アイ・アールジャパン 元副社長に新たな不正の疑惑

IRジャパンは11/14、「第三者委員会設置に関するお知らせ(ダイヤモンド・オンラインの報道を受けた当社元役員に関する追加調査の実施について)」を公表しました。半年前にインサイダー取引の嫌疑ですったもんだした元副社長(既に辞任)に新たな疑惑が浮上したようです。

新たな不正

IRジャパンは、プロキシー・アドバイザー(議決権行使助言会社)としてアクティビスト対応をいち早く手掛けてきました。日本の株主総会の“参謀役”、あるいは“用心棒”と呼ばれるような企業なんですね。

開示のタイトルにもあるように、ダイヤモンド・オンラインが、「2021年春ごろ、元副社長が投資会社のアジア開発キャピタル(ADC)代表と面会し、新聞輪転機メーカーの東京機械製作所の買収提案を行っていた」と報道したわけです。

何が問題かというと、東京機械の防衛アドバイザーを務めた(かなりのフィーを稼いでいたはず)IRジャパンの元副社長が、実はアジア開発キャピタル(ADC)に東京機械の「乗っ取り」をけしかけていたということ。つまりアクティビストに仕掛けさせておいて、防衛策のコンサルで儲けていたという構図です。いわゆるマッチポンプってヤツ。あくどいですねぇ。

第三者委員会

この報道を受けてIRジャパンも調査を行い、当時の副社長のスケジュールを確認したところ、同時期において副社長がアジア開発キャピタルと接触していた可能性があることを認識したということです。昨年9月にインサイダーを巡る調査委員会を閉じたばかりの同社ですが、再び第三者委員会を設置する羽目になったというお話。

インサイダーも酷い話でしたが、今回のこの事件は同社の信頼を完全に失いかねない一大事です。ダイヤモンド社は買収提案書を既に入手しているといいます。IRジャパン、かなり追い詰められてます。

日本製鋼所 不正行為に関する調査結果

日本製鋼所は11/14、「当社子会社における不適切行為に係る調査結果及び今後の取り組み等について」を公表しました。子会社である日本製鋼所 M&Eにおける不正について、5/20に設置した特別調査委員会の調査結果を公表。6か月間に及ぶ調査になりましたね。

調査結果 違和感その1

これまで火力発電向けの鉄鋼部材で検査不正があったとしていましたが、やはり他の製品にまで拡大し、不正行為は1998年以降で合計449件となったようです。さらに、新たに原子力発電所に関する製品で、データの改ざんなど20件の不適切行為があったということです。

原子力製品では2013年からデータの改ざんや捏造(ねつぞう)、虚偽記載が行われていたものの、この不正があった原子力発電所に関する製品については、海外向けのものであり、国内での使用実績はないとされています。これ、信用していいんだろうか。報告書を読んでいて感じた違和感その1です。

違和感その2

調査の対象とされたのは、室蘭製作所(日本製鋼所 M&E)、広島製作所、横浜製作所、名機製作所ということでしたが、不適切行為が確認されたのは室蘭製作所(日本製鋼所 M&E)において製造出荷された製品のみであり、広島製作所、横浜製作所、名機製作所において製造出荷された製品については、不適切行為は確認されていないとのこと。違和感その2。

室蘭製作所(日本製鋼所 M&E)がもつ特殊な生い立ち(機能分社による子会社化の歴史)が原因だとされているのですが、ここまでくると何をどう説明されてもしっかりと腹落ちしません。この感覚、kuniのような投資家のみならず、取引先においても同様ではないでしょうか。

最後に、国内では使用されていない(つまり海外では使用されている)。の方が今後の同社に対する損害賠償等のリスクは大きいという点は押さえておく必要がありそうです。

東海リース株式会社 子会社役員の不正行為

東海リース株式会社は11/11、「外部調査委員会の調査報告書の公表に関するお知らせ」を公表しました。この事件も見逃していました。今年8/19、「当社連結子会社の不適切な取引に係る調査に関するお知らせ」を公表していて、9/22には外部調査委員会を設置して調査をしていたんですね。

東海リース株式会社

東海リース株式会社は、仮設建物およびユニットハウスを中心としたオペレーティングリース会社です。主なユーザー先は建築・土木業界で、リース商品の賃貸だけでなく、製造・運送・工事・補修などトータルなサービスを提供しています。以前取り上げた三協フロンテアと似た会社ですね。

不正の概要

不正が行われていたのは連結子会社の東海ハウス株式会社。東海ハウス株式会社の当時の役員、従業員等計4名が出資し、親族等を名義上の役員とする会社を設立したうえで、東海ハウス株式会社の部材外注加工に関する取引に当該会社を介在させていました。

当該会社を通じて、2021年3月期から2023年3月期の複数事業年度において、総計約14百万円の原価を水増し請求する行為を行っていたというもの。これが第一報で明らかになっていた不正行為です。ここで出てくる役員というのは、東海リースから送り込まれた代表取締役社長です。

その後の社内調査でさらに、同社長の個人的な用途のためにゴルフ練習場を造成し、高額な費用をかけて維持管理させていたという事実(損害額約1,200万円を見積もり)。さらに、東海ハウスのスクラップ売却代金を別口座にプールし、そのうちの一部が私用に流用されていた(ゴルフ練習場の費用もここから出ていた)というもの(損害額は約2,800万円)。

やれやれ、、、親会社から送り込まれた社長が酷いのは言うまでもありませんが、その他の従業員もつるんでやりたい放題、というトホホな事件です。

株式会社グローバルキッズ COMPANY 運営費の不正受給

グローバルキッズ COMPANYは11/11、「当社連結子会社における不正事案の社内調査及び再発防止策に関するお知らせ」を公表しました。保育士数を水増しして運営費を不正受給していたということらしく、今年6月に第一報が出ていたようです。完全に見落としていました。

グローバルキッズ COMPANY

グローバルキッズ COMPANYは、首都圏を中心に自治体から認可などを受けた保育施設および学童クラブ・児童館、児童発達支援事業所などを運営する「子育て支援事業」を営む企業です。2015年設立という若い企業ですが、東証プライム市場上場企業です。

不正の概要

問題となった不正というのは、保育士の「名前貸し」を行い、保育士の人数を水増しして、行政から補助金を不正に受給していたというもの。2022年1月に東京都が同社に「特別指導検査」に入って全園に一斉検査を行い、行政への虚偽報告が発覚しました。

本部関与の下、本社で働く保育士資格のある社員19人について、勤務実態のない保育園で働いていたかのように、名簿や出勤簿を偽造していました。少なくとも15年4月から19年12月までの間、都内の認可保育園11カ所、認証保育園5カ所で虚偽の報告をしていたとのこと。不正受給の合計額は、少なくとも3,400万円に上るということです。

開示の在り方

会社ぐるみでの虚偽の報告による不正受給という、非常に問題ある不正行為なわけですが、詳細はここでは書きません。開示を読んでまず一番に感じるのが、開示の頻度やタイミング。さらに今どういう状態なのかが非常に分かりにくいこと。こんな報告を部下から受けた日には、間違いなく突き返すと思われるほど、いい加減な内容です。

こんな開示で再発防止策とか言われても、、、って感じ。今現在も同社の体質は何も変わっていないのでは?と感じます。

追悼 村田兆治選手

11/11の朝のテレビ放送で、盛んに世田谷区の住宅火災を報じていました。まぁ、普通の火災っぽかったのでなんでそんなに?って思ってたら、あの村田兆治さんのお宅のよう。その後まもなくして、プロ野球・ロッテ元投手の村田兆治さんが、搬送先の病院で死亡が確認されたということです。

村田兆治

村田さんはドラフト1位で東京オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)に入団しました。左脚を高々と上げて右腕を豪快に振り下ろす「マサカリ投法」でエースとして活躍し、90年に40歳で現役を引退するまで、速球とフォークボールを武器に通算215勝(177敗)、2,363奪三振の成績を残した名選手です。

引退して既に30年ですから、今の若い人たちは知らないでしょうね。まさに昭和のエースです。2005年には野球殿堂入りされています。

羽田での件も

今年9/23、羽田空港の保安検査場で女性検査員の肩を押したとして、暴行容疑で警視庁東京空港署に現行犯逮捕されていました。2日後に釈放されましたが、この時何か起きてるんじゃないかという感じがしたものです。肩を押したくらいで暴行容疑で逮捕、はないですよね。

村田さんに何が起きていたんでしょう。プロスポーツ選手が引退後に信じられないような悲惨な人生に落ちていってしまう姿、ちょくちょく見かけます。彼もそうだったのか。第一報を伝えるニュースの中で、「村田さんが住んでいたとみられる住宅」という不自然な説明をしていたのも気になりました。

自宅なのに住んでいたかどうかわからないってどういう状況? 2階だけが不自然に焼けてしまった住宅の姿も。発見されたとき、手にたばこを持っていたとも。まだ、分からないこと多過ぎだけど、まずは、サンデー兆治のご冥福をお祈りいたします。