ネクステージ 不正行為疑惑(その2)

昨日取り上げたビッグモーターに次ぐ業界第2位のネクステージ。疑惑が発覚した日、同社株式は2,770円の700円安(ストップ安)まで売られました。その翌日もさらに売られてますね。SNSなんかでもかなり辛辣な意見や情報が多いようで。

社長

ネクステージはビッグモーター出身の方が2022年2月から社長に就いているんだそうですね。これは知りませんでした。っていうか、ここまでこのことが話題にならなかったのが不思議です。経営者が一緒なら会社のカルチャーも一緒になってしまうのも頷けます。

大株主

ビッグモーターは非上場の会社でしたが、ネクステージは上場企業。開示されている大株主をみると、第5位に損保ジャパンが入ってます。持株比率は4.38%。さらに第8位には東京海上日動の名前も。持株比率は2.64%。

自動車の販売会社に損害保険会社が出資すること自体は、極めて自然な流れだったのかもしれません。しかし、その関係が協力ではなく、不正な癒着となって問題化している今では、自然な流れではなく、「ここもか」ってことに見えてきますよね。

(追伸) 保険事業の担当役員さんが亡くなった、なんて情報まで出てますね。不正事案との関係性については分かりませんが。

ビッグモーター騒動 業界2位のネクステージでも?

ビッグモーターに次ぐ業界第2位「ネクステージ」でも、同様の不正が横行している疑いがあることが報道され始めました。仕掛けたのは文春さんのようですね。複数の現役社員、元社員が告発を始めたということです。まぁ、十分予想できた展開ではありますが、、、

ネクステージ

ネクステージは東海北陸地方を中心に、全国で中古車・新車の販売および整備、保険代理店、買取、出張買取などの自動車販売に附帯する業務を手掛ける企業。ビッグモーターに次ぐ業界第2位の東証プライム上場企業です。

8/23

ビッグモーターの騒動を受け同社では8/23、「当社の整備工場における統制環境について」を公表。「昨今の自動車業界における不正車検、保険金水増し請求の問題を受け、当社社内で調査を行った結果、不正な案件については確認されませんでした。」としていました。

9/1

文春の報道を受け9/1には、「報道機関様からのご質問状につきまして」を公表。「故障していない車を故障しているかのように見せかけ、保険金を請求?」、「販売件数のノルマを達成するため、店員同士で保険の契約数を売買していた?」、「保険への加入を条件に、客に車の値引きを提案していた?」、「販売件数のノルマを達成するため、保険の架空請求をおこなっていた?」といった質問に回答しています。

回答の内容は、「一部の店舗において」とか、「一部の従業員が」などと断りつつ、そうした事案もしくは類似の事案が発生していたことを認めています。いずれも相応の処分を行っており、問題はありません、という見解のようです。だったら最初からそういう回答しておけばいいのにね。詰められると白状するという最悪の展開になってきています。

株式会社ヤマウラ 従業員の不正行為 調査結果を公表

株式会社ヤマウラは9/1、「第三者委員会の調査報告書(最終)の受領に関するお知らせ」を公表しました。従業員が単独で社外に資金を不正に支出させていたというこの事案。当初は3億円とも10億円とも言われていましたが、最終的にはなんと、26億3,885万円だったようです。

報告書によると

東京の子会社の「ヤマウラ企画開発」の経理も担当していた「ヤマウラ」の社員が、2013年3月から2023年4月にかけ234回に渡り、総額26億3,885万円を不正に引き出していました。報告書では、「あくまで個人による特異な犯行」としており、組織としての関与はなかったようです。

一方報告書は、その犯行を許してしまった会社側の対応、特にその行為者を盲目的に信頼し多大な権限を与え、上司を含む複数従業員によるチェック体制がまったく採られていなかったことなどに起因していることを看過してはならないと指摘しています。

不正に送金等していた先は当該社員の長男とその長男が経営する会社。「長男に懇請されるがまま不正支出を行った」とされてるんですが、この長男なる人物、いったいどんな事業をしていたんでしょうね。当然このあと長男も共犯関係で捜査を受けることになるでしょう。

ちなみに、第三者委員会は2013年3月以前にも不正な支出があった可能性はあるものの、会計帳簿の保存義務が10年のため調査出来なかったとしています。怖いですねぇ。いやぁ、まさに未曾有な不祥事でした。

株式会社アインホールディングス 役員が不正行為で逮捕

株式会社アインホールディングスは8/31、「当社及び当社グループ会社役員の逮捕について」を公表しました。同社常務取締役で子会社であるアインファーマシーズの代表取締役社長と取締役1名が北海道警察に公契約関係競売等妨害罪の容疑で逮捕されました。

アインホールディングス

アインホールディングスは北海道に本社を置き、処方箋に基づき調剤を行う調剤薬局を多店舗展開。病院・診療所の近隣に出店する門前型(特定医療機関の処方せんを集中的に扱う)などを手がける企業です。調剤薬局業界で売上高首位の東証プライム上場企業です。

逮捕容疑

札幌市KKR札幌医療センターが2020年に発注した敷地内薬局の整備事業を巡り、調剤薬局などを展開するアインホールディングスが受注できるよう入札情報を漏らしたとして、元事務部長が公競売入札妨害の疑いで逮捕されました。

その入札情報に基づき落札したアインHDの100%子会社アインファーマシーズの代表取締役社長とび取締役1名も逮捕されたということですね。医薬品関係業界ではこの手の不正が毎年といっていいほど頻繁に出てきますが、社長と取締役が、っていうのはあまり聞いたことないかも。

株価は

この事件を受けてアインホールディングス株は急落。656円安でなんと12%超の下落となりました。事件発覚直後に同社は好決算を発表しましたが、さすがに株価の方は戻り切りませんでした。

三菱製紙 八戸工場でボイラー爆発事故

三菱製紙株式会社は8/30、「ボイラー事故に関するお知らせ」を公表しました。同社八戸工場(青森県八戸市)において8/22、ボイラー事故(水蒸気爆発)が発生したとのこと。ずいぶんシンプルな開示かつ、発生から1週間経ってからの開示です。

三菱製紙株式会社

三菱製紙は印刷用紙、情報用紙を提供する製紙会社。インクジェット用紙、特殊機能紙、写真印画紙、写真感光材料、電子材料、CTP印刷版や印刷製版機材なども手掛けています。王子ホールディングスの持分法適用関連会社で東証プライム上場企業です。

事故の概要

発生は8/22の16時すぎ。八戸工場の3号回収ボイラーで起きています。人的被害や工場外部への影響はないとしています。それでも設備はもちろん損傷しており、復旧までには2か月程度を要するとのこと。

やはり他にも

この会社、SNS等でもその安全管理に対するガバナンスの甘さが結構指摘されていて、起こるべくして起きた事故だとも。調べてみると、2018年には紙を製造する抄紙機のローラーと吸水棒の間に胸部を挟まれて作業員が死亡するという事故が発生しています。

そして、2019年には、兵庫県の三菱製紙高砂工場で、約2.5トンの2本のロール紙に作業員が挟まれ死亡したという事故も起きています。さらに昨年、八戸工場ではベルトコンベアーで火災が発生したりもしています。

自社に不利となるような話題の開示に消極的な企業。この会社もまたそういう感じに見えます。やはり、火災や事故が頻発するのは経営者の問題なんです。