イトーヨーカ堂 元社員が詐欺容疑(カラ出張)で逮捕

総合スーパーを運営する「イトーヨーカ堂」から、出張の名目で新幹線の乗車券などをだまし取ったとして、警視庁は10/5、同社元社員の容疑者(57)を私電磁的記録不正作出・同供用と詐欺の疑いで逮捕したと発表しました。

イトーヨーカ堂

イトーヨーカ堂は資本金400億円、店舗数228店舗、従業員は約24,000人。総合流通グループであるセブン&アイ・ホールディングス(7&i)の100%子会社であり、同グループの祖業にして中核企業です。2020年には創業100周年を迎えました。

不正行為の概要

容疑者は同社営業本部の販売促進部で管理職の「マネジャー」で、昨年1月ごろ、青森や大阪などへの架空の出張情報を社内システムに入力し、新幹線のチケット計24枚(計約19万円相当)をだまし取った疑いだそう。実際に出張はせず、チケットを換金して着服していたようです。

2015年4月から昨年3月までの約7年間で、逮捕容疑も含め架空出張を755回繰り返し、計約2,400万円相当のチケットをだまし取ったとみられています。全国の店舗の改装に関する打ち合わせという名目が多かったといいます。

生活費や趣味にあてていたということですが、凄いねこれ。755回も繰り返して、2,400万円ですって。やった奴もとんでもないけど、それを看過してきたイトーヨーカ堂の管理態勢も滅茶苦茶やね。カラ出張で潤ってきたやつ、この容疑者だけではないんじゃない?他も調べた方が良いよ。

東亜建設工業 連結子会社(信幸建設)で従業員の不正行為

東亜建設は10/3、「連結子会社従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。同社の連結子会社である信幸建設株式会社において、現在実施されている税務調査の過程で、従業員による不正行為の疑いが8月下旬に発覚したといいます。

東亜建設工業

東亜建設工業は祖業である海上土木工事に強みを持つ中堅ゼネコンです。海上土木、陸上土木、浚渫・埋立、建築工事の請負などを手掛けるほか、海外にも展開しています。羽田空港、中部国際空港など、大規模プロジェクトの参画実績を有する東証プライム上場企業です。

不正の概要

不正の舞台となったのは同社の100%子会社で資本金5,000万円の信幸建設という会社。特定の工事下請負業者と共謀して、当該会社から水増し又は架空発注を行った上で、その水増し又は架空発注額の一部を従業員らが自らに還流させ、着服していたことが判明したということです。

架空発注等の行為は複数年にわたり行われてきたようで、現時点で、その総額は約7億円になるとしています。既に外部の弁護士を委員長とする社内調査委員会を9/5に設置しており、同日より調査を開始しているとのこと。

直近の有報で確認すると、信幸建設の従業員数はわずか174名。行われていた不正について、開示では「従業員ら」と表現されており、複数名の従業員が関与していたものと思われます。こんな小さな所帯で、です。

みずほ信託 元社員の顧客金銭着服 調査結果を公表

みずほ信託銀行は9/28、「元社員の不祥事件に関する調査結果および再発防止策等について」を公表しました。今年2月に公表した、富山支店の元社員(50 代・女性)が顧客の金銭を着服していた問題に関する調査結果ですね。

着服の概要

2月時点で、複数の高齢であるお客さまに対して虚偽の説明を行い、現金を届ける際にその現金の一部を着服する等の方法により、生活費や遊興費等に使用していたことを公表していました。被害総額は約6千万円ということでした。

調査の結果、新たに見つかったのは1顧客100万円ということで、被害総額は6,076万円ということになったようです(被害顧客数は14顧客)。被害の全額について、みずほ信託が補償を実施したとのこと。

調査範囲は全店に拡大し、当該元社員以外の社員による同様の着服行為等の有無についても調査を実施しており、類似事案は確認されなかったということです。調査結果公表にあわせて、社長と常務2人が役員報酬の一部を自主返納することも公表しています。

入行は2008年?

元社員は50代とされていて、同行への入行は2008年となっています。50歳だとしても入行時35歳ということになるので、どこか他の銀行から転職してきた人なんだろうか。もちろん、もしそうだったら前職の銀行でも調査が行われてると思うけど。

日立造船 商号変更 カナデビア株式会社へ

日立造船は9/27、「商号の変更に関するお知らせ」を公表しました。以前から当ブログでも何度か取り上げてきた同社ですが、社名と会社の実態がかけ離れていました。やっと社名変更かぁ、って感じですが、またずいぶんガラリと変えてきましたね(実際に変更されるのは来年10月)。

日立造船

「日立」という冠を掲げていながら、既に日立の資本はまったく入っていない。「造船」といいながら船なんか造っていない。という、実態を表していないどころか、誤解をを与えてしまうほどの社名でした。現在は、ごみ焼却炉や産業廃棄物処理プラントといった環境装置・プラントの設計・製造・販売が中核事業です。

カナデビア株式会社

新しい社名、日本語の「奏でる」とラテン語で「道」を意味する「ビア」を合わせた造語だそうで、脱炭素に向けた技術などを生かして、人類と自然の調和を奏でることにより、新しい道を切り開く意味を込めたんだそうです。なるほど、、、なんだけど、なかなか覚えられないだろうなぁ。

同社は以前から自社のことを「Hitz」という愛称で表すことが多かったので、てっきり「Hitz」に変更するんだろうと思ってました。けど、たしかに「Hitz」は「日立」と「造船」からできてそうな愛称だし、これも一緒に捨ててしまうっていうのは合理的かもね。

個人的には、カタカナ社名は4文字を超えると覚えにくいって気がするんですが、カナデビア、どれだけ世界に認知されていくんでしょうか。もちろん、本業の頑張り次第です。そういえば週末に「培養肉コスト9割減」なんてニュースも出てましたね。

株式会社グッドスピード 調査委員会を設置

中古車販売のグッドスピードは9/29、「調査委員会設置のお知らせ」を公表しました。同社は8月、ビッグモーターの騒動を受け、過去約4カ月間の保険金請求を自主調査し、30件で不適切な事案が見つかったと発表していました。

グッドスピード

グッドスピードはSUV・4WDを中心にミニバン、輸入車など、専門性を高めた中古車販売店を東海4県(愛知、岐阜、三重、静岡)を中心に出店。附帯して、整備・鈑金などのサービスを提供する企業。以前取り上げたネクステージのように、経営陣がビッグモーター出身だったり、損保ジャパンが大株主だったりという事実はなさそうですが、まぁ、似たようなことをやってた企業でしょう。

調査委員会の設置

今回の開示では、監査法人から「公表済みの決算に関して不適切な会計処理がある旨の疑義が生じている」との指摘を受けたことを公表しています。既に公表済みの自主点検による30件の不適切な事案との関係性については触れていません。

そしてさらに刺激的なのが、「不適切な会計処理がある旨の疑義の詳細、またその対象期間や金額等の影響については、(外部の有識者で構成される)調査委員会が設置された後、直接、調査委員会へその内容を伝えると監査法人から言われている」、という点です。

監査法人が現経営陣に事案の状況を伝えると、事案の矮小化や証拠隠滅、隠ぺいなどの恐れがあるという危機感を持ったということでしょう。不正請求が拡大するのか、それともまた別の会計不正が出てくるのか。いずれにしても経営の関与が疑われ、ちょっと目が離せない事案になりそうです。