カッパ・クリエイト 社長逮捕(その2)

はま寿司からかっぱ寿司に転職した現社長が逮捕されたという事件。社長に続き商品部長も不正競争防止法違反容疑で逮捕というニュースも飛び込んできました。この手のニュースは数ある不正の中でもメディアの食い付きが良いですね。ここまでのニュースで何度見たことか。

メディアでは

多くのメディアが指摘していたのが、「転職による情報漏洩リスクの認識強化が必要」だとか、「雇用の流動化が背景にある」みたいなことでした。これまでは、「確かにそういうリスクはあるし、退職時に誓約書取ってる」けど、訴えるところまではなかなか。というのが企業の本音だったと思います。

一昔前は顧客リストの持ち出しなんて、ほぼ当たり前のように行われてきました。何らかの媒体に記録されたリストと、退職者の頭にある記憶。明らかにリストが存在することの証明ができないため、訴えるところまではいけません。最近はメールの存在やダウンロードの記録なんかが決め手になるようになってきたんですかね。

はま寿司についても

また、自社の元役職員が働いた不正(自社の汚点でもある)だから公に晒したくない、という被害企業側の事情もありました。この事情って結構大きくて、持ち出された情報による被害と、そんな悪いことをする役職員を雇用してたんだ、という評価をされるリスクを天秤にかけることになるわけです。

今回のケース、メディアはカッパ・クリエイト側を徹底的に非難する形になっているようですが、はま寿司の問題についても認識しておく必要があります。営業秘密を転職先に持ち出し、「営業秘密に当たると思ってなかった」くらいのことを言ってる人が、同社の役員にまでなってたわけですからね。

コンプラに関する意識や倫理観がかけた人材を取締役にまで抜擢していたってことです。そういう人はこの役員だけなんでしょうか。いや、そんなことはなくて、この会社のカルチャーとして緩いんじゃないのか。この事件、そんな見方も必要ですね。

台風15号 また静岡 盛り土による土砂崩れ

9/24に日本を襲った台風15号。直前に上陸した14号と違って、規模は小さく風も大したことなかったんですが、降雨量はかなり多かったようで、静岡県浜松市天竜区では土砂崩れが24日未明に発生し、住宅3棟が倒壊するなどして3人が負傷するという事故が起きました。

熱海でも

2021年7月に静岡県熱海市で大雨の影響による盛り土の崩落が発生し、死者・行方不明者28人、住宅被害98棟という大規模な土石流事故が起きました。防犯カメラの映像でしょうかね、実際の土石流映像はかなり衝撃的なものでした。

今回は同じ静岡県の浜松市天竜区というところ。地図で見ると、天竜川から山間部を切り開いて平地を確保し、住宅地や道路を整備したって感じの場所です。30年ほど前に造成された住宅地だそうです。

不適切な盛り土

盛り土(もりど)というのは、住宅や道路など、用途に適合するように土地を整備するため新たに土を盛ることだそうです。今回の浜松市の場合も、不適切な盛り土が原因となった可能性があるとされており、条例に基づく届け出は確認されていないとのこと。熱海のケースと同じですね。

熱海の事故を受けて、いわゆる盛土規制法が今年5月に公布されましたが、施行は来年5月だとか。もちろん即日施行されたとしても今回の災害が防げたというわけではありませんが。

都道府県が全国36,000カ所を調査して、必要な災害防止措置を確認できなかった盛り土が657カ所あることが判明した。っていうニュースも昨年ありましたが、静岡県ではどうだったんでしょう。災害が起きた自治体だけに、危険な盛り土(事故発生箇所に限りませんが)に対して必要なアクションを起こせていたのかが気になります。浜松市にしても同様ですが。

カッパ・クリエイト 社長を不正競争防止法違反容疑で逮捕

回転ずし業界4位の「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの現社長が、同社に転職する前に競合他社「はま寿司」の仕入れに関する内部データを不正に持ち出した疑いがあるということで、警視庁は持ち出された情報が営業秘密に当たるとして、不正競争防止法違反容疑で同社長を逮捕したということです。

ここまでの経緯

当ブログでも以前取り上げたこの事案、株式会社はま寿司より不正競争防止法に纏わる告訴がされ、当該告訴に基づき、関係当局による初めての捜査が行われたのは昨年6月でした。あれから既に15ヶ月が経ったんですね。

逮捕容疑

今回の情報は報道が関係者への取材により入手したという格好。日本経済新聞も9/30付けで「かっぱ寿司社長に逮捕状 転職前のデータ持ち出しか」という見出しで報じています。

かっぱ寿司に転職する前に、競合他社である「はま寿司」の仕入れ価格等に関する内部データを不正に持ち出した疑いがあるということで、警視庁は持ち出された情報が営業秘密に当たるとみているようです。

不正競争防止法で規定する営業秘密は、企業が保有する技術上、営業上の秘密情報を指します。①秘密として管理されている(秘密管理性)、②事業などに有用(有用性)、③公然と知られていない(非公知性)――の3つの要件を満たす必要があるんだそう。

不正競争防止法に限らずですが、当ブログでも何度か取り上げているように、回転寿司業界はちょっとおかしなことになってますね。テレビCMなど見てる限りは、とっても元気のよい業界のように見えますが、既に過当競争で業界丸ごとおかしくなっていってるような感じです。