江崎グリコ 約7か月ぶりに冷蔵品の出荷再開

少し前になりますが、江崎グリコは9/30、「当社基幹システム障害に伴うチルド商品(冷蔵品)の一部商品の出荷再開に関するお知らせ  ~ 第5報 ~」を公表しました。これで停止していた冷蔵品のすべての出荷が再開できたということです。

システム障害

このシステム障害は4/3に基幹システムを切り替えた際に発生したもの。340億円をかけ、計画より1年以上遅延して稼働させたシステムでいきなりシステム障害という散々なスタートでした。当初、5月の中旬の出荷再開を目指していましたが、なんと復旧に6か月を要してしまいました。

「BifiXヨーグルト」シリーズや「カフェゼリー」など、8品目の出荷を11月5日から再開するとのことで、停止していた全79品目が約7カ月ぶりに全面復活します。まずはお疲れさまでしたって感じですが、半年というのはちょっと長すぎですね。

古いシステムから新しいシステムへの移行などで、切り替え作業中に重大なトラブルが発生して新システムの正常稼働が見込めなくなった場合、切り替えを中止して元の状態に戻すという対応をとることがあります。新システムへの移行を妨げる不具合が解消され再び切り替えの準備が整うまで旧システムでの運用が継続できます。

こういう対応を「システムの切り戻し」などと言います。まぁ、様々な事情があったとは思いますが、切り戻しで当面のピンチを乗り切るという選択肢はなかったんでしょうかね。

国土交通省 舶用エンジンにおける不正行為の実態調査結果を公表

国土交通省は9/30、「舶用エンジンのNOx放出量確認試験における不正行為の有無等に係る実態調査の結果について」を公表しました。IHI原動機、日立造船マリンエンジン及びアイメックスによる、舶用エンジンのNOx放出量確認試験におけるデータ改ざん事案を踏まえ、他のメーカー19社に対し調査報告を求めていた件です。

実態調査の結果

結果は、川崎重工業から燃料消費率等に関するデータ改ざんが行われていたという報告があったのみ(9月までに公表済み)で、その他の事業者においては不正行為は無かったということに。つまり、不正を行っていたのは、IHI原動機、日立造船マリンエンジン及びアイメックス、川崎重工業の4社だけでした、ということです。

ただ、ちょっと気になるのは、「不正行為は無かったと報告した18社のうち、8社からは、試験記録の転記誤り等が確認された旨の報告があったほか、機器の校正等、確認が必要なものがあった」という記述。なんだこれ?

「試験記録のデータ改ざん」と「試験記録の転記誤り」。この違い、なんともビミョーですね。試験記録は合格値だったけど、転記だけ間違ってましたってこと?このあたりの説明はありません。輪軸不正に関する調査と違って、今一つ国交省もやっつけ仕事になってる感じ。

TDK また営業秘密不正持ち出しで元従業員が書類送検

TDKは10/4、「当社元従業員の書類送検について」を同社ホームページで公表しました。同社の元従業員が不正競争防止法違反の容疑で、10月4日、東京地方検察庁に書類送検されたということです。当該事実が報道されたから、やむを得ず公表したって感じの文面。

TDK

TDKは、二次電池をはじめ、様々な電子部品を手掛けています。世界で唯一、HDD用磁気ヘッドを外販するほか、小型リチウムイオン電池では世界シェアトップを誇る東証プライム上場企業です。

不正の概要

元従業員退職後の社内調査の結果、当該元従業員による同社の秘密情報の不正な持ち出しが判明。そのため、同社は警視庁へ被害届を提出し、捜査に協力してきたとのこと。なお、現在までに確認された情報によると、元従業員による第三者への営業秘密の流出は確認されていないとしています。転職活動の一環で持ち出したデータを利用しようとしていたとみられるとのこと。

実はTDKでは、今年6月にも、元従業員2名が秘密情報の不正持ち出しによる不正競争防止法違反の容疑で東京地方検察庁に書類送検されてるんですね。不起訴となったみたいですけど。この事件が判明したちょうど同じ時期に、今回の不正も実行されています。

情報管理、どんだけユルユルな企業なんでしょう。従業員が自社の管理態勢の甘さを見切ってるってことです。

伊藤園子会社 タリーズコーヒージャパンで顧客情報の漏洩 9万件

タリーズコーヒージャパンは10/3、「弊社が運営する『タリーズ オンラインストア』への不正アクセスによる個人情報漏洩の恐れに関するお詫びと調査結果のご報告」を公表しました。「タリーズ オンラインストア」において会員登録した顧客92,685名の個人情報が漏洩した可能性があるとのこと。

タリーズコーヒージャパン

タリーズは伊藤園の100%子会社で、コーヒーチェーン店の経営、フランチャイズ展開も手掛ける(24/4期末で791店舗)非上場企業。そして伊藤園は、茶系飲料のトップブランド「お~いお茶」が看板商品の大手総合飲料メーカー。こちらは東証プライム上場企業です。

情報漏洩

そもそもは5月に発覚した同社直営のオンラインストアで発生した不正アクセスによるシステム障害が原因。発覚の経緯はクレジットカード情報の漏洩懸念について警視庁より連絡を受けたこと。って、この時点で不正利用が認識できたはずで、かつ、自社で気付けず、みっともない展開。

漏洩した情報は顧客92,685名の個人情報。さらにこのうち5万2958人はクレジットカード情報も漏れていたと。クレジットカード情報は、クレジットカード番号、カード名義人名、有効期限、セキュリティコード。と、全部ダダ洩れ、不正利用し放題。

おまけに、不正アクセスによるシステム障害を認識してから、情報漏洩に関する事実を公表するまでに4か月も要してます。クレジットカード会社と連携して不正利用に関しては救済策を講じているようですが、とにかくこの緩慢な対応は酷すぎますね。親会社の伊藤園も一切開示してないし、大谷翔平のCM契約も切られちゃうんじゃない?

群馬銀行 顧客の金5千万円を預かり着服

群馬銀行は10/2、「元行員による不祥事件の発生について」を公表しました。深谷支店兼深谷上柴支店の行員(渉外係、 20 代男性)が、顧客の金約5千万円を不正に預かり、着服していたとのこと。

群馬銀行

群馬銀行は群馬県、埼玉県および栃木県を主要な営業基盤とし、銀行業務を中核にリース、証券、コンサルティングなどを手掛ける群馬県最大の地方銀行。国内店舗網を群馬県内を中心に栃木、埼玉、首都圏、大阪の7都府県に展開する東証プライム上場企業です。

不正の概要

当該行員が、「新紙幣への両替の目標がある、両替を無料で受け付ける」、との虚偽の説明を行い、不正に現金を預かっていた事実が発覚。8/13から 9/3までの期間に、同様の手口により個人と法人16 先の顧客から 55,350,000 円の現金を預かり、ギャンブルに費消していました。

行員はオンラインで米大リーグなどの試合結果を予想する「スポーツ賭博」にのめり込み、預かった金のほとんどを使い込んでいたことが判明したとのこと(約400万円だけは回収できた模様)。

事実は小説よりも

犯行が行われたのは新1万円札の肖像に採用された渋沢栄一の出身地。この地では新紙幣発行でお祭り騒ぎでしたね。そして、着服した資金をつぎ込んだのはメジャーリーグ(大谷翔平選手が大活躍)の試合結果を予想する「スポーツ賭博」だったそう。なんか、ストーリーが出来すぎです。なお、同行は顧客に全額返済し、行員を9月20日付で懲戒解雇したとのこと。