中国 日本への団体旅行を解禁したけど

8/10付けの日本経済新聞の記事。「中国、団体旅行を約80カ国解禁 日本や米国など10日から」。中国政府は10日、日本や米欧、韓国を含む世界78カ国・地域への団体旅行を新たに解禁したと発表したとのこと。

中国からの訪日客は復活するのか

コロナ前のピーク時、2019年の中国からの訪日客は約960万人。これに対して今年1~6月の中国からの訪日客は約60万人。足元の6月に関しては20万人ほど。また、2019年のデータで見ると、全訪日客の約30%が団体旅行客だったそう。

つまり団体旅行客を除いた訪日客約70%が今年上半期約60万人なわけで、一番増加している6月データを引き延ばしても半年で120万人ペース。この半分くらいが団体客として新たに増加するとしても、せいぜい60万人の増加ということになります。今年だけでいうと上半期60万人ですから通年で240万人ってとこ。

メディアは中国からの訪日客復活を話題にしたがっていますが、960万人が200万人強へ。「復活」とはほど遠いイメージです。もちろん、今後の中国経済が復活してくれば全然違った風景になるんでしょうが。

中国の現在の立ち位置

最近中国から聞こえてくるニュース。物価が停滞、もしくは下落傾向。若者の失業率が20%を超えてきた。まだまだ一面ではあるものの、バブル後の日本に似てきた感じがします。共産党が政治も経済もどうにでもできる国家のこと、1990年以降の日本と同じような展開になるとは言えませんが、やはり中国経済にしろ、訪日客にしろ、本格的な復活は厳しそうな気がします。

Abalance(Aバランス)株式会社 決算発表延期でストップ安?

Abalance株式会社は8/14の午前9時ちょうど、「2023 年6月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。同日公表予定でしたが、1週間延期して、8/21に公表予定だそうです。開示文には、「決算数値の確定に時間を要しているため」、という理由だけが記されています。

ストップ安

額面通り受け止めるなら、1週間延期しただけの話。にもかかわらず同社株はストップ安(-1,500円)。ここまで売る?って感じです。同日の取引開始と同時に公表されていて、その直後には前日より500円以上高い水準まで買われたんですが、その後反落してます。

よく見ると前日(先週末)にも出来高が急増して下落していて、決算発表の延期が一営業日前に洩れていたのでは?という感じはありますね。

投資家動向だけか、不正とかか

「決算跨ぎ」とかいって、決算の数字が公表される前日までに仕込んでおいて、好決算の公表と同時に売り抜ける、なんてことする人も多いらしいけど、それにしても極端すぎるような。1週間の延期と、期限を明示していることもあり、この後不正が発覚という続報が出てくる確率は低いと思われますが・・・。

それでも、重要な情報が漏れやすいという会社の態勢や、ここまで大きな下げを見せられると、どうしても不正等が潜んでいるのではと勘ぐってしまいます。

ディスカウントスーパーの「オーケー」 値下げ分の補填を業者に要請

8/11付の日本経済新聞は、「オーケー、値下げ補填を業者に要請 公取委調査受け中止」と報じました。なんでここだけこんなに安く販売し、こんなに勢いがあるんだろう。そんなスーパーでしたが、やはりその裏にはこういう不正が存在したという話。ビッグモーターと一緒です。

オーケー

「オーケー」は、神奈川県に本社を構えるディスカウントスーパー。会社設立は1967年、現在資本金28億円という企業です。従業員数は1万6千人を超え、売上高は5,500億円。関東を中心に142店舗を運営しています。これだけの規模、ネームを誇りますが上場企業ではありません。

今回調べて初めて知ったんですが、創業者一族はなかなか名門のよう。同社の創業者は三男で、長男は父親の事業を継ぎ、次男は居酒屋チェーン「天狗」のテンアライド最高顧問。そして四男はセコムの最高顧問なんだそう。凄いね。

不正の概要

公正取引委員会が独占禁止法上の優越的地位の濫用の観点で調査を進めてきたようで、この調査を受けオーケーは7月、取引先や公取委に対して、「競合店対抗値下げに伴う補填要請を取りやめた」と報告したそうです。数年間続いていたとされる不正、ゲロしてすべてを終わらせようとしたんですね。

日経がオーケーに対する取材で掲載していたコメントが笑えます。「公取委の問い合わせを機に見直しを行い、補填を取りやめることにした。今後ともコンプライアンスを一層徹底していく」。いやいや、「今後とも」じゃなくて、「今後は」でしょ。

株式会社ダイレクトマーケティングミックス 従業員の不正行為で決算発表延期

ダイレクトマーケティングミックスは8/9、「2023 年 12 月期第 2 四半期決算発表の延期及び第 7 期第 2 四半期報告書の提出遅延(見込み)のお知らせ」を公表しました。7/18付けで「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表していたんですね。見落としていました。

株式会社ダイレクトマーケティングミックス

ダイレクトマーケティングミックスは、ダイレクトマーケティングを中核事業とし、ダイレクトマーケティング業務で蓄積したノウハウや人材を活用したコンサルティングやビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)、人材派遣等も手掛ける東証プライム上場企業です。

不正の概要

同社の連結子会社である株式会社マケレボが受託しているアウトバウンドコール業務(お客様への架電業務)の一部において、顧客企業より業務運営に関する調査依頼が寄せられ発覚したようです。

マケレボにおいて、社内関係者へのヒアリングや稼働実態の確認、請求内容との照合といった社内調査を行ったところ、マケレボ社従業員が顧客企業の指定する業務管理システムのログイン履歴を不適切に作出したことによって、請求額が過大となっている疑義があるということです。

特別調査委員会を設置してから既に1ヶ月近く経っていますが、調査結果を同社として受領できるのは、現時点において早くとも10 月中旬(10月12日頃目途)になる見込みなんだそう。まだあと2ヶ月ですかぁ。こりゃ大変そうだ。今回の開示を受けて株価の方もメチャ下げてて、こちらも気になるところです。

高砂熱学工業株式会社 従業員の不正行為

高砂熱学工業は8/9、「当社従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。2018 年~2022年度の期間で、複数の従業員が架空の経費計上により、私的使用を目的に物品を受領していたということです。同社の損害額は総額約 15 百万円になるとのこと。

高砂熱学工業株式会社

高砂熱学工業は、空調設備工事業界のリーディングカンパニー。売上規模、高い技術力を背景とした取得特許件数は空調設備工事業界トップで、設計・施工、メンテナンスまで、空調を軸とした総合的なシステムエンジニアリングを提供する東証プライム上場企業です。

不正の内容

開示されたのは冒頭に書いたことぐらいです。年度の経費執行状況の検証過程において、過大な支出に疑問を抱いた担当者からの報告を受け、社内調査を行った結果、判明したんだそう。不正行為を行った当該従業員に対しては損害の回収を進め、社内規程に則り厳正に対処するとしており、今回の開示をもってすべてを終結させるようです。

「複数の従業員」って何人?役職とかは? 「私的使用を目的に物品を受領」ってどういう意味? 「過大な支出に疑問を抱いた」とあるけど、4年間も気付かなかったんだよね。などなど、突っ込みどころ満載のまま終わらせちゃっていいもんかねぇ。

同社では、北陸新幹線関連工事で談合事件起こしたり、羽田空港の天井手抜き工事なんかが話題になりました。いい加減な対処しかしてこないもんだから、不正の体質が抜けないんだよね。