東京海上ホールディングス 出向先の三菱UFJ銀行から顧客情報3.7万人分不正取得

東京海上日動火災保険と東京海上日動あんしん生命保険は2/21、三菱UFJ銀行に出向していた複数の社員が2020年から24年にかけて同行の顧客情報を出向元に漏洩していたと発表しました。

東京海上ホールディングス

東証プライム上場企業は東京海上ホールディングス。その子会社で国内損害保険事業の中核を担うのが東京海上日動火災保険。国内生命保険事業を担当するのが東京海上日動あんしん生命保険という組織の体制です。この両社から三菱UFJ銀行に出向していた社員達が、三菱UFJの顧客情報等を持ち出していたという事案です。

事案の概要

東京海上日動火災保険からの出向者が、法人顧客28社分の情報を、東京海上日動あんしん生命保険からの出向者が、個人顧客 37,843名分、法人顧客8社分の顧客情報等を出向元へ漏えいしていたということです。メガバンクで損害保険大手の出向社員による情報漏洩が確認されたのは初めてだそう。

顧客情報以外にも、銀行におけるデジタルトランスフォーメーション施策に関する業務資料や、行員向け研修資料なども持ち出されていたということです。これらが営業秘密に該当するとなれば、不正競争防止法などに触れる可能性もあります。この事案、出向社員の過失だけでは済まされそうにないですね。

カナデビア(旧日立造船) 無資格者が溶接工事 172件

カナデビアは2/21、「当社向島工場での橋梁等の製作における溶接作業者の資格不備について」を公表しました。一部の橋梁等の製造において、契約等で求められている溶接技能資格を有しない溶接作業者複数名が溶接作業を行っていたことが判明したとのこと。

カナデビア

カナデビアは昔の日立造船。日立グループでもなく、船も作ってないのに日立造船、とよく言われてきた同社ですが、昨年10月にとうとう社名変更しました。現在では、ごみ焼却炉や産業廃棄物処理プラントといった環境装置・プラントの設計・製造・販売を中核事業としている東証プライム上場企業です。

不正の概要

社内調査で、発注先である国土交通省などとの契約で求められている溶接技能資格を有しない作業者に従事させていたことが発覚。問題となる工事は橋梁151件、海洋構造物19件、その他構造物2件の合計172件。この無資格者が施工した溶接量は全体のおよそ10%といいます。

昨年発覚した子会社での船舶用エンジンのデータ改ざん。この調査における横展開で、今回の問題が発覚したようです。新社名でのスタート直後の不正発覚となってしまいましたが、不正の膿を出し切るという意味では同社にとって好機になりそうです。ろくに調査もせず、行為者を切ってお終いにする企業ではこうした効果はないわけです。

ビックカメラ 下請法違反で公取委が勧告 下請法違反への対応が急務

報道によると、公正取引委員会は家電量販大手のビックカメラに再発防止を勧告する方針を固めたということです。プライベートブランド(PB)商品の製造委託をしていた下請け企業への支払代金を不当に減額した(下請法違反)というのがその理由。

ビックカメラ

ビックカメラは、「都市型」×「駅前」×「大型」を中心とした「ビックカメラ」を展開する、いわゆる家電量販店の大手企業です。店舗が首都圏を中心とした関東地方に偏重しているため、地方の方には馴染みがないかもですね。もちろん東証プライム上場企業です。

下請法違反

同社は遅くとも2023年夏ごろから、家電製品などのPB商品の製造を委託している下請け企業約50社に対し、販売促進費などのリベートの名目で支払代金から不当に減額していたといいます。不当な減額は計5億円以上に上るとみられ、同社はすでに全額を下請け企業に支払っているとのこと。

今下請法がホット

このところ下請法違反に対する勧告が盛んに行われています。公取委かなり頑張ってますね。今企業におけるガバナンスで最も急務なのは、自社における下請法違反行為の有無の調査。そのうえで問題があれば公取委に自主的に報告すること。そうすることで会社名の公表は避けられる可能性があります。

これだけ違反行為が公表されていくと、御社の取引先も「うちも公取委に相談してみようか」なんてことになっていきますよ。

日本郵便、配送委託先に不当違約金 タバコ臭クレーム1件1万円

少し前の話になるんですが、日本経済新聞が1/7、「日本郵便、配送委託先に不当違約金 公取委が行政指導」と報じていました。関東地方の郵便局が荷物の配送を委託する下請け会社に十分な説明なく「違約金」を課していたとして、下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請)で行政指導していたということです。

配達委託

問題視されたのは郵便局と「ゆうパック」の配送を委託している運送会社との契約。誤配やクレームがあった際、理由を十分に説明せず複数の委託先から違約金を徴収していたケースが確認されたといいます。日本郵便は内規で違約金の目安額を定めていますが、実際の運用は郵便局ごとに異なっていたとのこと。ここが問題だと。

タバコ臭クレーム1件1万円

まぁまぁ、そういうことなら改めるべきですね。って話なんだけど、その目安額ってのが、「誤配達1件5千円」、「タバコ臭クレーム1件1万円」なんだそう。誤配達に関しては異論ないけど、タバコ臭クレームで1万円ってどうよ。こんなん言ってたら、「体臭」やら「ニンニク臭」やらも対象なの?

最近ではスメハラ(スメルハラスメント)なんて言葉も聞くには聞くけど、配達員さんたまらんねぇ。顧客によって感じ方様々だろうし、違約金じゃなくて指導のレベルでいいんじゃないの。世の中の常識はどうなんでしょう。kuniが喫煙者(加熱式タバコね)だからそう感じるんですかね。

フクシマガリレイ 公正取引委員会から下請法違反で勧告

公正取引委員会は2/19、「フクシマガリレイ株式会社に対する勧告について」を公表しました。これを受け同日、フクシマガリレイも同社ホームページでひっそりと、「公正取引委員会からの勧告について」を公表しています。適時開示はありません。

フクシマガリレイ

フクシマガリレイは飲食店の厨房などで利用される業務用冷凍冷蔵庫をはじめとするフード機器の専門メーカー。このほか、冷凍・冷蔵ショーケース、大型食品加工機械などを手掛け、流通業界や外食産業などに販売する東証プライム上場企業です。

下請法違反

「価格協力」と称して下請代金の額を減じていた行為(下請け企業34社に対して減じた額は約2176万円)。

「事務手数料」と称して下請代金の額を減じていた行為(下請け企業154社に対して減じた額は約1623万円)。

「価格協力」による不当な経済上の利益の提供の要請と判断された行為(下請け企業10社に対して提供させた額は255万円)。  となっています。

これらすべて合計すると約4000万円。なかなかエグイことやってますね。行為が行われた期間はいずれも約1年間ということですが、違反認定させるために1年としたもの(お互いに手を打った)と思われ、、、実際にはもっと長期に渡って行われてきた行為じゃないかという気がします。