ダイハツ工業 国内出荷車両でも認証不正

ダイハツ工業は5/19、「ダイハツ・ロッキーおよびトヨタ・ライズのHEV車の認証申請における不正行為について」を公表しました。4/28に海外向け車両の側面衝突試験の認証申請において不正行為があったことを公表した同社ですが、国内でもやはり類似した不正が出てきました。

不正の概要

海外向け車両における不正を公表後、社内での点検を進めていたようで、その中で新たに、ダイハツ・ロッキーおよびトヨタ・ライズのHEV車のポール側面衝突試験に関する認証手続きに不正がある事が判明したということです。開示した当日から出荷・販売を停止しています。

ポール側面衝突試験は車両の左右の側面を電柱に見立てたポールに衝突させて、乗ってる人の保護の状況を確認する試験だそう。当然助手席側と運転席側の試験を実施する必要があるところ、実際には助手席側のデータを提出していました。左右の側面でどれだけ違いがあるのか知りませんが、まぁ、しょーもない不正ですね。

対象車種

不正が行われていた対象車種は、ダイハツ・ロッキーHEVが22,329台。トヨタ・ライズHEVが56,111台。合計78,440台ということです。今回もまたトヨタ車が含まれていますので、トヨタとしても販売・出荷停止のお知らせは出してるようです(当然適時開示はなし)。

「グループ全体の問題として、私が主担当として取り組む」とおっしゃっていたトヨタ会長でしたが、その後は登場されてませんね。次回どういう形で登場されるのか、楽しみです。

東京電力 社員が柏崎刈羽原子力発電所の工事に関する書類を紛失

日本経済新聞は5/23、「東電社員、柏崎刈羽の書類紛失」と伝えました。社員が柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の工事に関する書類を紛失したということです。6号機の火災防護や浸水対策に関する書類80枚をなくし、うち38枚が現在も回収できていないとのこと。

シャレにならんわ

いずれの書類にもテロ対策など保安上の重要情報は記載されていないということですが、紛失の経緯があまりにも馬鹿げています。5/19に社員が在宅勤務のために書類を自宅へ持ち帰り、自家用車に乗り換えた際、車の屋根に書類を置き、そのまま走行させて紛失したんだそう。

いまどきこんなバカなヤツがいるの?と、一笑に付されてお終いなニュースです。しかし、問題はテレワークのために会社の機密情報が記載された資料等を自宅に持ち帰ることができるという、会社の態勢です。東京電力ってそんなレベルの低い会社なんだろうか。

たしかに昔は顧客情報だろうが、営業秘密情報だろうが、自宅に持ち帰って業務に利用してました。それが重要な情報は持ち出せなくなり、重要という定義でもめ始めると、全面的に会社の資料は持ち帰ることができなくなりました。

金融出身のkuniの記憶では、すくなくとも10年前くらいには書類の持ち出し禁止、個人アドレスへのメール送信禁止というルールが定着していたと思います。

車の屋根に置いたまま走行する社員もバカだけど、そんな気の緩んだ状態で書類を扱うことができる会社のルールやカルチャー。これは圧倒的に怖い話です。原発を運営し、電力供給という国民のインフラを担う企業がこれではね。

その後の報道では回収が進んでいるみたいだけど、上司の許可を得ることなく持ち出し、事件の発覚も柏崎市民が書類を拾ったことから、らしいです。こんなだらしない事件起こしておいて、東電からの正式な開示はありません。

エン ・ジャパン株式会社 連結子会社で従業員の不正行為

エン ・ジャパン株式会社は5/19、「当社海外子会社における不適切な行為の疑義発覚に関するお知らせ」を公表しました。連結海外子会社(中国現地法人)である英才網聯(北京)科技有限公司の総経理による不適切な行為の疑義が発覚したというものです。

エン ・ジャパン株式会社

エン ・ジャパンは、総合転職情報サイト「エン転職」など求人情報サイトを運営する企業。人材紹介業では国内だけでなく、積極的なM&A(企業の合併・買収)により海外でもアジアを中心に事業展開を行う、東証プライム上場企業です。バカリズムさんらがCMキャラクター務めてた会社ですね。

不正の概要

2023年5月中旬ごろ、同子会社の銀行預金残高と帳簿残高に差異があることから、調査を行ったところ、同社の総経理により私的に流用されている疑いがあることが判明したといいます。総経理とは会社の事務を統轄管理する責任者、つまり実務面のトップです。

流用額及び回収見込みについては、現在調査中であり確定には至っていないということですが、現時点で判明している銀行預金残高と帳簿残高の差額は1,400 万元(円換算で約2億8,000万円)だそうです。デカいですね。

事実の全容解明、発生原因の徹底追及、再発防止策の検討および経営管理責任の明確化を行うため、外部の有識者を委員に含む特別調査委員会を設置するとしています。

開示の中でも「私的に流用されている疑いがある」といっておきながら、例によって開示タイトル等は「不適切な行為」としてます。いやいや、不正行為です。ちなみに、この連結子会社、エン ・ジャパンの有価証券報告書では「重要性が乏しい」ことを理由に記載が省略されていました。いやいや、重要でしょう。

ITbookホールディングス 従業員の不正行為(横領)が発覚

ITbookホールディングスは5/18、「当社連結子会社元従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。2018年10月に、ITbook株式会社とサムシングホールディングス株式会社(現株式会社サムシング)が経営統合してできた会社ですね。

ITbookホールディングス

ITbookホールディングスは情報通信技術(ICT)に関するコンサルティング業務などを官公庁などの公共機関や民間企業に向けて提供する事業と、住宅の安全の基礎となる地盤に関し調査・改良業務や保証業務などを行う事業を行っています。なんでこんな異業種間の統合が行われたんでしょう。東証グロース上場企業です。

不正の概要

不正の舞台となったのは統合の片方である株式会社サムシング。経理担当マネージャーであった従業員が、ATM から現金を着服し、その行為を隠蔽するために、ATM からの出金が正当な処理と思わせる会計上の操作を行っていたということです。

現時点までの調査では、2021年8月ごろから 2023年5月までの間(つまり統合後の不正行為ですね)に横領が行われ、横領額は約67百万円であることが判明しているといいます。同従業員もその事実関係を認めており、今年5月17日付で懲戒解雇処分となっています。

現在、横領額および当該元従業員からの回収可能性に関して調査を行っているといいますから、横領額についてはまだ増える可能性もありそうです。事実の全容解明、発生原因の徹底追究、再発防止策の検討および経営管理責任の明確化を行うため、外部の調査員で構成された調査委員会を設置し調査を進める予定だそうです。

日糧製パン 特別調査委員会を設置

日糧製パンは5/18、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。これより前、5/10には、「2023 年3月期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しており、その開示では、「決算発表を行うべく準備を進めてまいりましたが、一部に誤りが発見され、その確認作業に時間を要している」と説明されていました。

日糧製パン

日糧製パンは、「北の国のベーカリー」シリーズ、「ラブラブサンド」シリーズなど、パン・菓子、米飯などを製造販売する食品メーカー。札幌市に本社を置き、保有する工場はいずれも北海道にあり、営業地域も北海道が中心。札幌証券取引所に上場する山崎製パンの持分法適用関連会社です。

特別調査委員会設置の理由

会計処理の誤りを決算発表の延期の理由にしていましたが、「確認作業を進めていく中で、不適切な処理が含まれている疑いが明らかになった」ということです。「不適切な処理」ってなに?って聞きたいところですが、今のところ開示されているのはここまでです。これだけネタを出し渋ってる開示も珍しい。

しかしまぁ、「本事案の実態解明を行い、再発防止策の策定を含め、株主はじめステークホルダーの皆様に対する説明責任を果たすために、外部有識者を委員に含めた特別調査委員会を本日付けで設置する」っていうくらいですから、それなりの不正は出てくると思われます。

文面からは不適切な会計処理というふうに見えますが、もちろん、会計のみではなく取引そのものの不正があったりもするのかもしれません。