公正取引委員会 旅行大手4社に排除措置命令

公正取引委員会は5/30、「青森市が発注する新型コロナウイルス感染症患者移送業務の入札参加業者らに対する排除措置命令等について」を公表しました。対象は東武トップツアーズ、日本旅行東北、名鉄観光サービス、JTB、近畿日本ツーリストの5社です。

不正の概要

問題となったのは青森市が22年度に発注したコロナ感染者を自宅から宿泊療養施設に移送する業務の指名競争入札。公取委によると、5社の支店長が事前に電話やメールでやり取りするなどして受注予定者を決定。受注者が業務の一部を他社に再委託することに合意していました。

計5回あった入札はいずれも近畿日本ツーリストが落札し、落札総額は計約3200万円。近畿日本ツーリストが4社に業務の一部を再委託して報酬を分配していたといいます。この4社に排除措置命令が出ていて、近畿日本ツーリストは免除ってなに?

どんだけ腐った業界?

新型コロナを巡っては、雇用調整助成金の不正受給や、「Go To トラベル」給付金の不正受給など、不正しまくっていたこの業界。今度はコロナ感染症患者移送業務の入札における入札談合です。マジでなんでもありの業界ですね。

今回公表されたのは青森市の事案。高齢者が多いとはいえ業者にとっては小さなマーケット。どう考えてもこのあと芋づる式に他自治体での悪行が出てくるんでしょう。広告の世界でもそうだけど、〇〇代理店って業態、モラルとか倫理とかまるでなさそうだね。

トヨタ、マツダ、ヤマハ発動機、ホンダ、スズキ 5社で型式指定申請における不正

国土交通省は6/3、「型式指定申請における不正行為の有無等に関する自動車メーカー等の調査報告の結果等について」を公表しました。昨日書いたトヨタ、ホンダに加え、マツダ、ヤマハ発動機、スズキでも不正行為が確認されました。調査は一部継続しており、この5社は5月末時点の結果だそう。

調査結果の概要

型式指定を取得している自動車メーカー、装置メーカー等85社に対し調査・報告を指示しており、5月末時点で調査を完了したのは68社(マツダ、ヤマハ発動機、本田技研工業、スズキなど)で、調査継続中は17社(トヨタなど)となっています。

報告のあった不正の内容は、トヨタが現行生産車3車種を含む計7車種。マツダが現行生産車2車種を含む計5車種、ヤマハ発動機が現行生産車1車種を含む計3車種、ホンダが現行生産車なしで過去生産車22車種、スズキが現行生産車なしで過去生産車1車種という内訳です。

5社で分散?

公表した5社は国交省の指示のもと、すべて同じ日に不正を公表。単独で非難の的になることもなく、5社で分散した形です。ダイハツや日野に比べてダメージは小さいでしょう。しかし、ここで考えておくべきことがあります。この5社は他社の不正を横目に、本気で自社の点検をしてこなかったという事実です。このままほとぼりが冷めてくれたら、くらいに考えていた面子ですよね。

トヨタやホンダなどで不適切事案が判明?

日刊自動車新聞は5/31、「トヨタやホンダなどで不適切事案が判明 国交省が調査結果公表へ 悪質性など踏まえ処分検討」と報じました。ダイハツ工業などの認証不正を踏まえ、同様の不適切な事案がないかどうか、国土交通省が自動車メーカーなどに社内調査を指示した結果のようです。

日刊自動車新聞

日刊自動車新聞は、1929年(昭和4年)創刊の世界最大級の自動車業界紙なんだそう。 日本国内外の自動車業界動向を取り扱っています。その電子版で今回この件が報じられてます。

調査結果

ダイハツのほか、日野自動車や豊田自動織機で相次いだ認証不正を踏まえ、国交省は1月末から順次、自動車や装置の型式指定を取得している自動車メーカーやインポーター(輸入業者)、装置メーカーなど合わせて85社に対し、型式指定申請に関する社内調査と報告を求めていました。

過去10年を遡り、型式指定申請に関する各種試験の運用や試験結果などを調査するとともに、客観性を担保するため外部組織などによるチェックも求めていたそうです(報告期限は6月上旬)。

同紙によると、これまでにトヨタやホンダが不適切な事案を報告したもよう、だそうです。常連さんのトヨタはともかく、これまでこうした不正とは縁がなかったホンダまで出てきたんですね。2社以外にも不適切な事案が見つかっているとの情報もあるそうです。道路運送車両法上、問題があるかどうかはこれから精査されるようです。

中国電力 景品表示法違反で16億円の課徴金

公正取引委員会は5/28、「中国電力株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について」を公表しました。家庭用の電気料金プランを巡り、2022年4月から23年1月までの間、実際よりも安くなるかのように自社のウェブサイトなどで表示していたということです。

違反行為の概要

先日、中部電力の課徴金に関する記事を書きましたが、今度は中国電力です。規制料金プランよりも自由料金プランの方が安価になるかのように、自社のウェブサイトやパンフレットで表示していました。しかし、実際には燃料費の変動を反映させる「燃料費調整額」などによって、規制料金プランよりも自由料金が安くならない場合があったということです。

この件、昨年8月に景表法が禁じている「有利誤認」の表示に当たるとして、再発防止や消費者への周知徹底などを求める措置命令を同社に出していました。そして今回、16億5594万円の課徴金納付命令が発出されたという流れ。

返金手続き

有利誤認表示は課徴金制度の対象で、不当な表示に伴う売上高の3%が課徴金として課されるそうです。同法に基づく課徴金命令額としては過去最高です。いやぁ、これデカいですね。

中国電力は28日、記者会見を開き、顧客への返金手続きを開始したと明らかにしたそうですが、これ、一件ずつ計算して払い戻す手間も半端ないですよね。この費用はどれくらい発生するんでしょう。