新日本空調 従業員の不正行為 社内調査結果

新日本空調は3/6、「当社職員の不正行為に係る社内調査結果と今後の予定について」を公表しました。同社従業員(拠点現場所長)が特定の協力会社へ、合計2,482万円の架空発注を行っていたという事案でした。

調査結果の概要

調査結果は2月に公表された内容とほぼ一緒ですね。委託先協力会社の従業員たちへの退職金充当という希望を持ちつつ架空発注を行っていた。今回あらたに説明されたのは、取引先では入金は全て売上として計上されただけであった。ということと、行為者は、この不正に関し、取引先やその関係者に対して見返りを求めておらず、実際に見返りを得ていないということ。

2点、しっくりこない

本当にあるんですかね、見返りも求めず、このような不正を働くなんてこと。これがまず1点目。見つかればクビになることを覚悟のうえで、取引先従業員のために不正を・・・。

そしてもう1点が、取引先従業員に報いるために、正当な社内手続及び交渉を経て業務委託費自体を上げるという方法について、同社はなかったとしていること。つまり、「もう少し委託費値上げできませんかね」という相談もなく不正が行われたと。これもちょっと考えにくいです。

委託費値上げの打診もなく、従業員が勝手にやってしまいました。という構図。同社は悪くないし、取引先も決定的な不正はないという両法人にとって円満な結論で、従業員だけの不正。これって一番嫌な展開ですわ。ちなみに、翌日の3/7には、この調査結果をもって解決とし、四半期報告書を提出しています。

株式会社ベクター 特別調査委員会の調査報告書(中間)を公表

ベクターは3/10、「特別調査委員会の調査報告書(中間)公表に関するお知らせ」を公表しました。2/16から決算発表を延期して、トーマツが指摘する問題を調査してきたわけですが、四半期報告の期限(=上場維持の期限)である3/14目前に中間公表という形になりました。

調査報告書の概要

監査法人であったトーマツから指摘されていた「疑義」として、調査委員会が調査してきたのは6件の疑義。メインは、不正な資金流出及び資金還流の疑義であり、これらが3件。加えてその他取引に関する疑義としてもう3件です。

メインの疑義に関する調査の結果はそれぞれ、「この支払が不正な資金流出であった事実は認められない」、「蓄電池保証金が還流したものとは認められない」、「本件支払いについて、不正な資金流出を疑う余地はなく、不適切な利益計上を疑う余地はない」とされています。

ようするに、特別調査委員会による調査の結果は問題なし。新しい監査人が粛々と四半期報告書の提出に向けて作業して、3/14(明日)の期日に間に合わせます。という結果です。

上場廃止は免れたけど

トーマツから不正等の疑義の指摘を受け、特別調査委員会を設置。翌日にはうるさい監査人(トーマツ)を変更。3週間ほどの調査で調査結果は問題なし。四半期報告書提出も間に合って上場廃止は免れました、、、と。ん~、あるある、な展開になりましたが・・・。

開示文にもあるように、最終報告書では原因分析と改善策が追加されるだけでしょう。しかし、トーマツが指摘していた疑義の数々、これですべて問題なく解決した、とは思えませんね。この後どういう展開になっていくのか。投資家の皆さんは「君子危うきに近寄らず」ということで。

サムティ  特別調査委員会の調査報告書を公表

サムティは3/6、「特別調査委員会の調査報告書受領及び再発防止策に関するお知らせ」を公表しました。そして翌日には当該調査報告書も公表されています。調査期間は約1ヶ月半でしたね。

おさらい

1月の開示では、特定の取引先との取引に関連し、過年度決算における会計上の連結対象範囲の判断等についての疑義が判明したということでした。

調査結果の概要

この特定の取引先等について、同社が直接又は間接的に支配している状況が存在するとまでは認められず、子会社又は関連会社のいずれかに該当するとの認定及び関連当事者に該当するとの認定には至らなかった。というのが結論だそうです。

取引先との関係性及び取引について、公正かつ透明な企業運営が特に期待される上場企業において、その公正性及び透明性に疑念を抱かせるには十分なものであった、といった指摘は受けたそうな。

代表取締役会長

代表取締役会長が特定の取引先の実印等を預かっていたほか、不動産取引について相談にのるなど懇意な関係にあった。とか、当該取引先の実質的な経営権を持っていたかも、みたいな話も出てくるんですが、疑念はあるが認定には至らず。玉虫色。

この会長さん、調査委員会設置後の2月中旬に退任のお知らせも出ていて、不正の責任を取って、、、ということかと思っていたんですが。ん~、なんだかよく分からない展開ですね。これ以上は追及しないから身を引いてください、みたいな取引でも行われたんでしょうか。

江崎グリコ 子会社 千葉県の工場で排水データ書き換え

江崎グリコは3/7、「当社生産子会社の千葉工場での水質分析データの書き換え報告について」を公表しました。少なくとも約3年半にわたって、工場排水の水質データを規制値を下回るように書き換え、千葉県に虚偽報告していたということです。

江崎グリコ

江崎グリコは、「ビスコ」、「ポッキー」など多くのロングセラー商品を持つ大手菓子メーカー。菓子、冷菓のほかに、レトルトカレーなどの食品、乳製品なども展開しており、中国やタイをはじめとする海外にも進出している東証プライム市場上場企業です。説明するまでもないか。

不正の概要

生産子会社のグリコマニュファクチャリングジャパンの千葉工場(千葉県野田市)で、少なくとも約3年半にわたって工場排水の水質データを規制値を下回るように書き換えていたといいます。最大で規制値の約3倍の窒素などを含んだまま排水していました。窒素やリンはプランクトンの養分となって水質汚染につながるんだそうです。

2017年に工場を立ち上げた際、県の立ち入り検査を受け、窒素やリンの総量規制値を上回っているという指摘を受けていたそうです。18年に装置を導入しましたが、19年に生産する製品が変更され、装置が十分に機能しなくなったにもかかわらず、適切な対応をとっていませんでした。

例によって

同社はこの件について適時開示をしていません。ホームページで公表しただけ。そして、担当者(従業員)が工場長や上長への報告、連絡、相談も適切に実施せず、単独で犯した不正であると整理し、そのため同社として発見ができなかったとしています。

すべて社内調査で終わらせてしまっており、上長や役員等の関与についても不問。どうやら今回の公表をもって同社の対応はお終いのようです。コレ、従業員一人の責任にして終わらせてしまって良い事案なんだろうか。

アイ・アールジャパン 第三者委員会の調査結果を公表

アイ・アールジャパンは3/7、「第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。IRジャパンの副社長が投資会社に対して東京機械買収の提案を行い、その後に東京機械の買収防衛のアドバイザーを請け負っていたという事案でした。この時のフィーは5億円だったとか。

調査結果

報告書では、IRジャパンの経営陣にはこの利益相反(マッチポンプ)の意図は認められなかったとしています。副社長の暴走を把握できていなかったとの結論です。この方特別な存在だったようですが、まぁ、副社長の行動を把握、管理できていなかった時点でもうアウトですね。

報告書でも、「会社を代表する肩書きを与えておきながら、監査監督を適切にすることなく、単独での営業活動を許容していた」とし、「IRJの利益相反管理体制の問題点もあってこのような事態を招いたものであり、まさに起きるべくして起きた事案である」と指摘しています。

とんでもない事件

利益相反の意図はともかく、客観的にはIRジャパンの一連の行為により、マッチポンプと見られる外形が作られたわけで、間違いなく顧客の期待を完璧に裏切ってきたわけです。利益相反というと法律が定めることに違反したというドライな見え方ですが、このケースはもっと重大なことと考えるべきだと思います。

この事案のような敵対的な買収においては、当事者間の利害が激しく対立します。たとえは悪いかもしれませんが、セキュリティ会社が泥棒に、顧客宅のセキュリティの甘いドアを教えるようなもんです。この事件は単なる利益相反取引ではなく、とんでもない事件なんです。と、kuniは考えますが、みなさんはどう?