ビジョナリーホールディングス(メガネスーパー) 顧客情報流出

ビジョナリーホールディングス(メガネスーパー)で、今度は顧客情報の流出が発覚したそうな。8/16日付の日本経済新聞が報道していました。眼鏡チェーン店「メガネスーパー」を運営するビジョナリーホールディングスは15日、氏名や住所などを含む最大約4,000件の顧客情報が流出した可能性があると発表しました。

まぁ、いろいろ出てくること

7月に、本来計上すべき店舗と異なる店舗に売り上げが計上されていた不適切な事案が発覚したため、第三者委員会を設置。第三者委員会の調査で眼鏡出張訪問販売などの売り上げが不採算店舗11店に不適切に付け替えられ、2023年4月期に減損損失が6700万円過小計上されていたことが判明。

こりゃ、もうあかんね、って感じの同社でしたが、今度は顧客情報の流出。前社長の主導で外部に譲渡した一部店舗のPOS(販売時点情報管理)システムからメガネスーパーの顧客情報が不正に閲覧されていたとのこと。

情報システムを生きたまんま誰かにあげちゃったってことでしょうか?やってること、何もかもめちゃくちゃですやん。こんな会社が上場しててええの?いやいや、もうあかんでしょ。まだ株価は100円超えてるけど。ん~、これ以上のコメントのしようがないっす。

オープンハウス 三栄建築設計をTOB(その2)

一昨日取り上げたTOBの件。TOBにかかる重要事実の公表前の三栄建築設計の株価の動きが怪しいと書きました。今日はこの件についてもう少し詳しく掘り下げてみようかと。反社と繋がっているとして信用を失墜してしまった三栄建築をオープンハウスが買収します、という話です。

株価の推移

8/14(月):1,601円(+48円)、8/15(火):1,716円(+115円)、8/16(水):1,843円(+127円)というのがTOB公表前の同社株の株価推移です。先日も書いた通り、TOBに関する公表は8/16の取引終了後の18:15でした。

ここに書いた3日間の出来高を伴った急上昇はいったい何だったの?というのが問題点です。調べてみると8/14や15日に、今回の反社とのかかわりを調べていた調査委員会が調査結果を公表しており、これに反応して株価が反騰したという見方もあるかもしれませんね。

大きく下げた株価が少し戻ったというのであればともかく、同社株はここ1年1,700円台を付けたことがありません。いわゆる新高値のゾーンまで買い進まれたことに対しては違和感しかないという感じです。そのため、インサイダー取引の存在を感じさせるわけです。

投資家心理として

6月に反社とのつながりが初めて公表された際、同社株は1,300円割れまで売られました。反社会的勢力とのつながりなどけしからん。と、材料に反応して同社株を手放された株主は1,300円程度で売却されたと思われます。

その後、悪材料出尽くしという感じで8月上旬にはもともと付けていた1,500円台を回復。やれやれという形で多くの株主がギリギリ損切かチャラってところで売却したでしょう。今回の反社の話題で株主は振り回されたわけです。

そして、TOBの材料が出ました。株主の多くが損切りさせられた一方で、反社の創業者はTOBにより2,000円台で売り抜けられることが確定したわけです。多くの一般株主が振り回され、損してしまったなか、反社はここ1年以上付けたことのない高値で売れちゃうんですね。反社丸儲けというこの構図、許されていいもんでしょうか。

拡大してきた魚介類の陸上養殖

8/16付けの日本経済新聞に、拡大しつつある魚介類の陸上養殖について伝える記事がありました。「漁獲競争が激化し、水産資源の枯渇が懸念される中、食料確保と環境保護の両面から『陸で育つ魚』に熱視線が集まる」、という触れ込みです。

紹介されていた企業と魚種

日経がまとめていた主な陸上養殖事業(上場企業のみ)は次のようなもの。マルハニチロ(サクラマス、アトランティックサーモン)、ニッスイ(マサバ、バナメイエビ)、JR西日本(マサバ、ヒラメ、トラフグ)、関西電力(バナメイエビ)、安藤建設(トラフグ)、ゼネラル・オイスター(カキ)といったところ。子会社での参入という意味では、三菱商事や三井物産の名前もありました。

最大の魅力は

陸上養殖の最大の魅力は、天然物や海上養殖において課題となる寄生虫リスクを低減できることでしょう。食中毒の防止などで付加価値を高めることが可能です。アニサキスの問題でサバはなかなか生でいただくことができなくなりました。前にも書いたけど、酢でしめても効果なし。

生ガキにあたるのも怖いですよね。ノロウィルスや腸炎ビブリオ、貝毒を含むカキを生で食べることで発生する食中毒です。そうしたウイルスや細菌を含む海水(や、食物連鎖)から切り離された陸上養殖は非常に魅力的です。

地方自治体にとっても

昨年夏に2ヶ月ほど田舎に帰省していたんですが、まぁそこら中に耕作放棄地やらがあふれていて、これだけの土地があったら陸上養殖の誘致ありじゃないか、と思いました。空き家や耕作放棄地に悩む地方自治体にとっても非常に付加価値の高い事業だと思います。

オープンハウス 三栄建築設計をTOBで完全子会社化

オープンハウスは8/16、「株式会社三栄建築設計株式(証券コード:3228)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」を公表しました。創業者の反社会的勢力とのつながりで、東京都公安委員会から暴力団排除条例に基づく勧告を受けていたあの三栄建築設計です。

創業者等の保有株式をTOB

今回公表されたのは、創業者とその親族が代表を務める企業が保有する全株式(発行済み株式の約65%)に対するTOBです。これにより、反社と繋がっていた創業者一族から完全に切り離されることになります。TOBが成立した場合はスクイーズアウト(強制買い取り)を実施し、三栄建築は上場廃止となる見通し。ちなみにTOBの条件は1株につき2,025円、買収金額は約430億円になるそうです。

反社認定(反社に繋がっている企業は反社会的勢力です)を受けた企業が、その世界との繋がりはもうないということを世に示すのはとても大変なことなんですね。なので、三栄側にとっても朗報、公安にとっても納得感のある展開です。反社との関係が世に出たのが6月中旬でしたから、2か月ほどで決まった買収劇です。

なんだか微妙な取引も

オープンハウスがTOBを公表したのが、8/16の18:15です。ところがその前々日辺りから三栄建築の株価は出来高を伴って急上昇。何なんでしょうこれ。一方のオープンハウス株は急落しています。反社とも縁が切れて、身綺麗になり、、、良いことずくめ。ともいかないようなこの不穏な株価変動。公安の次はSESC(証券取引等監視委員会)の出番か。

株式会社建設技術研究所 従業員の不正行為(その2)

8/4、「決算発表の延期及び社内調査委員会設置のお知らせ」を公表していた建設技術研究所。8/14には、「不適切な取引の発生及び当社業績に与える影響について」を公表しました。同時に、2023年12月期の業績予想の修正(上方修正)も公表しています。

調査委員会の結論

社内調査委員会の結果が出て、会計処理の前提となる事実関係の確認も済んだため、決算短信を公表し、業績を上方修正しましたと。良い話ばかりなもんだから株価は急騰。前日比430円高となりました。

が、しかし、今回の開示ではあえて不正行為そのものについてはまったく触れていません。上手いやり方があるもんですね。公表されたのは、「2008年2月から2023年4月までの期間に、従業員が実質的に経営する会社へ合計141百万円の不適切な外注取引を行ったもの」とだけ説明されています。

調査漏れ?

2021年に同社が公表した従業員の不正行為。この時は2015年から2020年まで行われた架空発注で資金を還流させ、他の業者からきて、建設技術研究所に常駐で働く同僚たちの処遇が酷過ぎるため、これを改善するために補填していたというものでした(詳細は過去記事を参照)。

現在開示されている不正は2008年から今年まで続くもので、外形的には前回とほぼ同様の手口のように見えます。2021年の調査で発見できなかった、調査漏れ事案ということになりそうです。このことは非常に問題だと思われますし、今回の開示では良い話ばかりを並べて、悪い話を隠している格好に見えます。

もちろん、調査結果の詳細は後日開示するとはしていますが。