業員のご遺族3名から、当社ほか2名の安全配慮義務違反等を理由として、2021 年4月5日付けで損害賠償請求100,057 千円(弁護士費用含む)及び遅延損害金の支払いを求めて訴訟の提起がなされていた」。とだけ、説明されています。

当時の報道では、亡くなったのは44歳の男性で、奈良事業本部(奈良県香芝市)で品質保証室長として勤務されていた方。ベトナム工場で発生した製品不具合のクレーム対応などに追われ、くも膜下出血で倒れて死亡したという事件だったようです。

約1億円の損害賠償請求で、9,000万円で和解ということです。ご遺族もまぁ納得、でしょうか。開示では亡くなられたいきさつについては伏せられており、同社ホームページの過去の「IRニュース」でも、死亡事件も訴訟提起に関する情報も公表されていません。

もうひとつ、「ニュース」というコーナーもあるんですが、こちらはなぜかリンク切れで閲覧できませんでした。徹底的に当時の情報を遮断しようとしてるんだろうか。なんか、ヤな感じです。

分かってるようでよく分からない 米国の債務上限問題

このところイエレン米財務長官は6月5日にも政府の資金繰りが行き詰まると警告していましたね。その後、5/31、債務上限停止法案が下院で可決され、デフォルト回避に前進、、、というニュースが。6/2には上院でも可決され、債務不履行(デフォルト)が回避されることになりました。

債務上限問題とは

債務上限に関する交渉がもつれ、米国債の格下げにつながったりして米国経済のみならず世界経済が大混乱に陥るなんてこともありました。それゆえ今回もかなり注目を集めてきたわけですが、そもそも債務上限問題って何?なんでこんなことが問題になるの?って、感じですよね。

連邦政府ができる借金の上限(発行できる国債などの総額)は法律で定められており、これが債務上限と呼ばれるものです。米国の会計検査院によると、債務上限として具体的な額を定めているのは、米国とデンマークの2カ国だけなんだそう。

日本には上限の定めなし

その他の多くの国では、債務残高の上限を国内総生産(GDP)比で何%という形で定めているようですが、日本では債務上限が定められていません。そのため、日本人にとっては債務上限問題って、いまひとつ肌感覚がなく、よく分からないモノになってしまうんですね。

毎度毎度散々もめながら、最後には妥協して上限の引き上げが行われる(1960年以来、上限は78回見直されているらしい)わけで、債務上限の規定なんか撤廃すればいいのに。と思うんですが、やはりそうした議論も実際にあるようです。

もちろん、際限なく債務を膨らませないように一定の規律を、というのは理解するんですが、そのために世界中を巻き込んで、金融市場まで大混乱させる政治ゲームは、、、勘弁してほしいものです。

株式会社ヤマウラ 連結子会社で不適切な支出 第三者委員会を設置

ヤマウラは5/30、「当社従業員による不適切な取引の疑義に関するお知らせ(第三者委員会の設置及び 第 64 回定時株主総会の継続会の開催方針)」を公表しました。見落としていたんですが、5/26に第一報「当社連結子会社の不適切な支出に関するお知らせ」が公表されています。

株式会社ヤマウラ

ヤマウラは、長野県中心に工場店舗・住宅の建設や橋梁・水道工事など「建設事業」に加え、工場施設、水管理機器などを設計・施工する「エンジニアリング事業」、自社開発不動産の売買賃貸など不動産に関する事業を営む「開発事業」を手掛ける総合建設会社。東証プライム上場企業です。

不正の概要

2023年5月9日、同社連結子会社の預金残高と帳簿残高との相違について、監査人より指摘を受けたことで不正が発覚したようです。5月23日にはヤマウラの従業員による連結子会社の不適切な支出があったことが判明したといいます。

同社連結子会社の、不適切な支出と懸念される支出総額は2023年3月期に約1,000 百万円。うち同連結子会社の不適切な支出と判明した支出が2023年3月期に約334 百万円だそうです。これまたデカいですね。まだ7億円の不明支出があるのも怖いし。

同社が「不適切な支出」と表現しているモノ、がいったい何を表しているのかは現在のところ不明。長野県駒ケ根市というのどかなアルプスの麓で、結構ド派手な不正となりそうな気配。そういえば最近世間を騒がせた警察官など4人の殺害事件も長野県でした。

デンカ株式会社 認証不正等が発覚 さらに持分法適用関連会社でも

デンカは5/29、「当社および持分法適用関連会社の樹脂製品における第三者認証等の不適切行為ならびに社外有識者による外部調査委員会の設置について」を公表しました。関連会社の方は、同社が筆頭株主として発行済株式の50%を保有する東洋スチレンという会社です。

デンカ株式会社

デンカは、電子材料をはじめとした高付加価値のファインケミカル製品を中心に展開する、三井系の中堅化学メーカー。セメントや医薬品、インフルエンザワクチンなどにも展開している東証プライム上場企業です。2015年に現社名に変更するまでは、電気化学工業株式会社という社名でした。

不正の概要

同社 ABS 樹脂の一部グレードにおいて、外注委託先の工場で本来必要となる UL (米国の第三者安全科学機関)工場認定を取得しておらず、UL 認証上不適合状態にあることが、同社監査により 2023年3月下旬に判明しました。現時点で、対象製品を使用した最終製品に関して事故等の報告は受けていないとのこと。

おそらくこのことが契機となり、グループ会社への横展開が行われ、東洋スチレンにおける不正が把握されたんだと思われます。

東洋スチレンでは、UL が定めている樹脂の難燃性能を示す規格に対して、登録時の組成を一部変更した製品を、UL への申請を行わずに製造販売していました。さらに、UL によるフォローアップ試験の際に、指定されたロットではない難燃剤を増量した材料で燃焼試験片を作成し提出していたことも発覚しています。東レで起きてた不正とまったく一緒やね。

こうした不正の発覚を受け、これらの事実関係の調査を徹底的に行い、原因究明と再発防止策の検討を客観的かつ実効的に行うため、社外有識者による外部調査委員会を設置することとなりました。