神戸製鋼所 取締役監査等委員が出張費不正で辞任

神戸製鋼所は2/28、「当社監査等委員である取締役の退任に関するお知らせ」を公表しました。開示では、不適切な出張旅費の精算が判明したため、同日付で本人より取締役を辞任する旨の申し出があり、受理したとしています。

監査等委員が・・・

開示では、辞任する旨のみ伝えていて、どのような不適切な行為だったのか全く分かりません。朝日新聞の報道によると、職務上の必要性が低い出張を繰り返し、不適切な処理が疑われる出張旅費の総額は最大で400万円規模となる可能性があるとしています。

やはりこの記事でも、出張先や使途などの詳しい内容は明らかにしていないと括っていました。ちなみに、「監査等委員会に情報が寄せられて問題が発覚した」ということですから、内部通報みたいです。

この常勤監査等委員、2018年6月に就任、約5年間にわたって監査等委員を務められています。同社に入社後執行役員にまで。その後、同社子会社のコベルコ建機で取締役を務めたのち、最後のご褒美的に同社の取締役に就任されたみたいな感じですね。

神戸製鋼所

神戸製鋼といえば、2018年、製品の品質不正問題で世間を騒がせました。調査後も外部弁護士の調査報告書の公表を避け、自社名義で概要を説明しておしまい。という、いかにも真剣に取り組んでる感のない対応にみえました。その3か月後に就任されたのがこの監査等委員の方です。

辞任のお知らせは開示されましたが、同監査等委員の不正に関する委員会等による調査を実施するという説明はなく、どうやら引責辞任で幕引きということのようです。やっぱり企業のカルチャーって、そう簡単には変わらないんですね。

ラサ商事 業績予想上方修正と増配公表で株価急騰

ラサ商事は2/24、「通期業績予想及び配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」を公表しました。これを受けて翌営業日の2/27、同社株は急騰(1,601円、216円高)しています。2/27には自己株式の取得終了のお知らせが出ていて、「増配発表前に自社株買いを完了」というのはどうなのか、という点につき読者の方からご質問いただきました。

インサイダー取引?

業績の上方修正と増配を公表する直前まで自己株式の取得を行っていた。つまり公表前に安く自社株を買っていたということですから、インサイダー取引のような見え方になってしまいますね。

自己株式の取得というのは、その株数上限や金額上限を決めて買付けを公表し、例えば買い付け機関に依頼するなどして、そこから先は同社は依頼した先での買付という行為に一切関与しないんですね。そうすることで、買付け行為がインサイダー取引と見做されないようにします。おそらくラサ商事の場合もこういうカタチをとっていると思います。

自己株式の取得終了のお知らせが一日遅れたため見栄えが悪いんですが、2/24の取引終了後同社が取得終了の報告を受け、そのことをもって取締役会で増配等を決議したという流れであれば、さらに問題なさそうです。ただこの場合も、その証跡がしっかり残っているか、増配等を決定したのが本当に、かつ実質的にその時点だったかどうかは問題視されるかもしれません。

監視委員会は動くでしょう

ただ際どいタイミングですし、株価が急騰していることもあり、監視委員会は調査を開始するんじゃないかと思われます。過去に増配という重要事実が未開示の状態で自己株式を取得したとして摘発されたケースもありますしね。いろいろと突っ込みどころはありそうですが、「業績上方修正と増配の公表」をしたいので、自己株式の取得を急がせていた(指図していた)。みたいなことが出てくると厄介です。