株式会社クラレ グループ元従業員による情報の不正な持ち出し

株式会社クラレは3/25、「当社グループ元従業員による情報の不正な持ち出しに関するお知らせ」を同社ホームページの「お知らせ」として公表しました。よくあるパターンですが、適時開示は行われていません。

株式会社クラレ

クラレは、合成繊維大手の一角で、現在は非繊維製品を収益の柱とする企業です。主力の光学用ポバールフィルムは、液晶ディスプレイ用偏光板の原料として用いられ、世界シェア8割を握っています。元々は倉敷レイヨンという社名で現在はクラレ。東証プライム上場企業です。

不正の概要

欧州グループ会社の元従業員が退職直前に、同社が保有する情報(個人情報を含む)を不正に持ち出したことを確認したといいます。しかし、持ち出されたデータは、すでに同社に返却され、さらなる外部流出はないことも確認しているんだそう。

お知らせでは、「当社は機密情報を保護するため、法的措置を含むあらゆる必要な措置を講じており、引続き調査と対策を実施してまいります。」と機密情報に対する同社の姿勢を強調しているんですが、では、なぜ、HP上のお知らせだけで済ませてしまうのか。こうした対応は良く見る光景なんですが、どうも納得いかないのですよ。

ベネッセコーポレーションの個人情報流出 一人当たり3,300円の支払い命令

2014年に発覚したベネッセコーポレーションの情報流出事件で、重要な個人情報が漏れたとして顧客ら約5千人が1人当たり5万5千円の損害賠償を求めた訴訟の判決が出ました。東京地裁は3,338人に、1人当たり3,300円、総額約1,100万円の支払いを命じたということです。

個人情報の流出

2014年7月に発覚した、「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」を運営する、通信教育の最大手企業であるベネッセコーポレーションの個人情報流出事件。流出した顧客情報は最大で3,504万件に及ぶと言われました。流出した情報は、進研ゼミなどの顧客の情報であり、子供や保護者の氏名、住所、電話番号、性別、生年月日などです。

警視庁は、ベネッセのグループ企業であるシンフォームに勤務していた派遣社員のエンジニアを逮捕。取り調べで、同派遣社員は情報を持ち出し、名簿業者に売却したことを認めました。

相変らずお安い日本の個人情報

ベネッセ側が流出を認めた人数を賠償の対象と認定。その上で、漏洩した氏名や生年月日といった情報は「社会生活を営む上で一定範囲の他者に開示することが予定されており、秘匿性が高いとは言えない」として費用を算出した。んだそうです。

犯罪により不正に持ち出されたという背景はあるとして、それにしてもこの3,300円、安過ぎませんか?当時、日本人の個人情報は一人500円、などと言われてましたから、6倍にはなったんだけど。

株式会社テクノフレックス 特別調査委員会の調査報告書を公表

テクノフレックスは3/26、「特別調査委員会の調査報告書受領 及び 当社の対応に関するお知らせ」を公表しました。連結子会社で、複数の相手に対し、複数年に渡って架空の取引代金を支払い、その一部を私的に受け取っていた可能性があることが判明したという事案でした。

調査結果の概要

残念ながらこの調査報告書、マスキング(黒塗り)部分が多すぎて、読んでてほとんど理解できませんでした。何とか読み取れたのは、この不正が行われたのが、100%子会社のニトックス株式会社で、不正を行っていたのが同社の創業者であり代表取締役であった人物(2022年に退任し現在は相談役)とその関係者ということ。

二トックスから外注先に架空発注し、そのまた外注先には息子が代表取締役を務める企業が。どうやら代表取締役であった人物と協力先、息子、それぞれがキックバックで利益を得ていたということのようです。ニトックスから架空外注先に支払われた金額は、調査対象期間内の 2017 年 6 月から 2023 年 12 月までの累計で 130,444,850 円だそう。

ちなみにこうした不正行為は、2015年当時から始まっているようで、テクノフレックスの上場以前から行われていたということになります。これは東証なんかは問題視しそうですね。

しかしまぁ、なぜここまで黒塗りだらけの報告書なんでしょう。不正を働いた者の名前など、ここまで配慮して伏せる必要あります?この配慮(忖度)の感覚が一番問題だと思うけど。

小林製薬株式会社 「紅麹」の成分含む健康食品を自主回収

小林製薬株式会社は3/25、「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ(第2報)」を公表しました。同社が販売している機能性表示食品「紅麹コレステヘルプ」を摂取した方において、腎疾患等が発生したとの報告を受け、紅麹関連製品を自主回収するということです。

小林製薬株式会社

小林製薬は医薬品、医薬部外品と芳香剤、衛生材料などの家庭用品を製造販売する大手メーカー。ニッチ(すきま)分野のユニークな製品の開発に定評がある東証プライム上場企業です。

販売するのは「アンメルツ」「ブルーレット」「サワデー」「サラサーティ」「熱さまシート」「フェミニーナ」「アイボン」「消臭元」「ケシミン」「ナイシトール」などの製品。どの家庭でも一つや二つの製品にはお世話になってそうな、そんな企業ですね。

自主回収

今回問題になったのは自社開発の「紅麴」だそう。一部の紅麹原料に同社の意図しない成分が含まれている可能性が判明したということです。現時点でこの成分の特定や本製品の腎疾患等との関連性の有無の確定には至っていないものの、予防的措置として、紅麹関連製品を自主回収することに。この情報を受け3/25の同社株はストップ安売り気配(5,056円、前日比1,000円安)まで売られました。

自主回収の対象商品は、紅麹関連製品の「紅麹コレステヘルプ」「ナイシヘルプ+コレステロール」「ナットウキナーゼ さらさら粒GOLD」の3商品。商品名が類似した商品も多いようですので同社ホームページの3/22付けニュースリリースをご確認ください。

3/26には「サプリを使っていた人が死亡したことを把握した」と発表があり、入院したと確認された人が76人いることも公表されています。なんか大変なことになってきました。

レンゴー 100%子会社の大興製紙で工場火災

静岡県富士市の大興製紙製紙工場で火災が発生しました。火は約3時間40分で消し止められましたが、鉄筋2階建ての工場の2階部分が半焼したほか、煙を吸った40代と30代の男性 計5人が病院に運ばれたということです。

大興製紙株式会社

大興製紙株式会社はクラフト紙・特殊紙の製造および販売、クラフトパルプの製造および販売、産業廃棄物・一般廃棄物中間処分業を行っています。2021年1月15日に東京地方裁判所へ会社更生法適用を申請し、その後同年8月に東証プライム上場のレンゴーに100%子会社化され、経営再建を進めていました。

火災の概要

3/21 午前8時40分頃、富士市上横割にある大興製紙で「工場の天井が燃えている」と従業員から消防に通報があったということで、鉄筋2階建ての工場の2階部分が半焼し、煙を吸った40代と30代の男性 計5人が病院に運ばれましたが、いずれも軽症とのこと。

翌日の3/22には大興製紙が、「火災発生のお詫び」をホームページで公表しており、「今回の火災は弊社に4台ある抄紙機のうち1台を設置してある建屋から出火し、同抄紙機の一部を類焼させる事態となりました。」とだけ説明されています。

ちなみに、親会社のレンゴーからはこの件に関するコメントは出てないようです。